2012年1月26日木曜日

『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上 延)読みました。

ぼくが文章を書くときの状態には
2種類のバージョンがあります。

それは仕事の文章でも、簡単なメール文でも、
そして今書いているブログでも同じです。

1つは、
サクサクと素早く書けちゃうとき。
もう1つは、
いつまでたってもキーボード上の指が動かないドン詰まりのとき。

その2つの両極バージョンがあって、
どういうわけか、ぼくの場合、
サクサクとドン詰まりの中間っていうのはあまりなく、
速いか遅いかのどっちかにかたよります。
ここまでの文章は、どちらかというと速いほうで、
2〜3分で書けちゃいました。

んで、入力の時間が速くても遅くても、
どちらも同じくらい時間をかけて見直しします。
この見直しのとき、ほとんど修正が入らないのは、
実は速く書いた文章なんです。

悩みに悩んでつむぎ出した文章は、
見直しのときも悩ましい。
でも、サクッと書けたときは、
なぜかちゃんとした文章になっている。
好き嫌いという感情的な面からいっても、
速く書いた文章のほうが好きですね。
ぼくの執筆作業は、
どうやら時間と質が反比例してるみたいです。

で、この『ビブリア古書堂の事件手帖』。

おこがましいことを承知で……。
速く書いたときのぼくの文章を読んでいるような
錯覚をおぼえちゃいました。
はい、おこがましいです。
なんだけど……
なんだか自分が書いたみたいな気がしてしまいました。

シリーズで出版されているみたいなので、続編買ってきます。

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2012年1月19日木曜日

『菊池寛』(ちくま日本文学027)読みました。

高校時代の友だちで、
ぼくと同姓の「きくち」って女の子がいました。
そんなに親しいわけじゃなかったので、
卒業以来、彼女が何しているのかも知りませんでした。
んで、この前、二十年以上ぶりの同窓会で、
そのきくちさんに会ったんです。

でも、そのとき彼女は、
きくちさんではありませんでした。
結婚して名字が代わり、
たかはしさんになっていたんです。

なんと、たかはしさんです。
実はその名字、ぼくのかみさんの旧姓です。
んで、かみさんも高校は同じ。
なので、
高校時代に「きくち」だった人が、
今は「たかはし」になり、
同じく「たかはし」だった人が、
「きくち」になっていたんです。

名字の入れ替わり──。
旧きくちさんと、かみさんと、ぼくは3人で
「へーなんか不思議だね」って話をしました。
えーっと。それだけです。何も落ちはありません。

で、この『菊池寛』(ちくま日本文学027)。

ぼくと同じ名字の、
とっても有名な作家なのに、
今まで一冊も読んだことありませんでした。

ぼくはもう
生まれてから半世紀にもなっちゃうんだから(まだだけど)、
やっぱ一冊はおさえておかないと
ダメだろうってことで、読みました。
感想は「うん、こんなもんか」でした。
何も落ちはありません。

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2012年1月17日火曜日

『巨象も踊る』(ルイス・ガースナー)読みました。

ぼくがよくやる日常の一コマです。

新聞を取りに行こうと思って席を立ち、
2〜3歩あるいたトコで
床にガムの包み紙みたいな小さなゴミが
落ちているのを見つけて、
「誰だよこれ」とかぼやきながら、それを拾い、
新聞置き場とは反対側にあるゴミ箱まで行って、
ゴミを捨てようと思ったら、
ゴミ箱から広告チラシみたいな紙ゴミが
ちょっとだけはみ出していて、
「ちゃんと捨てろよな、まったく」とか言って、
ゴミ箱を正して「ふーっ」とか言いながら、
自分の席に戻る。

その2分後、
「あっ、新聞、新聞」と言ってまた席を立つ。

人間は一つのことに集中しないとダメなんです。
何をすべきなのか、
しっかりと自分に言い聞かせて、
脇目も振らずに目標に突き進まないと、
いつまでたっても新聞は読めません。

