2023年12月27日水曜日

『鵼の碑』(京極夏彦)読みました。


たしか映画監督の大島渚さんだったと思うのですが、
影響を受けた文学作品を聞かれ、
カミュの『シーシュポスの神話』をあげていました。

山の上に岩を運ぶよう命じられるれど、
岩は大きすぎて頂上には載らずに転がり落ちてしまい、
何度やってもダメで、ずーっと同じことを
繰り返さなければならないってあの話。

なぜ生きるのかとか、何のためにとか、
っていう哲学チックな謎の答えは
人間には結局は見つけられない。
シーシュポスの運んだ岩が、
結局は転がっていっちゃうように。

頂上には載せられないってことも、
人生の答えが見つからないってことも、
わかっていながら、
ずーっと続けていくことが大切なんだと、
カミュの本から教えられたと、
(違ってるかもしれないけど)たぶん大島さんが
言ってました。

そう、わからないんですよね。
逆にわかっちゃったら、
面白くないのかもしれないっすね。

パズルでも、謎解きミステリーでも、
ああじゃないこうじゃないと
考えることが楽しいのであって、
結末がわかったときには
「なるほど!」なんて到達感みたいなのが
あるにはあるけれど、
それでおしまいだから楽しみもジエンドですからね。

で、この『鵼の碑』。

結末の謎解き部分の前までは非常に楽しく
わくわくで5つ星評価でした。
んで最後まで読んだら星が1つ減っちゃいました。




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2023年12月21日木曜日

『天国までの百マイル』(浅田次郎)読みました。


前にもいったことある気がしますが
老眼で見えなくなっているけど、
想像して読んじゃうって話。

多くの方が経験する老化現象の例に漏れず、
ぼくも近くのものがぼやけて、
裸眼のままでは、
きちんと文字を判読できないんです。

仕事では間違っちゃいけないので、
プリントした校正紙なんかを確認するときには、
老眼鏡をかけて、くっきりはっきりさせ、
ときには虫眼鏡を使ったりもしているんですが、
普段の読書にはわずらわしくなって外してる。
寝床で読むときなんかは特に邪魔になるし。

あっ、ちなみにパソコン画面は
目の位置から離し、
比較的遠くに置いているから大丈夫。

距離が遠くなるぶん小さくて見えにくかったら
部分的に表示拡大させるから平気です。

そんで問題は手元の文字。ぼやけるといっても、
字の形がスカスカしてるひらがなとカタカナは
読めます。

綿埃みたいにモヤモヤっと見えちゃうのは
画数の多い漢字です。

でもそれって前後の文脈追ってると
なんとなくわかっちゃう。
そう、なんとなくの想像判読で
済ませちゃってるんです。ぼくの読書。
勘違いは多々ありますが。

で、この『天国までの百マイル』。

浅田次郎さんお得意の泣かせる場面で
涙が出てきて文字が滲んで見えちゃっても、
想像判読の技で切り抜けました。




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2023年12月19日火曜日

『僧正殺人事件』(S・S・ヴァン・ダイン)読みました。


ストーリーを面白くつくる方法のひとつに、
ミスリードってやり方があるんだと
最近知りました。

本当は大社長が犯人なのに、
うっぷんを抱えた社員がやったかのような
エピソードを並べて、
読者を間違った方向につれてっちゃう
みたいなやり方。

こいつがやったに決まってんじゃん、
なんて考えつつ読み進めていくと、最後に探偵が
「犯人はお前だ」と大社長を指さす。

えっ、そうなの。
やあ、騙された、騙された。

ってのが面白いと。
そういえば今まで、そんな作品に
たくさんひっかかってきたけど、
それがつくり手側の道具箱の中にある
たくさんのツールの中の1つだとは
思ってませんでした。

何冊か小説のつくり方的な本を読んだはずなのに、
なぜかそのミスリードってのは載ってなかった。

いや、きっと載ってたのに
忘れてるだけなんでしょうけど。

そのツールを上手く使いこなせたら、
むふふってなるストーリーつくれるんだろうな。
やってみようかな。
いやその前に今日の仕事終わらそ。

で、この『僧正殺人事件』。

ヴァン・ダイン作品、初めて読みました。
見事にひっかかって嬉しかったです。




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2023年12月14日木曜日

『トルコ怪獣記』(高野秀行)読みました。


もしかしたら勘違いかもしれませんが、
最近、本を読んでいる人が
多くなっているように感じます。

といっても、
通勤で使っているバス車内限定ですが。

なので、ぼくと同じ路線の地域に
たまたま本好きの人が多く引っ越してきたとか、
ぼくより先の停留所付近に、
どうしても本を読まなくちゃいけない人が
たくさん住むところができたとか、
(例えば複数出版社の合同社員寮。
 そんなものがあるかどうか知りませんが。
 それに、ほかに示せる例も思い浮かびませんが)
そういう偶発的な理由だとも考えられ
(実際に増えているかどかも不確かなので、
 理由うんぬんまで言及するのも憚れるけど)
世の中全体の傾向とはいいません。

