少し前に読み終えた
京極夏彦さんの『了巷説百物語』は
5、6冊(もうちょいあったかも)の
シリーズになっているんですが、
よくよく考えると、
シリーズになっていないというか、
なんというか、どの巻でも登場人物は
ちょいちょい重なってはいるんですが、
巻ごとに中心になる人が違っていたり、
場所が異なっていたりで、
シリーズ全巻を通した主人公がいないし、
各巻を串刺しする縦軸のストーリーがないんです。
(例えば仮面ライダーだったら
ショッカーを倒すみたいな)
絶版になっているようで歯抜け状態でしか
読んでいない笹沢佐保さんの
木枯し紋次郎シリーズは、
1冊数話入っている短編のどれにも、
長い楊枝をくわえているだの旅姿だのの
主人公を描写する文章が
1ページ分くらい続いていて、
それはもう知っているよ、
と思いつつも気持ちよく文字を追っちゃう
という1話ごとの共通項があったし、
テレビの水戸黄門なんかは、毎回、
あの紋どころを目に入らされていたのに、
それが楽しみだったし、
ってことでマンネリ鑑賞を快感にさせられていた。
でも、
巷説百物語シリーズはそうじゃないつくり方でした。
それって、つくる側からすると
毎回新しい仕掛けを考えなちゃいけなくて
大変なんじゃないかなと思ったり、
逆にパターン同じで違う話にするほうが
難儀じゃないかと思ったり。
で、この『ないしょないしょ 剣客商売番外編』。
番外編ってある通り、
それまでの通し主人公とは違う視点でつくっていました。