2023年8月31日木曜日

『愛されてんだと自覚しな』(河野裕)読みました。


どんでん返しで思い出す映画っていったら、
ぼくらの世代では『スティング』でしょうね。

世代でくくっちゃダメっすかね、ぼくだけかな。
まあいいや、ぼくだけでも。
なにしろ2、3回は観てるはずだけど、
覚えているのは、ラストのあの場面だけなので。

とはいっても、よくよく考えてみると、
どんでんだけが魅力なのだとしたら、
それを知ったうえで、
もう一度観るのもつまらないわけで、
ましては何度もっていうと、それはやっぱり、
どんでん以外でもいい映画だったんじゃ
なかろうかと思うわけで。

途中の内容は忘れたと言ったのに
何ほざいてんだって意見は、素直に受け止めます。
いやいや、それでも出演陣なんかは、頭に浮かびます。
フォトショップとかで
どんなにぼくの写真をもりまくっても
かなわないあの二人でしょ。

えーと、あのー。
そうそうロバート・レッドフォードとポール・ニューマン。
それにキュートって言葉はあの子のために
できたんじゃないかなって思うキャサリン・ロス。
えっ、あっちゃうちゃう、
彼女は『明日に向かって撃て』でした。

まあ、だから、どんでんだけじゃないんですわ。
誰かの胸中に残る作品ってのは。
内容を忘れ、出演者を間違えても。

で、この『愛されてんだと自覚しな』。

ちょっとしたどんでんは、まあ、あります。
あるけども、それだけじゃないから、よかったです。
も一回読もっと。




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2023年8月29日火曜日

『黒い瞳のブロンド』(ベンジャミン・ブラック)読みました。


特に理由はないんですが、カツ丼にします。
最近食べてないからかもしれません。

エッセイでもなんでもいいんですが、
つくる文章の中に「カツ丼を食べた」
という内容を書こうと思い、

でもその前になんかしら
そのどんぶりメニューを修飾する言葉を
付け足そうとたくらんだとき、

Aパターン→
「とじてある卵が少し固めの
 ぼく好みのおいしいカツ丼」

Bパターン→
「親父さんが一人でやっているような
 町のそば屋で出されるものは、
 たいていとじた卵が半生過ぎて
 ぐちゃぐちゃしており、
 どんぶりからトンカツを持ち上げると
 じゅるじゅると下のシャリに
 したたり落ちてしまい
 残った部分が卵かけご飯のように
 なるものばかりだったが
 (少なくとも今までぼくが立ち寄った店では)
 今増えているチェーン店なんかで
 マニュアル通りつくられるやつは、
 火を通す時間が長いのか、
 じゅるじゅるにはならず、
 けっこう固まって揚げた衣にからみつき、
 それだとカツと白メシを交互に口に入れても、
 おかず付き定食のようで
 お得感があっておいしいカツ丼」

の2パターンに分けられます。

で、この『黒い瞳のブロンド』。

Bパターンが多用されているように感じ、
お腹いっぱいでした。




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2023年8月22日火曜日

『文系のためのめっちゃやさしい微分積分』(山本昌宏 監修)読みました。


物事がどうしてそうなるのかの説明を受けたとき、
順を追ったロジックで解説され、
その論理の各段階はふむふむと納得して、
うんうんわかるわかるとなるんだけれど、

最終的に「だからこう」っていう結論に至ると、
「はぁそうなのかなぁ。そうなんだろうけど…」
と首を縦に振るべきなのか左右に動かすべきなのか、
迷っちゃうときがあります。

例えば、風が吹けば桶屋が儲かる。

ウィキペディアによると
(使わないほうがいい言葉があったりしたので
 ちょっと改変してます)
(1)大風が吹けば土埃が立ち、眼病疾患者が増加する。
(2)昔は目の不自由な人は多く三味線を生業とし、
   弾き方を指導したり、演奏したりするので、
   三味線の需要が増える。
(3)三味線製造には猫の皮が欠かせないため、
   猫が多数減り、鼠が増加する。
(4)増えた鼠は桶などをかじるので、
   桶の需要が増加して桶屋が儲かる
……だそうで。

この1〜4のすべてに無理があるともいえるけど、
昔はそうだったなんて背景を説明されたりすると、
それなりに納得したりして、
でもそれつなげて通してみると「え?」ってなる。
いいんですけどね。
桶屋さんでも何でも儲かるのはいいことだろうし。

で、この『文系のためのめっちゃやさしい微分積分』。

最終的にそうなの?って思ったりするけど、
題名通り、めっちゃやさしく、
風→桶の理論のようにすんなり理解できました。
きちんとつくってあるいい本だと思いました。




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2023年8月17日木曜日

『愚者の街(下)』(ロス・トーマス)読みました。


熱帯地方のスコールを
実際に経験したわけではないんですが、
この前東京にも、それと同じような、
いや、ぼく的にはそれより強烈と思える
バケツをひっくり返したような、
いや、バスタブをひっくり返したような、
いや、プールをひっくり返したような、
ちっちゃなヒョウも混じる
ドシャドシャが降りました。