でも、ぼんやりしながら進むと、
ゴミ箱がキレイになったり、
ほかのことが片付くってことはあるんですけどね。

で、この『巨象も踊る』。

大きな会社でも、
何をすべきなのかをしっかり絞り込んで
突き進むのが大切だと言ってます。
そうですね、
いけいけどんどんで脇目も振らずに行けば、
目標にはすぐたどり着けるでしょうね。
ほかの余計なことは片付かないかもしれないけど……。


巨象も踊る
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2012年1月12日木曜日

『さよなら!僕らのソニー』(立石泰則)読みました。

前にも言いましたが、
ぼくは違う本を並行して読み進めています。
んで仕事でも同じように
ぜんぜんジャンルの違うものを
並行して進めることがあります。

午前中は、
何人もの画家の生涯にスポットを当てて
美術の歴史を解説していく本の原稿を書き、
午後からは、
子ども向けにインターネットを
安全に使うノウハウ本をつくる……
頭の中がごちゃごちゃになりそうな気もするんですが、
実はこれが、そうでもないんです。
まったく違う分野をやっているほうが、
切り替えがうまくいくような気がします。

でも、そんなことやってると、
ときどき、違う分野と思っていたのに
それぞれに重なる内容が浮かんできたりします。

美術の歴史と子ども向けインターネット解説本なら、
例えば著作権。
18世紀にホガースって画家が
自分の絵の海賊版が出ていることに怒り、
それがもとで著作権法ができたとを
午前中に書いたと思ったら、
その午後に、
インターネット解説本の編集の人から
「ブログとかで著作権に気をつけましょう」という項目を
加えてくださいって連絡が入る。
そんなときって、
なんだか妙に同じような重なりが続くんです。

で、この『さよなら! 僕らのソニー』。

昔のようにユーザーがわくわくするような製品を
出せなくなり、業績も低迷ぎみのソニーが、
なぜそんな状況になったかを解説した本。

んで実は今、
『巨象も踊る』という本を並行して読んでいて、
これがIBMって会社が苦境から脱して回復した経緯を
説明している本なんです。
ここで出てくるIBMの苦境の原因と、
ソニーのそれが重なるんです。
意識して並行読みしたわけではないんですけどね。
それに根本的なトコが重なるってだけで、
細かいトコは、ぜんぜん違うんですけどね。
まっそれでも、
ぼくとしては「どっちか一冊でもよかったかな」でした。

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2012年1月11日水曜日

『恋する原発』(高橋源一郎)読みました。

子どもの頃、
わざと怒られることをやった覚えって、ないですか。

親のすね毛をいきなりひっこ抜いてみたり、
みんなが楽しんで観ているテレビのチャンネルを
いきなり替えちゃったり(子どもの頃はリモコンが
なかったので、丸いダイヤルをごりごり回して、
へへへとかいう)などなど。

いわゆるイタズラなんだけど、
イタズラ対象者の困っている顔を見るのが
面白くてやっているのではなくて、
怒られたくてやっているというか、
かまってもらいたくてやっているというか、
ぼくはここに居るんだよってことを
知ってもらいたくてやっているというか、
そんな感じのイタズラです。

ぼくは子どもの頃から小心者だったので、
世に言う悪ガキのような
大それたイタズラはできませんでした。

でも、今いったようなちょこっとしたおふざけは、
年に数回やっていた気がします。
さびしがり屋で、
日頃がまんしているさびしさが
段々たまってきて、いっぱいになったとき、
ちょことのおふざけをして怒られ、
自分のことを気にしてもらい、安心する。
そんなサイクルを繰り返していたようです。

イタズラとか悪ふざけって、
人を困らせて喜ぶって心理もあるだろうけど、
自分のほうを見て欲しいって気持ちも
結構大きいんじゃないかなって思います。特にぼく。

で、この『恋する原発』。

ぼくには怖くてとうてい書けないような表現が
いっぱいありました。
そこまで言ったら絶対怒る人いるだよ、
やめておこうよって言い回しがあちこちに。
(どんな危ない表現なのかはタイトルからもわかります)

