2010年8月11日水曜日

醸造しないとね。

『マルドゥック・スクランブル
—The First Compression 圧縮』(冲方丁)読みました。


ぼくは今の日本映画学校ってトコの卒業生です。
そして映画学校を卒業してすぐのころ、
テレビとか映画とかの助監督をやってました。

そのころノーギャラでやった仕事に、
ぴあのフィルムフェスティバルで一等賞を
とった監督の作品がありました。

今もテレビドラマや映画で活躍している小松隆志監督の『バス』。

ぴあがスポンサーになっているとはいえ、
半分アマチュアの映画で、しかも監督とは年齢も近い。
なので、監督にはため口で言いたい放題って感じで接していました。
ごめんなさい小松さん。それ以来まったく交流はないけど。

この小松さんは、小説、映画、お芝居などの
いいとこドリがすごく上手な人で、
面白いって感じるとすぐ自分の作品に取り入れちゃう。

で、ぼくはといえば、ため口の言いたい放題なので
小松さんに「パクってばかりで面白い?」みたいなこと言っちゃいます。

それに対して真面目な小松さんは
「パクってはいるけど、ママじゃない。
自分の中に取り込んで、咀嚼して、発酵するまで溶かして、
それから使っている」とカッコイイ反論。

はい。
やっと本題の読書感想文に入れます。

この『マルドゥック・スクランブル 圧縮』は、
まさしく小松さんの言った
「パクってはいるけど、ママじゃない」って作品です。

読んでいると、
ぼくが今まで読んだり観たり聞いたりした
あの場面、この場面が重なって頭の中に浮かんできます。

上手いんですね、この冲方丁さんって人も。
咀嚼して発酵するまで溶かして使うのが。

面白いモノをそのまま羅列したって、面白いモノになるわけない。
やっぱ、つくる人の中で醸造しないとね。

あっ! でもこの『マルドゥック〜』、
読み終わって知ったのですが、実は続き物であと2巻あるみたいなんです。
今まで書いた感想は、全部読み終わってからがよかったかな。

まぁいいか。

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冲方 丁

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