インターネットがまだ
これほどまでに普及していなかった頃、
その情報通信網が広がった未来を予測するちまたでは
「輝く未来が待っている」的な意見と、
「そもそもおもちゃみたいなモンだから
実用にはならんでしょ」などとあっち向いている人がいて、
それでも、雑誌なんかには
面白おかしげな記事を載せなきゃいけなくて、
編集者の人がネットが絡んだ怪しげな事件
(確か悪いことしたグループの人たちが
電子メールを使っていた、
ってだけがネット関連だったような)
の資料をごそっと出してきて、
「きくちさん、これ800文字でまとめてもらえますか」
っていうものだから、
「はいはい、了解です」
と安請け合いしたけれど、
記事は、なぜか人物の名前をA、B、C…と
アルファベットで書くよう指示されて、
資料読んでみると、関係する人は20人近くになってて、
少なくとも7、8人は登場させないと
意味不明の文章ができちゃうから、
AからHまで使ってやってみたけど、
そんな記号じゃ誰が誰だか書いている自分も
わからなくなっていました。
で、この『明智恭介の奔走』。
5つのお話。面白かったんだけど、最後の話だけ、
ぼくのおつむがついていかなかった。
人物名がアルファベットなわけではなかったけど。
も一回読も。