8月のはじめ、
ほんの1時間ほどの短い間です。

ちょうど、弁当を食べ終えた昼休みで、
ベランダに出てタバコを吸っているときでした。

いつものように右手に電子タバコの機械、
左手には本を持って、
読書しつつの午後の仕事を始める前の
至福の一時です。

激しい雨が降っているのはわかっていたんですよ。
わかっていたんですけどね。

で、この『愚者の街(下)』。

あまりに夢中になりすぎて、
ベランダのひさしなど
もろともしない豪雨も無視して
読み続けちゃいました。
本も服もびしょ濡れでした。

この本、なんとも罪なやつです。




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2023年8月15日火曜日

『オーグメンテッド・スカイ』(藤井太洋)読みました。


特に設定した覚えはないんですが
いつの間にか1週間に1度
その週の1日平均スマホ使用時間が
待ち受け画面に表示されるようになり、

それがいつも5分程度で、
タバコ1本吸うくらいの短時間しか
文明の利器を利用しないんだから
世の中の流れについていけないのも
当たり前だと自覚してるところです。

そもそもiPhoneが出たとき、
そんなもん流行るわけないわ、
かのリンゴ社の業績もまた厳しくなるな、
なんていらぬ心配をしてたのに、
あにはからんやのこんな状態になってました。

それでもiPhoneは
第1号機から使っていたんですけどね。

マックのパソコンにつないだときに
表示されるアイコンをキャプチャして
解説書に掲載しなくてはいけないって
仕事があったので、やむを得ず
それまでのガラケーから変えたんです。

以来、何度か新しいのに変えながら、
ずっと使ってるんです。1日約5分。

で、この『オーグメンテッド・スカイ』。

VRゴーグルっていうんですか、
あの目を覆うように頭につけるゴツいやつ。

あれ見たときiPhone登場時と同じような
そりゃ流行らんだろ的感想が浮かんだんだけど、
この本読んで、やっぱぼくは
石器時代とかで暮らすべきだと感じました。




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2023年8月3日木曜日

『街とその不確かな壁』(村上春樹)読みました。


年齢のせいなのか何なのか、どういうわけか
ものの好き嫌いは変わっていくようです。

子供の頃、いや高校生くらいまでは、
どうしても食べられなかった椎茸が、
今は何の抵抗もなく口にできる。

それどころか、天ぷらの盛り合わせに、
肉厚のあのまんまるっちいヤツが入っていと、
最後のほうまで大事にとっておく。
(ラストのラストは好物のイカなのでその前くらい。
 あ、春菊があったら、どうするか迷う)

高校生の頃、いや20代くらいまでは、
嫌いではないけど自分からは手にしたことのなかった
アイスティー(レモンのヤツ)は、
30才を過ぎたあたりで、やたらと飲みたくなり、
自動販売機で買うのはすべてソレ系で
(アイスミクティーではない)
コーヒーしか頼んだことのなかった喫茶店でも
いつも冷たい紅茶を注文してた時期がありました。

でもそれも10年も続かずにブームは去り、
今では、なぜあんなに好きだったのか
不思議でならないくらいです。

で、この『街とその不確かな壁』。

村上春樹さんの作品はほとんど読んでいます。
一時のアイスティーのように好きだったので。
そんなに好みだったのは、なぜなんだろう
と不思議に感じた、読後でした。




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2023年8月1日火曜日

『愚者の街(上)』(ロス・トーマス)読みました。


劇場で『探偵マーロウ』を観てきたという娘から、
その映画を知っているかと聞かれ、

とっさに言われたものだから、
ぼくの中の神経細胞はどの回路にも
結びつく余裕がなかったらしく、

「いや、知らないわ」と
そっけなく答えてしまったものの、

どこかにひっかかりがあったようで、
次の日に仕事用のコチコチお堅い原稿を
書いている途中で
「あっそうか、フリップ・マーロウのことだ」
と唐突に思い出しました。

あのチャンドラーさんがつくった
ハードボイルド小説の中の探偵。
そうそう、それに違いない。

でも、
マーロウが登場するような映画は相当昔だから、
リバイバル上映かなとぼんやり思いつつ、
コチコチ原稿をほっぽり出して、
ネット検索かけてみると、

ほうほう、最近書かれたチャンドラー作品の
公認続編とされる小説『黒い瞳のブロンド』を
映画化したもののようで。

ならば読まなきゃってことで、
その原作を今、読んでます。
だってチャンドラー作品はやっぱ面白いから
そのつながりなら何かあるんじゃないかなと。

つながりをたどって、
チャンドラー本家よりぼく好みの原尞さんの
探偵小説を知ったのだし。

で、この『愚者の街(上)』。

上に書いたこととは何の関係もなく
どっかの書評で見てたまたま読んだ本。
でもここに原尞さんが解説文を寄せていたんです。
(この上巻じゃなく先に読んじゃった下巻の巻末にですが)
何の関係もなく平行読みしていたチャンドラー公認続編に
つながり深い原さんの名前が突然出てきて、
なんだか絡み合っている感じゾクゾクでした。

面白いわけだ。




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