2012年4月23日月曜日


『悲しき熱帯<1>』(レヴィ=ストロース)読みました。


例えば日本の憲法にある最初の1文は、
「日本国民は、正当に選挙された国会における
代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫
のために、諸国民との協和による成果と、わが
国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ること
のないやうにすることを決意し、ここに主権が
国民に存することを宣言し、この憲法を確定す
る。」です。

1つの文章がこんなに長いんです。
しかもなんか、いかめしい。
ぼくが編集を担当する本で、
こんな原稿を著者の先生からもらったら、
まっさきに手を入れちゃいます。
もっとすすっと理解してもらえるように
しましょうよ、って。

おちゃらけモードが少し入っているけど、
こんな感じに修正すると思います。
「日本がどうにかなっちゃうような大事なことは、
自分たちで決める。
でも戦争はもう2度と起こさないから。
そんなことを決めたルールがこの憲法です。
ぼくらは、
ぼくら自身と未来の子どもたちのために、
正しく選んだ国会の代表者を
通じて行動します。その行動によって、
仲良くそして自由に暮らすことのメリットを
しっかり手に入れます。」

読者対象とかを考えないと
いけないのかもしれないけど、
がちがちの文章で、
こねくり返さないと理解できないようなものじゃ、
みんな読まないし。

で、この『悲しき熱帯<1>』。

構造主義の原点とかって帯に書いてあって、
小難しい話を憲法の文章みたいに、
いかめしくまとめてるかのなって、
少し構えて読み始めました。

だけど、内容とか文章とかは、
がちがちじゃなく、
わりととっつきやすかったんです。

でもね。
逆に、そのとっつきやすさが、
ぼくには合わなかったみたいです。
正直、あんまり面白くなかった。

憲法の条文は、
もっと敷居を下げたほうがいいなんて言っておきながら、
とっつきやすさがダメだなんて……まったく矛盾です。
いやいや、やっぱり文章って難しい。
わっ、ぼくは一体何が言いたかったのだろう。


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