2022年7月14日木曜日

『シェエラザード(上)』(浅田次郎)読みました。


事実は小説よりも奇なりっていいますよね。
確かにその通りだと思うんだけど、
ある意味当たり前のことを
言っているだけな気もします。

小説は、
現実よりも奇なる出来事を描くことで、
物語が面白くなるんだろうけど、
その奇が何で起きたのか、
原因が説明されていないと、
薄っぺらに感じちゃう。

とんでもない偶然の出会いが重なって、
あれよあれよと何事かに巻き込まれていく
ストーリーを見せられても、
そんな偶然ラッシュはありえないでしょ
って冷めちゃう。

だからその偶然が、
実は偶然じゃなく誰かが仕組んだことだとか、
悪魔みたいな奴を登場させちゃって
人智を超えた力に導かれているとかの
説明が入ってきます。

そうなるとロジックとしては
納得できるから不思議じゃなくなる。
奇じゃなくなる。
それが小説というか、つくったお話ですね。

でも、現実に起こる偶然って、
誰も何も説明してくれない。
百円玉が自販機の下に落ちて、
取れないから諦めて歩き出したら
足元に五百円玉が落ちてたなんてことあったら、
説明はないから奇のまま。
ほら、小説は奇じゃなく、事実は奇なんです。

で、この『シェエラザード(上)』。

おや、その偶然はあり?ってのが出てきます。
下巻に期待。




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