2019年12月26日木曜日

『白銀の墟 玄の月(1)十二国記』(小野不由美)読みました。


一度試してみたい本の読み方があります。
作者名を隠して1冊を通読し、
その著者を当てること。

(書いてて思いついたんだけど、
 タイトル隠して読み終えたあと、
 自分で好きな題名をつける
 ってもの面白そう)

今まで読んだことのある作家の
未読作品限定にして、
頭の中にある
既読の文体と比べて推理する。

文章だけ物語だけ、
その中身だけを見て、
誰が書いたか当てるんです。

この目隠し読書ゲームへの挑戦、
ときどき思い出すんだけど、
なかなかやれません。

誰かに頼めば
作者名をマスキングした本を
用意してくれるかもしれないけど、
そんなこと人に頼むのはめんどいし、

自分でやろうと思っても、
著者名を見ないで
買う(or 借りる)方法もわからない。

もしゲームができたら、
全問正解できるのは
池波正太郎作品だと思います。

池波さんの本なら最後まで読まなくても、
任意に開いたそのページだけ見れば
判断できそう。

あとは誰かな……。
あ、ピンポイントの著者名じゃなく、
その作家の性別を当てるってもの面白いかも。

で、この『白銀の墟 玄の月(1)十二国記』。

この本で、目隠し読書ゲームをして
作者の性別を当てようとしたなら、
きっとぼくは「男性」って答えるでしょう。





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2019年12月24日火曜日

『ナポレオン(2)野望篇』(佐藤賢一)


とあるドラマを見ていて、
その番組を企画した制作者側と、
台本執筆を依頼された
シナリオライターの会話が
頭に浮かんできました。

なんの根拠もなく想像した
彼らのやりとりは以下の通り。

(制作者側:P、脚本家:W)
P「日本で最初にオリンピックに
  参加したマラソン選手の話だからね、
  よろしくね」
W「……はい。
  でもぉ……いろいろ膨らませて、
  その関係者なんかも無理矢理に
  引っ張り出して、なんとか見繕ったとしても、
  週1で1年分引っ張るのは、
  かなり厳しいな」
P「そりゃみんなわかってるんだけどね。
  企画が通っちゃったんだから
  しょーがないじゃん、Wちゃん」
W「いやいや、やっぱ半年分が限
  界じゃないですか」
P「そんなこといわないでさ。
  あ、そうだ、マラソン選手は半年分にして、
  残りの半年は別の人にしようか、
  2部構成ってことで」
W「それなら、資料調べている中で
  面白い人物いましたよ」
P「だれ?」
W「64年のオリンピックを東京に招致した
  組織委員会とかの人ですよ」
P「ほー、それでやってみよう」

で、この『ナポレオン(2)野望篇』。

ヨーロッパをひっくり返して
まとめ上げたりなんだりした人だから、
ネタはそれなりに豊富ですね。
これなら1人の人物だけで、
1年間は引っ張れるでしょう。
あと1巻残っているし。





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2019年12月19日木曜日

『環境再興史』(石弘之)読みました。


何年か前に
「人間は何も食べないでも生きていける」
って内容の本が話題になりました(たぶん)。

タイトルも忘れてるし、
もちろん読んでもいないので、
曖昧な印象でしかないのですが、

「それりゃ、どう考えても無理だろう」
と感じたのだけは覚えています。

心臓を動かすにはエネルギーがいるだろうし、
身体の中にある水分は蒸発していくだろうし、
細胞って分裂して新しいモノに
置き換わっていくと聞いたけど、
その材料なんかも外から仕入れないといけないし。

ということで、
生きていくには、自分以外のモノを食べて、
エネルギーやら身体の材料やらを
補給する作業が必要です。

それだけじゃなく、
眠って疲れをとらなきゃいけないし、
歯を磨いて虫歯を予防しないと駄目で、
お風呂に入って清潔にしとかないと
嫌われちゃう。

なんやかやと面倒を見てあげないと、
やっていけないモノなんですね。

で、この『環境再興史』。

人間だけじゃなく、
それを取り巻いている環境ってやつも、
なんやかんやと面倒見ないと
いけないものだと痛感しました。





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2019年12月17日火曜日

『地獄めぐり』(加須屋誠)読みました。


フェイスブックのタイムラインでは、
誰かの誕生日になると
「おめでとう」「ありがとう」
の投稿が並びます。

「ハッピーバースディ」って言葉も
たくさん出てくる。

そしてぼくはその文字を見ると、
なぜか、さだまさしさんの曲
「HAPPY BIRTHDAY」が
頭の中に流れます。

「昨日までの君は死にました〜」ってヤツ。

結構マイナーだと思うので
知らない人のほうが多いかもしれません。

なぜかあの定番の
「ハッピバ〜スデ〜ツ〜ユ〜♪」じゃなく、
さださんなんです。不思議です。

あと、もう一つ。
いつも行くスポーツジムのロッカーは、
そのつど4桁の暗証番号を
設定して使います。

「ピッ、ピッ、ピ、ピ」と数字を押し、
最後に「入力」ボタンを「ピッ」とする。

その音のつながりが
「パッパッパヤッパ」という
金井克子さん曲「他人の関係」
のリズムに聞こえてしまうんです。

そうすると、
ロッカーから2つ下の階の
プールに行くまでの間はずっと
「会うときにはいつでも〜」
という少しハスキーな声が頭の中に響き、
それに合わせて階段を
ぴょんぴょんしています。

