2016年11月30日水曜日

『ジロンド派の興亡 小説フランス革命10』(佐藤賢一)読みました。



忘れていたことさえ
忘れていたような過去のあれこれが、
ひょんなきっかけから、
ふいによみがえってくるって経験は、
多かれ少なかれ誰もがあるものでしょう。

少し前、そのきっかけになったのは、
自動販売機で買った
ミネラルウォーターでした。

最近は純粋な水だけじゃなく、
ほのかなフルーツ味のついているのが
出回っていて、
ぼくはあまり見たことのないパッケージの
「ちょっぴりオレンジ味」を買いました。

自動販売機の
本体に書かれているメーカー名と、
並んでいる飲料品の製造元が
てんでばらばらで、

どっかの安売り店で買ってきたのを
無理矢理並べたんだろ!

なんてツッコミを入れながら、
ちょっぴりオレンジウォーターに
口をつけました。

すると、これがなんと、
昔よく飲んだオレンジ粉ジュース味
そのままでした。

その瞬間です。

小学校の遠足のとき、
友だちに叩かれ泣かされた情景が
浮かんできたんです。

遠足にオレンジ粉ジュースを持参し、
水筒の中に入れて飲んでいたとき、

「お前! その粉ジュースのぶんが
 お菓子300円以内を超えてるだろ!」

と友だちに指摘されました。

そいつは「えっ、えっ」と
オロオロしているぼくの頭をポンと叩き

「先生に言ってやるからな」

と走り去っていきました。

ぼくは、
悪い事をして申し訳なく思ったのか、
叩かれて痛かったのか、
とにかく泣き出しちゃったんです。

そのあと先生に怒られたかどうかは
覚えていません。

というか、そんなことがあったことさえ、
今までまるっきり忘れてました。
ちょっぴりオレンジウォーターを飲むまでは。

記憶ってのは、きっかけ一つで、
ぽろぽろと出てくるもんです。不思議です。

で、この『ジロンド派の興亡 小説フランス革命10』。

9巻を読んだのは3年程前。
でも、この10巻を読んだら、
ぽろぽろって前巻までの内容が
頭の中に浮かんできました。
不思議なモンです。







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2016年11月28日月曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない5』(伏見つかさ)読みました。



そのためだけに、
わざわざ飛行機に乗って
やってくるようなファンが
何人もいるほどの
人気のそば屋さんを
取材したことがあります。

店主へのインタビューです。

そば打ちの奥深さなど何も知らなかった
(今も知りませんが)ぼくは、
いつものごとくアホな質問を
してしまいました。

粉を練って、伸ばして、切っての
単純作業を繰り返す毎日って
「飽きませんか?」

そんな脳みその足りない質問にも、
誠実に答えてくれたのは、
やはり人格的にもできた
職人さんだからでしょう。

「毎日違うんですよ」

ご主人は、
大仏様のようなアルカイックスマイルを
浮かべながら言いました。

昨日は大雨でも今日はピーカンの青空
……みたいに天気は毎日違う。
昨日と同じと思う日でも、
気温、湿度、風の向きや強さなど、
まったく同じ日はない。

ソバもそんな感じだと
ご主人は教えてくれました。

その日の状態によって
実のひき方も変えるし、
打ち方も変え、
試行錯誤しながら、
おいしさを引き出す。

毎日が発見だと言ってました。
飽きてるヒマなんかないって。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない5』。

何だかんだ言っても
何とか5巻まで読み終わりました。
おや? これはちょっと
今までと違う盛り上がり方かな
って部分がありました。
そこんところは
飽きてるヒマありませんでした。
よし! あと7巻。