ぼくは、それらの文章を読んで、
子どものころやった「怒られたいためのイタズラ」を
思い出してしまいました。
そして、子どもの頃のぼくに
「大丈夫だよ、そんなにさびしがらなくても。
ちゃんと気にしてくれる人はいるよ」
ってなぐさめの言葉を送っちゃいました。


恋する原発
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2012年1月10日火曜日

『吉田キグルマレナイト』(日野俊太郎)読みました。

ぼくが映画学校に通っているとき、
短編のシナリオを書いて、
先生に批評してもらうような授業がありました。

今ではもう、先生が誰で、
自分がどんな作品を書いたのかは、
まったく覚えてないんですけど、
その授業の中で先生から言われたことは、
なぜか今でも頭に残っています。

「君の作品は、
ストーリーの枠組みとか設定とか、
脇役のキャラクターなんかは、よくできています。
上手いって言ってもいいでしょう。
でも、主人公のキャラがまったく面白くない。
これで主人公が面白かったら、
すごい作品なんですけどね」

これってつまり、
見栄えのいいように着飾っているけど、
中身の人間はそれほどでもない、
お前自身はつまらいんだよ!
そんな意味合いにとれますよね。
というか、ぼくはまるまるその意味にとっちゃいました。
だから、先生のこのセリフを忘れないんでしょうね。

よし! そういうことなら、
もっともっとごてごてに飾り立てて、
中身の人間なんて見えないようにして
……そうだ! 着ぐるみを着ちゃえばいいんだ。
そうすれば、中身なんて判断されずに、
着ぐるみのかわいさだけで勝負できるから!

で、この『吉田キグルマレナイト☆』。

着ぐるみでお芝居する役者さんたちのお話です。
ストーリーの枠組みとか設定とか、
脇役のキャラクターなんかが
とっても面白かったです。

吉田キグルマレナイト
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2012年1月6日金曜日

『シャンタラム(上)』(グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ)読みました。

上半身を折り曲げる前屈と同じように、
身体が柔らかいかどうかを試すのによくやるのが、
両手を背中でくっつけられるかどうかのストレッチです。

左右の腕のどちらかを上側から、残りを下側から、
いずれも斜めに背中に回し、
左右の手がたすき掛けのように握手できれば
とっても柔らかくて、
左右の指先が触れあうぐらいでも、まぁ柔らかい。

そんで実はぼく、
つい数年前までは、この柔らか度検証ストレッチで、
左右の手がくっつつどころか、30センチくらい離れて、
それ以上近づくことはなかったんです。
身体こちこちなので……。

しかも、
こんなストレッチを知ったのは高校生になってからで、
高校時代の初体験でも指先はくっつかず、
それ以来おじさんになるまで、
背中の肩甲骨あたりで右手と左手の指先が
出会う感覚を知らなかったんです。

でもね。
きっかけは何だったのか忘れましたが、
2〜3年前から、この背中たすき掛けストレッチを
毎日やるようになったんです。
指先はくっつかないなりにも、
少しでも近づくように「痛っ!イタタタッ!」などと、
うなりながら左右の腕を上下方向にゴリゴリ押していったんです。

そんな、つい先日のこと。
左右の中指同士が背中でちょっとだけ触れ合えたんです。
人生初のくっつき体験です。
「うわっ! ついた! すげーッおれ!」って
思わず叫んじゃいました。

で、この『シャンタラム』。
読んでいると自覚のないまま「痛っ! イタタタッ!」って
口に出してしまうような本でした。
たすき掛けストレッチで出したうなり声と同じ声です。

