2014年2月26日水曜日

『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』(伊集院静)読みました。

国語の先生が
こんなこと言っていたのを覚えています。

「森鴎外と夏目漱石は同時代に生きていたんだぞ。
 こんなに凄い作家が2人も。
 時代が違うならわかるが、
 2人が生きていた時期は完全に重なっている。
 もしかしたら、街角で偶然、
 出会ってたかもしれないんだぞ。
 不思議だろう。そう思わんか」

日本文学を代表する2大作家が、
別々の時期じゃなく同じ時に生きていた。
それは、この国語の先生が言うとおり、
確かに不思議な気がします。

でも、先生がそのあとに言った
「街角で偶然出会ったかもしれない」の部分が、
引っかかっていたんです。

「出会ったかもしれない」とは、
実際には出会っていないということを
におわせてますよね。

だから先生の言葉を素直に解釈して、
この大作家同士は、出会ったことがない……。
そこに違和感を感じていたんです。

で、この『ノボさん』。

この本によると、
正岡子規の家に仲間が集まったとき、
そのメンツの中に、
森鴎外と夏目漱石も一緒に入っていたようです。
そりゃ会うでしょ、文豪同士なんだから。

いろんな本を読むと、
いろんなことがわかります。



ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石
伊集院 静
講談社
売り上げランキング: 7,226


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月24日月曜日

『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(井川意高)読みました。

雪のゲレンデを滑り降りたいと思ったとき、
波乗りで使うサーフボードをかついで行っても、
役には立たないでしょう。
雪の上の滑走用にはつくられていないもんね。
そんときゃ、スノーボード。

お腹が空いたとき、
絵に描いた餅をいくら眺めても、
満腹にはなりません。
いくら食べ物を描いた絵だって、
それは食べるためにつくられたんじゃないもんね。
そんときゃ、本物のモチ。

何かを期待して、
望み通りの結果を得たいと思ったら、
それに適したモノを選ばなくてはなりません。

面白い物語を読みたいなと思ったら、
物語とか小説とかを選ぶべきで、
同じ本だからといって、辞書とか受験用参考書とか
パソコンの操作解説本なんかを開いても駄目なんです。

で、この『熔ける』。

何を間違ったのか、ぼくは、
この本を読む前に、面白い物語を期待してました。
……あらら、そうじゃなかったんですね。
別のモノを期待すればよかったな。
上手な言い訳の仕方とか。


熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録
井川 意高
双葉社
売り上げランキング: 928


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月21日金曜日

『ビブリア古書堂の事件手帖 (5)〜栞子さんと繋がりの時〜』(三上延)読みました。


パソコンの辞書には、
「人間の知性・感情・身体の変化の周期性。
 運命判断の手法として用いられる」
って載ってました。

「バイオリズム」の説明です。

周期的なのかどうか計ったことはないんですけど、
悪いときイイときの波ってありますよね。
身体も頭も、調子は一定じゃない。
ゆらいでるんです人間は(いや、ぼくは)。

仕事で1つの記事を書くのに
数日かかることもあれば、
同じような内容なのに半日でできちゃうこともある。

早さだけじゃなく、質も同じで、
ほれぼれするような文章が出てくることもあれば、
いくら書いてもわかりにくいへぼ文章しか
叩き出せないこともある。

なんにしても、
そのときの出来不出来ってのは、
自分ではコントロールできないもんです(ぼくは)。

で、この『ビブリア古書堂の事件手帖5』。

1〜4巻まで、めちゃエクセレントでした。
でも、この5巻にきて、胸への響きが、
これまでより、ちっちゃくなっちゃった。

ぼくの感受性のバイオリズムが
低調期に入ったのかな、それとも…。


ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)
三上 延
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014-01-24)
売り上げランキング: 81


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月19日水曜日

『ジェノサイド(下)』(高野和明)読みました。

世の中を動かすツールとして「おカネ」って
かなりイイ線いってると思うけど、
完璧じゃないですよね。

というか、
イイ面をみないで欠点だけみると、
「こんなモン、世の中に存在しないほうが
 人は幸せに暮らせるんじゃないの」と思えちゃう。

例えばおカネは、
モノの交換を簡単にするためのツールなのに、
モノの価値を公平に表せないことがあったりする。

宝くじで当たった100万円と、
何日も徹夜してやっと納品した仕事の
報酬としてもらえる100万円が、
同じ価値だとは思えないっしょ。
けど、世の中的には100万円は100万円で同じ価値。

人に喜んでもらった見返りでもらえるおカネがあって、
それとは逆に、
人を悲しませて手に入れるおカネもある(そんなことが
できちゃうっていう欠点がある時点で、
普通なら不採用でしょ)。