いいませんが、
多くなっている気がします。

あ、本っていっても電子書籍じゃありません。
紙の本。それも、バスで読むので小さい文庫本です。

ぼくがその箱型集団移動装置に揺られているときは、
乗車して吊り革や手すりにつかまった瞬間、
もしくは運良く座席に腰掛けたコンマ2秒後に、
文庫本のページに目を落としているので、
ほかのお客さんの様子は
ほとんど眼中にはなかったんですが、
それでも、
ちょっと揺れが激しくなったタイミングなどで
文庫くんから目を離すと、1人や2人は、
ぼくと同じに片手でページを開いている。

少し前は、スマホだらけで、
紙の本は皆無だったような覚えがあるんだよなあ。

で、この『トルコ怪獣記』。

そんなふうにバスの中で読んだ本です。
面白かったです。




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2023年12月12日火曜日

『サマー・アポカリプス』(笠井潔)読みました。


海外の翻訳物小説は、
登場人物の名前に馴染みがなく、
読んでる途中で誰が誰かわからなくなる、
ってなところから、
最近はあまり人気がないんだと聞きました。

まあ、
それ以外にも売れなくなってる理由は
いろいろがあるんでしょうが、
日本で暮らす一般読者は、
やっぱカタカナだけの連なり文字が
読みにくいのはわかります。

ぼくなんかは、
日本人名しか出てこない物語だって
「えっ、それって誰だっけ」
とつぶやかずに読み終えられるのは、
星新一さんのショートショート集ぐらいしか
思いつかないほどですもの。

昔、海外作品のあらすじを書く仕事があって、
そのとき5人ほどの名前が、
頭の中でてれこになってしまい、
結局1人ずつ自分なりのイメージで
似顔絵を描きその下に名前を記して、
そのメモ凝視しつつ、冷や汗かきかき、
こなしたこともありました。

で、この『サマー・アポカリプス』。

登場するのはほぼフランス人。
「誰だっけ」は連発しましたが、
それでも面白かったってことは、
結構な面白さだったんでしょう。




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2023年12月7日木曜日

『檻』(北方謙三)読みました。


前回の『卒業生には向かない真実』で、
前2作はよかったのに、
この3作目はちょっと…
みたいなこと書いて、気になったから、

シリーズ1作目の
『自由研究には向かない殺人』を
読了リストで調べたら、
やっぱ、ぼくったら5つ星評価してました。

そうでしたそうでした。
主人公の明るくてブルドーザーみたいな
行動力がよかったんだ。

でもその明るさがだんだん消えてきて、
続く2作目は1つ減って4つ星になり、
3作目で本棚に残すのを迷う感じになった。

うーん、
ここまで書いたけど、なんか文脈が
ネガティブチックになってきたな…
なので、そんな話はやめましょう。

そうだ、
2023年に読んだ中で
5つ星をつけた作品を挙げることにしよう。

読んだ順(その1番がさっきの『自由研究〜』)に、
『流人道中記(下)』(浅田次郎)
『ムラブリ』(伊藤雄馬)
『数学する身体』(森田真生)
『異能機関(上)』(スティーヴン・キング)
『異能機関(下)』(スティーヴン・キング)
キング作品は1つにまとめてもよかったけど、まいいっしょ。

で、この『檻』。

年末になって5つ星作品追加できました。
実は、北方作品、今まで1冊も読んだことなかったんです。
これからハマるかな。




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2023年12月5日火曜日

『卒業生には向かない真実』(ホリー・ジャクソン)読みました。


確か2つ前の伊坂幸太郎さん作品の
感想文もどきに書いた覚えがあるんですが、

本棚スペースのこと。

面白い作品に出会いたいけれど、
そうなると余裕がない我が家の
保管スペースがぎゅぎゅうになって困るって話。

ほんで、それ以上に悩ましいのが、
面白いオモロイとずーっと追っかけてきた作家さんで、
そのラインナップがずらっと場所をとってて、
それにもかかわらず、
その最新刊が、ぼく好みじゃなかったとき。

今、次に表紙をめくられる順番を待つ積読の位置に、
この前出版された京極夏彦さんの
分厚い新書版が置いてあるんです。

あと100ページほどで読み終わる
笠井潔さんのミステリーが棚に置かれたら
(まだ結末までいってませんが、
 分類は「保管」になります。
 悩ましいんですが、面白いんだもの)
順番は京極作品になります。
これまで1冊もブックオフ行きにはなっておらず、
溜まりに溜まってる京極本。

次のがちゃんと保管分類になるかどうか、
実は不安なんです。
保管決定なら、
それはそれでスペース確保で悩むんですけどね。

で、この『卒業生には向かない真実』。

シリーズ前2冊は、きちんと本棚にしまわれています。
3作目のこの作品はどうしようか悩み中です。
前2作がなければ、迷いなくドナドナなんです。




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