なので、もうしばらくしたら、
身体が柔らかくなるなり、頭が柔らかくなるなり、
人としての器が大きくなるなり、
なんらかの変化がこの本の読書効果として出てくると思います。
すごいっすよ、この本。
読んだのは上巻、早く中巻、買いに行こっと。


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2011年12月19日月曜日

『仮面の告白』(三島由紀夫)読みました。

ふだん、身体のパーツってのは意識しないものです。

呼吸しているときには、重要パーツの肺が勝手に動いてくれて、
もっと重要な心臓なんて、
自分でドキドキの回数を制御しようと思ってもできやしない。

後ろで物音がすれば、
自然にクビが回って、物音のした方向を確認しようとするし、
歩くときや走るときには、
意識しなくても左右の足が交互に前に出ていきます。

でも。
この意識しないそれぞれのパーツを、意識するときがあります。
それは、パーツに何かの不具合があったとき。
つまり、病気とか怪我とかです。

かぜをひいたら、
今までそこにあることさえ
知らないでいたようなノドの奥のほうが痛くなって、
「自分にはそんなパーツがあったんだ」って気づく。

利き手じゃない左手の薬指にちょっとした怪我をして、
そんなに使わない指だからと高をくくっていたら、
とんでもなく不便になる。

ぼくはぜんそくの持病があるんだけど、
発作のときには気管支や肺の形がわかるくらい、
そのパーツに負荷が掛かっているのを感じます。

って考えると、
身体のことなんかどこも意識しないで、
のほほんと動いたり、
生活できたりする状態を「健康」って呼ぶのかな、
と思ったりします。

で、この『仮面の告白』。

ふつう本を読むと、
「あーつまらない」とか、
「うわっ、オモロイ!」とか、
「うぇーん、ひっく、ひく(泣いているってこと)」とか、
なんらかの感情が生じます。

つまらないなら、つまらないなりの
面白いなら面白いなりの、反応があるもんです。

でも、この本、
たぶんぼくだけだと思うんですが、
何の反応もなかったんです。

つまらなくもなく、
面白いとも思わず、
なんというかとってもニュートラル。

たとえは悪いけど、馬耳東風って感じです。
文字を目で追って、物語の流れの中にはいるんだけど、ただそれだけ。
自分が何も意識しないで、のほほんといるだけ。
この状態ってもしかしたら「健康」って呼ぶのかもしれません。

仮面の告白 (新潮文庫)
三島 由紀夫
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2011年12月15日木曜日

『ギヴァー 記憶を注ぐ者』(ロイス・ローリー)読みました。

小学生のとき、
ガキどもだけで校庭の隅に集まり、
「お前、誰が好きなんだよ」大会を
やった覚えがあります。

十数人で円陣を組んで、
一人ひとり自分が好きな女の子の名前を言っていき、
そのたびに「ひゅーひゅー」とか声を掛ける。
たしかジャンケンで負けた順に、
想いの人の名を告げて、
その順番に恥ずかしがって
ほほを赤くしていくって遊びです。

でもその遊び、やる前はどきどきで
すっごく面白そうに思えたんだけど、
実際やってみると、そんなに楽しくなかった。

だって、ほとんどのガキどもが、
みんな同じ女の子の名前しか言わないんです。
学級委員で、勉強が良くできて、色白で可愛い、憧れのあの子の名前。
んで、ぼく的にはその子よりも、
日焼けしたそばかす顔でいっつも走り回っている
おてんばさんが良かった。
だけど、その告白大会では、口に出しません。

小心者のぼくは、
小学生のときにはもっと小心者だったので、
みんなと同じことしか言えないんです。
長いものには積極的に身をゆだねて巻かれ、
いつも大樹の陰だけに身を寄せています。

だから、その場ではぼくも学級委員ちゃんを、
自分の好きな子の名として発表しました。
「ホントは違うよ」と心の中でアカンベーしながら。

で、この『ギヴァー 記憶を注ぐ者』。

ネットでとっても評判が高かったので、
それにつられて読んだ本です。
最初に見たのはツイッターで、
ほかも見てみよってアマゾンとかもチェックしたら、
どれもみんな好評価。
これはちょっと、押さえておかないといけないでしょ、
って買ったんですが……うーん。

