お父さんは会社に行ってお金を稼ぎ、
お母さんは専業主婦で家の仕事を切り盛りする、
という役割分担が一般的だった昔、
主婦向けのドラマでは、
「あらお湯が沸いたわ、ジャガイモ煮なきゃ」とか
「やだ、ちっちゃな綿ぼこりが舞っているじゃない、
掃除機かけなきゃ」とか
「雨降りそうね、洗濯物取り込んでおきましょ」
なんて言って、
ゆっくりとテレビの前に座っていられず、
ちょいちょい画面から目を
離さなくてはいけないお母さんたちでも、
話の筋がわからなくならないように、
ストーリーの展開をゆっくりゆっくりしにして、
頻繁に物語の流れとは関係ない世間話なんかを
登場人物の会話に混ぜたりする
(最近の「一気読み必至」みたいな
宣伝文句がついたミステリーを読んでいると、
そうしたいかにもな余計な会話なんかが出てくると、
「これは、きっと、伏線になってるぞ」などと、
つい疑ってかかるような癖がついてきましたが、
この主婦向けドラマはそうじゃなく、
ほんとに関係ないやり取りの挿入)
といったやり方で、
奥さんたちの興味をつなぎとめていた、という話を、
誰かから聞いたか、シナリオ読本かなんかで読んだかして、
その聞いたか読んだかした直後に、
買い物帰りの道端で延々ストーリーと無関係の
井戸端会議をして笑い合っているシーンを
テレビで観た記憶があります。
で、この『黒白(上)剣客商売番外編』。
本筋以外のお話が多いなと思って。
そこがいいんだけど。