きちんとした価値が表現できるような
おカネに代わる道具ってできないかしら。
そんな道具を、結構前から考えているんですけど、
思い浮かばないんですよね。

で、この『ジェノサイド(下)』。

再読で2回目です。
今回は、文庫版を購入して読みました(上下とも)。
んで最初の1回目は、単行本を購入して読みました。
つまり合計1890円+630円+672円=3192円。
でも面白さの価値には追いつかないな。
ちゃんとした価値が示せるツールで
世の中動いていかないかしら。


ジェノサイド 下 (角川文庫)
高野 和明
KADOKAWA/角川書店 (2013-12-25)
売り上げランキング: 1,155


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月17日月曜日

『桃尻娘』(橋本治)読みました。

ウディ・アレンの『カメレオンマン』って映画では、
周囲の環境でころころ変わる人が描かれてますよね。

例えば、
ほかの人と会ったとき、
その人が黒人だったら自分も黒人になり、
白人なら白人に、
黄色人種だったらアジアの人みたいになっちゃう。
まさにカメレオン。

人って誰でもカチッときまった性格があるんじゃなく、
その場その場で、変わっちゃうもんだよ、
面白いでしょ。って映画でした。

外ズラはそれなりに繕っているのに、
家に帰るとブスっとしている人とか(ぼく)。
家では弁慶なのに、外ではへたれとか。
あの人がいるとよくしゃべり明るいのに、
この人と一緒だと苦虫をつぶした顔ばかりしているとか。
同じ人なのに、対する人が違うと、
性格が変幻自在しちゃう。

ってことは、
初対面で一度しか会ってない人は、
その人がほかにどんな顔を持っているのか、
わからないわけで。
それだけで判断しちゃいけないわけで。
自分にはちょっと合わないなと思っても、
もうちょいほかの顔を探ってみたほうがいいと。

で、この『桃尻娘』。

前から読みたいと思っていた橋本治さん。
どうせならデビュー作からと思っていて、
でも、それがどこにも売ってなくて、
やっと入手できたので、読みました。

……うーん、そうかぁ。
よし!これだけで判断しちゃだめだな。
もうちょいほかの顔を探ってみよっと。


桃尻娘 (ポプラ文庫)
桃尻娘 (ポプラ文庫)
posted with amazlet at 14.02.17
橋本 治
ポプラ社
売り上げランキング: 379,821


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月14日金曜日

『11/22/63(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

昔は8ミリでよく自主映画を撮ってました。
優柔不断なぼくは、
「とにかく完成させるのが一番」なんて考えて、
結構強引なつくり方をしていたもんです。

役者のスジュールがどうしても合わなくて、
「前から好きだったんだ」
「私も……」
みたいな大事な告白シーンでも、
男の子と女の子をカットバックで別々に撮影して、
男の子のバストアップでは、
雪がしんしんと降っているのに、
切り返した女の子のカットは、
お日様かんかん照りでまぶしそう
……みたいな。

それでも、ぼくと同じように、
カットバックの背景つなぎなんかが滅茶苦茶でも、
とんでもなく面白い自主映画って結構ありました。
そんな作品を観ると
「なんでこんなしびれちゃうようなモン撮れるんだろう」
って嫉妬して、
「よし!次こそ、ぼくだって!」
と思っているうちに、
いつの間にか自主映画も撮らなくなって、
気がついたら50歳になってました。

で、この『11/22/63(下)』。

雪とピーカンのカットバックほどじゃないけど、
ちょっとした突っ込みどころ、見つけちゃいました。
でも、でも、でも!
そんなのぶっ飛んじゃうほど、とんでもなく面白い。
「よし!次こそ、ぼくだって!」


11/22/63 下
11/22/63 下
posted with amazlet at 14.02.14
スティーヴン キング
文藝春秋
売り上げランキング: 6,802



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月12日水曜日

『ジェノサイド(上)』(高野和明)読みました。

今年になって始めた
「最近5つ星評価つけた本を、
 再読しちゃおう」プロジェクト。

この前は、平田オリザさんの
『幕が上がる』を2回目読みしました。

話の展開がわかっていても、
自分のツボにはまった作品は、
泣けてくるモンだということが、まじまじわかり、
このプロジェクト、
我ながらいい企画だと感心しています。

そこで、忘れないうちに、
これから再読しようと思っている作品を
ここにメモちゃいます。

『「悪」と戦う』(高橋源一郎)/『八朔の雪』(高田郁)
『空色バトン』(笹生陽子)/『虚言少年』(京極夏彦)
『有頂天家族』(森見登美彦)/『理科系の作文技術』(木下是雄)
『ふがいない僕は空を見た』(窪美澄)/『楽園のカンヴァス』(原田マハ)
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(リチャード・ファインマン)
『ミレニアム』(スティーグ・ラーソン)/『恋歌』(朝井まかて)
『小太郎の左腕』(和田竜)/『日の名残り』(カズオ・イシグロ)
『ならずものがやってくる』(ジェニファー・イーガン)
『南極点のピアピア動画』(野尻抱介) 順不同