この本は、面白かったです!
そしてぼくは、小心者です。


ギヴァー 記憶を注ぐ者
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2011年12月12日月曜日

『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』(京極夏彦)読みました。

前にも言ったと思いますが、
ぼくはだいたいその月の初めの頃に
10冊足らずの本を買い、
約1カ月かけてそれらの本を読み進めます。

読書の場所は3カ所です。
昼休みの会社、帰宅途中のバスの中、就寝前の寝床。
読みかけの本はそれぞれ、
会社にある棚、通勤用のリュックサック、ベッドの上に
ストックされています。

さて、ここで問題になるのが、
どの本をどこに割り振るかです。

面白くてやめられなくなる本を会社に置くと、
仕事に支障をきたします。
ホラーなんかを寝床で読むと、怖くて眠れなくなっちゃう。
分厚くて重たい本をリュックサックに入れると、
ランニング通勤がとてもつらい。
そんないろんな要素を考慮しつつ、
楽しい選別作業をしていくのです。

で、この『ルー=ガルー2』。
読書の場所は帰宅途中のバスになりました。

なぜ、この場所になったのかを消去法的に説明しましょう。
まず、就寝前の寝床。
ここには、ほかの積ん読本がたくさんおいてあったので、
一刻も早く読みたい京極さんの本には向きませんでした。
次に会社。
ぼくは京極さんのファンで、前作も読んでいて、
この本も、とっても面白いだろうってことは予想がついていました。
だから、会社に置いておくのは、
仕事が滞るので危険なんです。
よって、会社はダメ。

そうして残ったのがバスの中でした。
でも、この本、分厚いんです。がさばるんです。
それに普通の文庫本なんかに比べると重たいんです。
それを約5キロのランニング通勤時に、
リュックに入れて持ち運ばなきゃいけない。
その覚悟ができていないと、読めないんです。
それでもし、とんでもない駄作だったら、
とんでもない徒労感が襲ってくる。

でもね。大丈夫でした。
苦労して会社と自宅の間を往復させても、
応えてくれるだけの面白さ、ありました。
やっぱ、面白い作品を堪能するには、
それなりの努力が必要ってこよなんですよ、きっと。



※読んだのは新書サイズのノベルスだったんですが、
なぜか、新書版はアマゾンの画像リンクが上手くできないので、
単行本版を載せておきます。
ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔
京極 夏彦
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2011年12月7日水曜日

『河内源氏』(元木 泰雄)読みました。

この本にたどり着くまでの経緯は、
高村薫『太陽を曳く馬』→『<マンガ>正法眼蔵入門』→
『現代文訳 正法眼蔵』→立松和平『道元禅師』でした。
ぜんぜん理解できなかった道元さんの
正法眼蔵にひっぱられて、なぜか源氏です。

道元さんの人生を描いた立松さんの小説で、
そもそも正法眼蔵が書かれたのが
鎌倉時代だってことを知り、
それじゃあ、いい国つくろう鎌倉幕府の源頼朝か、
んじゃあ源氏だって思っていたところに、
新聞の書評かなにかで、源氏のことを知りたいなら、
この『河内源氏』を読みなさい、
みたいなことが書かれてあって、
よしこれだと思ったのが、きっかけでした。

でもね。確かに源頼朝は、
河内源氏という一族みたいなんだけど、
この本は、頼朝が出てくるまでの、
その親とかお爺さんとか3代前とか、
そんな人たちの紹介がメインで、
本の最後のほうでやっと、
「周知のようにこの後、頼朝が鎌倉幕府をつくることになる」
みたいなとこでしめられてる。