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2016年11月24日木曜日

『窓から逃げた100歳老人』(ヨナス・ヨナソン)読みました。


少し前まで、
この感想文もどきに紹介する本が
山田風太郎さんの作品ばかり
だった時期がありました。

「よくもまあ、
 どんだけアホなことを考えられるんだ」
と感心して、
マイブームになっちゃったんです。

山田さんの頭から生まれ出る
アホなモノとは、忍法でした。

例えば、
ブーメランみたいな武器を使う忍者が、
モノだけじゃなく、
自分の身体も、くの字型に折り曲げて、
自らがブーメランになる忍法だとか、

キスをした相手に、
その口から超小型の自分を忍び込ませ、
そいつを意のままに操る術だとか

……え、大したことないですか。

じゃあ、
くのいち忍者の股間から、
ぶくぶくぶくと泡が飛び出して、
とんでもなく膨れあがり、

それを見た人は、
どうしても泡の中に入りたくなる
って忍法はどうでしょう。

泡に入った人は、
胎児のように手足を丸めて縮こまり、
赤ちゃん返りしてしまう。

泡がなくなってからも、
10日間はバブバブいいながら、
ハイハイするだけ。

ね、アホでしょ。
ホントはもっとすごいのがあるんだけど、
それは読んでのお楽しみにしときます。

で、この『窓から逃げた100歳老人』。

まったく忍法は出てこないし、
アイデアの方向性も違うけど、
その荒唐無稽さ加減、滅茶苦茶度合いは、
風太郎先生に勝るとも劣りません。
楽しかった。





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2016年11月21日月曜日

『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー)読みました。


ふらふらしていた若い頃。
会社をいくつ転々としていたか
覚えていないんですが、

その中の一つに
「これぞ親分」みたいな
度胸の据わった社長がいました。

ぼくがどんな失敗しても
「ああ、かまーねぇ、かまーねぇ、
 いいんだ、ンなもん」
なんて言って、

どっかに電話一本かけて、
失敗なんかなかったことにしてくれる。

しかも、それをとがめることもない。

他の会社からは買わないって約束で、
ものすごく安い値段で
仕入れていた品物だってことを、
ぼくが知らずに

「えぇー3日かかるんですか、
 B社さんは昨日頼んで
 今日持ってきてくれたのに」

なんて
電話口で言っちゃったもんだから、

隣で聞いていた先輩が、
「お前何言ってんだ!」
と怒鳴ったときも、

「かまーねぇ、かまーねぇ」
って何事もなかったようにしてる。

そのときは、
スグには電話しなかったけど、
あとで何かの手当をしたんでしょう。

それまでと変わらず、
安い値段で仕入れていたから。

そんな親分の好物が、
なぜかお菓子のキャラメルコーンでした。

「買ってこい」
と言われるたびに、

「ちゃうでしょ社長。
 違うモン買いに行かせてよ」
と思ってました。

ちゃうことって結構あるもんです。

で、この『プレイバック』。

チャンドラーさん好きだけど
読んでいなかった本。

……でもな、こんなだったっけ。
マーロウ探偵って。

ちゃうこともあるのかな。




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2016年11月18日金曜日

『グラスホッパー』(伊坂幸太郎)読みました。


たくさんの人の
アクセスが殺到する人気のブログや
フォロワーがごまんといる
ツイッターなどは、

たいてい批判的な内容の
投稿ばかり載せている傾向にある。

ってことを、何かで聞きました。

誰かのことをバカにしたり、
冷やかしたり、
揚げ足をとったりするのが、
みんな好きなんでしょうね。

そのほうが、いい事を書くより、
多くの分量を書ける気がするし。

で、この『グラスホッパー』。

この本については、
いい事しか思い浮かばないので、
ちょぴっとの文章しか書けません。

面白かった!

