2022年7月5日火曜日

『図書館島』(ソフィア・サマター)読みました。


確か椎名誠さんの作品だと思うのですが、
活字中毒者を滑稽に描いたものがありました。

タイトルもストーリーも前後の脈略も
まったく覚えていないのですが、
その作品に出てくる場面で、
ときどきひょっこり何の前触れもなく
ぼくの頭に浮かび上がってくるシーンがあるんです。

きっと、
時間経過に伴い脳内脚色されて
もとの作品とはかけ離れていると思いますが、
まあ、こんな感じです。

定期的に活字を目にしないと
禁断症状が起きて苦しみもがいてしまう男がいる。
(「ヤクをくれー」じゃなかった
 「ホンをくれー」って感じで)
その病気を乗り越えるために
活字断ちの治療をしてるってシチュエーションです。

ちょっとでも活字に触れてしまうとダメなので、
牢屋みたいな所に入れられて、
膝を抱えて震えながら、
本を(活字を)読めない苦しみに耐えている。

そんなとき、手を伸ばしても届かない
高い位置についている鉄格子の窓から、
風に飛ばされたごみが舞い込んでくる。

きっと幼稚園かなんかのイベントで
先生が子どもを喜ばすためにつくった紙吹雪です。
それが数枚ちらほらと。

幼稚園の先生は、色紙を使うのはもったいないから、
スーパーの安売り広告なんかの
新聞の折込チラシを千切ってつくったんでしょう。
数枚のうち1つだけ活字が読めるものがありました。

発見した男は、
狂喜乱舞して拾い上げ、むさぼるように眺めている
……なんでか知らないんですが、
この場面を唐突に思い出すんです、数年に一度。

で、この『図書館島』。

ちと長く感じました。
活字断ちの人には喜ばれると思います。



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