で、この『ジェノサイド(上)』も、
再読リストの中の1つでした。

2度目でも、どきどきわくわく、イイっす!
(まだ下巻が残ってるけど)

ジェノサイド 上 (角川文庫)
高野 和明
KADOKAWA/角川書店 (2013-12-25)
売り上げランキング: 2,112



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月10日月曜日

『家守綺譚』(梨木香歩)読みました。

かのノーベル賞作家の大江健三郎さんは、
「わざとややこしい複雑な文体で小説を書いている」
って噂を聞いたことがあります。

理由は、
読者に時間をかけて読んでもらいたいから、だとか。
斜め読みでも理解できちゃうような
簡単な文章にしちゃうと、じっくり読んでもらえない。

だから、文章の構造を、
すんなりとは読み下せないような複雑な形にして、
1行1行、1文字1文字に
気づかいながら読ませるような文章にする。

この話、出元不詳の噂話
(ぼくの勝手な想像なのに
 誰かから聞いたと勘違いしている可能性も)
なので、本当かどうか確かめたワケじゃありません。

でも、大江さんのような大御所作家なら、
そんなやり方をしてるのかもなって思います。
ぼくなんかが、仕事でそんな文章を書いたら、
一発でボツにされちゃいますけどね。

とはいえ、
たとえ斜め読みで十分わかる文章でも、
ホントにじっくり時間をかけて読んでいたい本
ってありますよね。
というか、時間かけないと、
頭にしみこんでこないような本。
そんな本、嫌いじゃないです。

で、この『家守綺譚』。

時間をかけて、
じっくりしみこませたい本でした。

家守綺譚 (新潮文庫)
家守綺譚 (新潮文庫)
posted with amazlet at 14.02.10
梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 5,999




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月5日水曜日

『11/22/63(上)』(スティーヴン・キング)読みました。

寝違えて首とか肩とかが痛くなるのは、
そこに無理な力がかかるような姿勢で寝ちゃって、
そのまま動かさなかったからですよね。

起きていれば、
無理な力がかかってることは意識できるから、
姿勢を変えられる。
眠っていて意識できないと、変えられない。
だから寝違えちゃう。

ということは、
眠っていなくても、
そこに無理な力がかかっているのが
わからなければ(意識できなければ)
姿勢を変えることもできず、
寝違えと同じ症状が出ちゃうってことは
ありえますよね。
いや、普通はないけど。

でも例えば、仰向けに寝た状態で
本を持ち上げながら読んでいるとき、
その物語の世界に入り込んじゃって夢中になり、
ずーっと同じ姿勢で微動もしなかったとか。
しかも、その本が分厚くて重たい本だったりしたら。

首とか肩とかに無理な力がかかっているのに、
物語の世界に没頭して、その状態が意識できない。
だから姿勢を変えられずに、
寝違えと同じような症状が出てくる。

ぼくはこれを、今回限定で
寝違えならぬ「読み違え」と呼ぶことにします。

で、この『11/22/63 (上)』。

ずっぽり「読み違え」ました。オモロすぎ!


11/22/63 上
11/22/63 上
posted with amazlet at 14.02.05
スティーヴン キング
文藝春秋
売り上げランキング: 2,923



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2014年2月3日月曜日

『清須会議』(三谷幸喜)読みました。

昔はマージャン、よくやりました。
一番やってたのは、高校生のときかな。

じゃらじゃらかき回して、山を積んで、
自分のパイを持ってきたはいいけれど、

(かーっ、何だよこのクソみたいな配パイ。
 なんにもできゃしねーよ)

と思いつつ、
ほかの3人を牽制しとかなあかんと、
思わず言葉がこぼれ出ちゃったという演技で、
「うっ、すげぇいい手……」
とか小さくつぶやいたりする。

かと思えば、配パイの時点で、

(えっ!? これって緑一色のイーシャンテンじゃん。
 初めてだよ、りゅうい〜そ〜!! うぅーあがりてぇ〜)

と内なる興奮を抑えつつ、
「なんだよ! こんな手じゃ、また、あがれねぇよ!」
と頭を抱え込む演技で、ぼやいたりする。

駆け引きやってるヤツの
「表(言葉や態度)」と「裏(気持ち)」を
両側とも見ることができたら、おもろいですよね。

で、この『清洲会議』。
おもろいです。


清須会議 (幻冬舎文庫)
清須会議 (幻冬舎文庫)
posted with amazlet at 14.02.03
三谷 幸喜
幻冬舎
売り上げランキング: 6,053



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************