「むくげ」が「あさがお」。





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2016年11月16日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない4』(伏見つかさ)読みました。



前は少し違ったように思うんですが、
最近のランニング通勤で
一番つらいポイントは、

通過する信号の数でいうと、
1番目から3番目くらいまでの間です。

距離でいえば1キロ前後。
最初の信号は、
スタートしてから約800メートルの距離。

そこにつくまでの
はじめの半分くらいは、
身体をならすために超スローペースなので、
それほど息は上がりません。

でも、ペースはそのままなのに、
信号が見えてくるくらいの
距離になると、へろへろ度が急上昇し、

「わー!もうやめたい!」
と心の中で叫んでいます。

このとき、信号が赤になれば、
足踏み状態で休憩できるので、
なんとか助かる。

でも運悪く青信号だと、
休憩なしで
そこから約200メートルの
2番目の信号まで
走りを継続しなきゃなりません。

そんときは、
意識ももうろうとしています。

でも、
この信号はたいていは赤なので
そこで小休止できます。

とはいえ!
何かのタイミングで
2つ続けて青のときがあるのです。

そうなると、
あと300メートルほど先の
3番目の信号までは、
死んだ状態で走るのです。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない4』。
2つ続けて青のとき、
3番目がさらに青だったのは、
これまで1度しかありませんでした。
それでも、3つ目の信号を超えると、
つらさを感じる機能も鈍化してしまうのか、
死んだ状態のまま、
約6キロを走り切れちゃうんです。

この本のシリーズはあと8巻ありますが…。




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2016年11月14日月曜日

『書店主フィクリーのものがたり』(ガブリエル・ゼヴィン)読みました。


現在形と過去形の使われ方について、
たしかちょっと前の
『ミスター・メルセデス(上)』
感想文もどきに書いた気がします。

さすがスティーブン・キングさんだけあって
物語はものすごく面白いんだけど、
訳の日本語が、英語そのまますぎて、
現在形が多く、リズムが合わないって。
なんかカクンカクンしちゃうって。

そのときは、
現在形が多すぎるとは書かなかったかな。
でも、多すぎてたんです。

英語の原作を書いた作家が、
日本語の翻訳をチェックしたくて、
もう一度直訳しなおしてもらい、
それを校正する人がいると
聞いたことがあります。

そのときに
「自分は現在形で書いたのに、
 過去形になっているじゃないか」と
ダメ出しする人もいるとか、いないとか。

で、この『書店主フィクリーのものがたり』。

訳者のあとがきで、
現在形・過去形の問題に触れていました。
現在形ばかりだったので、
座りが悪くなってしまったと。
でも、読み直してみて、
それで良かったのだと思ったと。

うん。ぼくもそう感じました。
この本に関しては、これが良かったです。





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2016年11月9日水曜日

『宇宙のはじまり』(多田将)読みました。


小学校の理科の時間。
うろ覚えなので細かなトコは
間違っているかもしれませんが、

「太陽と地球の大きさを
 比較してみよう」的な授業がありました。

ぼくらは、ピンポン球かビー玉か、
それとも工作セットらしきものに
入っていた積み木の中の木製玉
みたいなやつか……ま、そんなのを持って、
校庭に出ましょうと言われました。

「はい、こっちですよ」

などと先生に先導されながら、
グランドのハシの端のほうまで
連れて行かれ、
みんな塀づたいに並ぶように集まった。

そこで先生は
「ではみんな校庭のほうを向いてください。
 向こう側の隅に
 体育用具の倉庫が見えますね。
 あの建物が全部、
 丸い風船の中に入っていると思って、
 その大きさを思い浮かべてください」
と言いました。

「はーい」

「では、地球と太陽の大きさを比べます。
 今君たちが持っている球が、
 地球の大きさだとします。
 すると太陽の大きさは、
 今思い浮かべた体育倉庫を包んじゃう
 風船くらいの大きさになります」

