2021年11月9日火曜日

『泥棒は抽象画を描く』(ローレンス・ブロック)読みました。


編集とか出版の仕事をしているって話すと、
ときどき「それじゃあ、幅広い分野の
いろんな物事をたくさん知ってるよね」
って言われるときがあります。

もちろん、
普段のぼくを知っている友だちなんかからは、
絶対にそんな発言は出てこないのですが、
仕事とかで知り合ってつき合いの浅い人は、
出会って間もない一瞬だけ、
そういう一般論的なくくりの
知的グループの一員に入れてくれるようです。

そして、ものの10分ほども根詰めて話すと、
知的グループに入るどころか
補欠にも足がかからず、幼稚園児のほうが、
ぼくよりましなヤツが大勢いると気づく。

確かに同じような仕事をしている仲間には、
「なんでそんなこと知っているの」って
あきれるほどの人がごっそりいます。

ぼくだって、ゼロから勉強して、
パソコンの本とか、社会経済の本とか、
哲学心理学系とか、
生物学とか数学とかエコとか
あれこれやってきてはいるんだから、
それが全部頭の中に残っていれば、
知的グループ1軍の花形選手になれる、
いやルックスからいうと花形じゃなく
伴宙太ぐらいですけど。
(「ばんちゅうた」の漢字がわからず、
  ググったらこんな字だったんだと、ちと驚き)
でもまあ、無理なわけですわ。

で、この『泥棒は抽象画を描く』。

とはいっても、
脳みその中の遠い遠い辺境に
今にも消えかけているけど
かろうじて残っている知識もあるんです。

この小説に出てきた画家のモンドリアンのことも
そんな干からび知識の中にありました。
そのお陰でとっても楽しく読めました。




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************