だから、
道元さんの生きた時代のことを理解しようと思っても、
その部分は触れてなかったんです。

なんとまあ、道元さん。
道元さんはぼくにとって、
簡単にはたどり着いちゃいけない難物ってことなんでしょうね。

とはいえ、この本、勉強になります。
ほかの学者の説を、
けちょんけちょんに言っている部分がたまにあって、
それが、なんかイヤなんですけど、
それ以外は面白い。

時代物を書いている小説家の人たちは、
きっとこういう本を読んで、刺激を受けて、
「今度、この人をテーマにしよ!」とか思うんだろうな。


河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)
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2011年12月5日月曜日

『伝わる! 文章力が身につく本』(小笠原信之)読みました。

パソコンの解説書をつくるとき、
ホントはそんなに力を入れなくてもよいはずなのに、
なぜか力んでつくちゃうのが作例です。

パソコン解説書というと、
操作しているトコの画面ショットに引出線を引き、
「ここをクリック」みたいな説明文で構成するのが大半です。
へたすると、十数ページつくり終わって、
入力したテキストを見直したとき、
書いた文字が「ここをクリック」だけだった
ってこともあります。

もちろん、どこをクリックするのか、
それをキチンと指示するのにとても神経を使うんですが、
それって、あまりクリエイティブな作業じゃない気がしてきて、
それならば、ってことで、
作例を載せる画面ショットのほうで
欲求不満を解消しようかな、
なんてアホなこと考えちゃうんです。

文章作成ソフトの解説書なら、
「ここをクリック」とかの引出線の後ろに隠れている文章を
泣かせる物語にしちゃったり、
画像編集ソフトの解説本では、
ライティングなんかを懲りに凝った芸術チックな写真を撮り、
それを作例にしちゃうとか。
表計算ソフトだと、
学校の成績表の集計を作例にして、
今まで勉強ができなかった子どもが
徐々に成績が上がっていくような裏ストーリーを加えたり。

これ、内輪ウケなのかもしれないけど、結構評判いいんです。

で、この『伝わる! 文章力が身につく本』。
うんうん、そうだよね。
正しい文章って、そんなふうに書くべきだよね
って教えてくれる本でした。
でも、そんなこと求めるほうが悪いんだけど、
作例が面白くありませんでした。
作成がつまらないほうが「伝わる!」のかもしれません。

伝わる!文章力が身につく本
小笠原 信之
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2011年12月1日木曜日

『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』(福島文二郎)読みました。

3つのタイトルを同時発売する
シリーズ本の中の1冊をつくったときのこと。
どれが一番売れるかな、なんて、
競馬の予想みたいなことをしました。

それぞれの中身をざっくり読んで、
「完成度からすると、一番はAかな、次はB……やっぱ、
Cはちょっと雑につくりすぎているから売れないだろう」。

んで、ぼくのつくったのはBです。
一番売れるなんて、おこがましいことは言いません。
でも本心は当然一番と思ってたんですけどね。

そして発売。
フタを空けてみると、Cが断トツの売れ行きでした。
図版の位置が間違っていたり、誤植があったり、
すんなり意味の通らない文章が
あったりした「C」だったんです。

なんでだろうって考えました。
行き着いた答えは、タイトルでした。
ターゲットにした読者層に一番響く本の題名が、
「C」だったんです。
(それぞれがどんなタイトルだったかは、
いろいろと支障があるので、内緒)

んで、
『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』。
とっても売れているみたいです。
この本のタイトルっていいです。うまい。
売れる本って、こういう本なんですね。

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方
福島 文二郎
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2011年11月30日水曜日

『幽霊人命救助隊』(高野 和明)読みました。

処理に困っている産業廃棄物を有効利用して、
新たな製品をつくる会社に取材したことがあります。

ぼくは、その話を聞いて、
とても世の中の役に立つことだから、
みんな大賛成で、事業はスムーズに進むものだと思い、
取材中「へえーすごいですね!」
「みんな喜びますよ!」
みたいな反応を繰り返していたんです。