「えー、ウソだ!」

「ウソじゃないですよ。
 それで地球の大きさが
 その球くらいだとしたら、
 太陽までの距離はここから、
 体育倉庫くらいあるんです」

「えー、ウソだ!」

で、この『宇宙のはじまり』。

世の中にある物質は
すべて原子からできていて、
その中身は、中心に原子核があり、
その周りを電子が回っているそうです。

で、原子核が
シャーペンの芯ほどの大きさだとして、
それを体育館の中心に置いたら、
電子は体育館の外側を
まわるくらいの軌道になるそうです。

って、この本に書いてありました。

「えー、スカスカじゃん!」
「ウソじゃないですよ」






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2016年11月7日月曜日

『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』(井上晴夫)読みました。


コンピュータの
アプリケーションをつくるとか、
システムを開発する
とかいったとき、

完成度の高いものに
するための秘訣は何かと、

その道の技術者に
質問したことがあります。

返ってきた答えは

「なるべく少人数でやること。
 できれば全部を一人でやること」
でした。

どんなに高機能なソフトであろうが、
複雑なシステムであろうが、

いや逆に規模が大きくなればなるほど、
大勢がかかわるのではなく、

一人の頭で最初から最後まで
仕上げるのがいいって、
その人は言ってました。

ぼくは、
複数のライターさんに手伝ってもらいながら、
一冊の本を仕上げる仕事をやってきたので、
この技術者さんの言うことは
身にしみてよくわかりました。

たくさんいればいるほど、
収拾つかなくなっちゃうというか、
統一感がなくなちゃうというか。

分担するから
作業自体は短時間で終わるんだけど、
いわゆる「でき」が、
どうも納得いかない。

それを納得させようと
修正していると、
結局、
自分一人でやったほうが早い
なんてことになる。

で、この『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』。

あとがきをみると、
たくさんの執筆者がいたようです。

でも、読んでいて、
統一感がないなどは
微塵も感じませんでした。

まるで
全部一人でつくったみたいな完成度。
すごい!





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2016年11月4日金曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない3』(伏見つかさ)読みました。


今は出勤するのに
約6キロの道のりを
ランニングで通っていますが、

5年ほど前は走る習慣もなく、
そのときは会社までの距離も
10キロくらいあったので、
チャリを使っていました。

チャリ以前は、電車通勤。

それだけでは運動不足だったから、
まず会社近くのジムまでいき、
プールで泳いでいました。

そのとき自分に課していたのが1キロ。
25メートルプールなので20往復です。

約30分ほどの水泳時間中に
しばしば思い出していたのは、
水泳部だった友だちが

「部活の最中プールに入ったときは
 底に足をつけると先輩に殴られた」

って言葉でした。

それと同じような掟は
ぼくが入っていたバドミントン部にも
ありました。

先輩の話を聞くとき、
常につま先立ちしなくはダメで、
かかとをつけると叩かれるんです。

で、ジムで泳いでいたときは、
その友だちのことを思い出し、
どんなにキツくなっても、
底に足をつけないようにして、
20往復のゴールまで、
溺れかけながらたどり着いていました。

今やってるランニングでも、
「底に足つけ禁止」の代わりに
「とまる&歩き禁止」を自分の掟にして、
へろへろになりがら、走り抜いています。

途中でやめるとか、
適度に休みを入れるとか、
そういうスマートなやり方が、
どんなことに対しても
できなくなっているのは、
きっと、
若かりし頃のトラウマが
影響しているんだと思います。

で、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない3』。

ふーっ。
シリーズ全巻を読み終えるまであと9巻あるのか…。





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2016年11月2日水曜日

『天切り松 闇がたり 5 ライムライト』(浅田次郎)読みました。


このブログ、
グーグルブログで作成したものを
会社のホームページの
端っこのコーナーにリンクを貼っただけなので、

読んでくれている人の数なんて、
たかがしれているんだろうな
って思っていました。

まあ、
会社のサイト全体のアクセス数も
それほど多いわけじゃないから、
「たかがしれている」の予測は
間違いじゃないんですけどね。

でも、でも、しかし。

このあいだ出席した同窓会で、
久々に会う人たちの3人に一人が
「お前の本のブログ、読んでるぞ」
って声を掛けてくれるんです。

なんだかこそばゆくなって
「あ、どうも」
くらいしか答えられませんでした。

しかし、これを読んでも、
紹介している本の内容や、
面白いかどうかの善し悪しは、
わからないだろうな。
もっと内容を書かないとダメだよな…。

で、この『天切り松 闇がたり5 ライムライト』。

内容の紹介はほかの情報サイトに譲るとして
「いい本です。オススメです」
……あ、まただ。





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