すると、その会社の人は、
ぼくのことをたしなめました。

「自分たちがいいと思っていることでも、
悪いと感じる人は必ずいます。
悪いとまではいわなくても、
ある人たちにとって都合が良くない場合はたくさんある。
みんなが諸手を挙げて、
“それいい!”と言ってくれることのほうが少ない。
というより、みんなが賛成するものなんて、
現実には、ないのかもしれません」

うん。この人すごいなって思いました。
普通、こんな取材のときは、
「自分のやっていることは間違いない。
ねっ、素晴らしいでしょう」って言い張るのに、
この人は違う。誠実なんだな、きっと。

一つの側面だけ見て、物事を判断すると、
間違っちゃうことがある。
でも、まったくモレのないように、
全部の側面を検討することもできない。
だから、自分が絶対とは言い切れないんだよと
教えてくれた気がしました。

とはいえ──。
文章書いたり、物語つくったりするときには、
決め打ちで進めなきゃいけない場面もあります。
取材してきた範囲の中で断定しなきゃいけないことも、
自分の中にある知識だけでキーボードを
ペコペコ打たなきゃいけないときもあります。
特定の側面だけを覗いて書いた文章ですね。
んで、そんな文章を、反対の側面の事情通が読むと、
とっても浅く感じちゃう。

まあ、浅く感じさせないように、
手を変え品を変え、見え方を工夫するのが、
ぼくの仕事なんでけどね。

で、この『幽霊人命救助隊』。

申し訳ないんですが、浅く感じてしまいました。
物語を裏付ける特定の側面の物事に対して、
ぼくがたまたま知っていた反対の側面の事情みたいなものが
見え隠れしてしまったんです。
ぼくはいい読者じゃあ、ありません。
だって物語は、決してつまらなくはないんですから。

幽霊人命救助隊 (文春文庫)
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2011年11月28日月曜日

『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)読みました。

話題になっているホームページの
紹介記事をつくっていたことがあります。
たしか雑誌に載せる記事でした。

紹介するホームページを閲覧して
文章で概要をまとめ、
写真スペースには画面ショットを
載せるって体裁です。

こういう記事をつくるときには、
そのホームページを公開している個人なり企業なりに、
事前に「雑誌に紹介記事を載せてもいいでしょうか」って
お伺いをたてます。いわゆる許諾ですね。
文章だけの紹介記事なら問題はないと思うんですが、
画面ショットを載せるとなると、
ホームページ制作者の作品を
そのまま載せることになるので、
やっぱ許可が必要になるんです。

その仕事をしているとき、
「おっ、やるな」と思ったホームページがありました。
どんなページだったか、内容はすっかり忘れちゃったんですが、
覚えているのは、
「許諾するな」みたいなことが書かれてあった点です。

人気のあるホームページで、
リンクをはりたいとか、紹介記事を書きたいとか、
そんな申し込みが、きっとたくさんあったんでしょう。
その申し込みにいちいち対応してるのが
面倒だったのかもしれません。

そのページに書かれてあったのは、
「リンクしようが、紹介しようが、
画面ショットを載せようが、まったくOK」って内容でした。

さらには、文章も画像も勝手にコピーしてもいいし、
作者の名前も出しても出さなくても何でも結構と。
もうひとつさらに、許諾のメールなんか送ってきたら、
そんなヤツには許諾しないので、
何も言わずに勝手に使うヤツだけに、使わせてやる、
ってなことまで書かれていました。

ぼくも基本的には、
このホームページ作者と同じような考えを持っています。
ぼくが個人的につくった文章やイラストなんかは、
誰がどう使おうがOKです……って、使いたい人はいないか。

んで、一回でいいから、
著作権の縛りがない世界にならないかなぁなんて思ってたんです。

で、この『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』。
ぼくみたいな考えは、あながち間違いじゃないかも、
って感じさせてくれました。

日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか
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