ほかにも、
トンボを見かけると長渕剛さん、
卒業式って文字なら青春時代、
奮闘努力の四字熟語だと寅さんなどなど、
脳内BGMのスイッチを入れるものは
いっぱいあります。

で、この『地獄めぐり』。

この本のタイトルも、
頭の中にあるレコードに、
針を落とす起点になりました。

まったくベタですけど、
山本コータローさんの『岬めぐり』。

いずれにしても
選曲が全部古いのは仕方ないです。
それだけ地獄に近いお年頃だってことで。





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2019年12月12日木曜日

『営繕かるかや怪異譚 その弐』(小野不由美)読みました。


中学生、いや高校生くらいまでかな。
二段ベッドの上の階に寝ていました。
(下は弟が使っていた)

寝床から天井までは1メートルくらい。
上体を起こしたとき頭との間に
少しだけ余裕がある程度です。

そこで上を向いて寝ると、
見えるのは天井に張られた化粧板です。

白の平面にポツポツと凹んだ穴が
開いているような模様。

虫食い穴みたいで、
規則的に並んでいるんじゃなく、
ごま粒状のポチッとした丸が
点々とまだらにあって、

そのごま粒が連結して
イモ虫状になったモノや、
ペンキを塗ったとき
毛がついてしまい乾いてから
それを取ったときの跡みたいなモノ
なんかもまぶされているヤツです。

それ何ていうのか調べてみたら
「トラバーチン模様」
という名前だそうです。

なんでも大理石に似せてつくった
デザインだとか。
ぼくはどちらかというと、
コンクリート打ちっぱなしの
壁みたいな気がするけど。

まあ、とにかく仰向けに寝ると、
そのトラーバチン模様で
視界がいっぱいになるんです。

ほんでその模様、
雲だったり、シュウマイだったり、
人の顔だったり、
その日その日で、
違うモノに見えてくるんです。
あのロールシャッハテストみたいに。

で、この『営繕かるかや怪異譚 その弐』。

もう50歳も過ぎているのに、
そんな中坊時代の
少し異世界に触れたような日常を
思い出しました。





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2019年12月10日火曜日

『精神科は今日も、やりたい放題』(内海聡)読みました。


人の手でつくり出したモノは、
自然にできていった
既存のモノに対して、
何かしら悪さをするって宿命が
あるのかもしれません。

例えば、フロンは、
それまで冷蔵庫なんかで使っていた
冷媒のアンモニアに代わる物質として
つくられたらしいけど、それが、
地球の周りにあるオゾン層とやらを
壊しちゃうみたい。

毒性のあるアンモニアじゃなく、
無毒・無臭で燃えないフロンが
できたときは、みんなが
「こりゃいいぞ」と、
つくりまくり使いまくったらしいけど、

あにはからんや、
地球規模の問題を抱えていた。

例えばプラスチックは、
木材や金属なんかより扱いやすく
加工しやすくて、
人類最大の発明なんていう人もいる。

電子部品の基板から
コンビニのレジ袋まで
今や1日たりとも
プラスチックに触れない生活を
することはできない感じ。

でも、なんだか海に
そのゴミがうじゃうじゃあふれて
いるようで…。

例えば、特定の症状に効くからと、
成分を抽出してかためてつくった薬は、
その特定症状に効くけれど、
ほかの正常なあちこちにも効いてしまい、
つまりは副作用に悩まされる。

フロンにプラにクスリに
あれやこれ全部……。
宿命なんでしょうか。

で、この『精神科は今日も、やりたい放題』。

怒っているなこの本。
そこがチト怖いけど、
精神科ってのも人の手で
つくり出されたモノなんだろうな、
と思いました。





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2019年12月5日木曜日

『プラネタリウムの外側』(早瀬耕)読みました。


十年ほど前になるでしょうか。
仕事で挨拶に行った会社で、
いろんな部署を回りながら、
そこにいる人たちを紹介されたんです。

「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
みたいな簡単なやり取りを
しながら名刺交換をしました。

その名刺の中の一枚に
見覚えのある名前があったんです。

昔好きで読んでいた小説家。

でも作家デビュー後
3冊ほど発表されたのち、
もう20年以上新しい作品を
出していない人。

「あのー……
 菊池規悦(仮名)さんって、
 ひょっとして『電卓エクセル(仮)』の、
 あの菊池(くどいようですが仮名)さんですか?」

彼は、少し困ったような顔をして
「はい。いやでも、もう…」と言いかけた。

と思ったら、
ちょうど机の前にあった電話が鳴り、
こちらを気づかう素振りを見せて
彼は受話器を取りました。

通話は長引きそうで、
そのまま待つのも悪いからと、
ぼくらは次の部署へ移動です。

そもそも挨拶に回ったのは
一応の顔見せ程度で、ぼくの仕事には
それほど関係のない部署ばかり。

その後は、
忙しくなって彼のことも忘れてしまい。
十年ほどになるでしょうか。

で、この『プラネタリウムの外側』。

ウィキペディアによると
作者の早瀬さんはデビュー後約20年
沈黙していたようです。
菊池(仮名)さんも、
そろそろ沈黙破ってほしいな。





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2019年12月3日火曜日

『ナポレオン(1)台頭篇』(佐藤賢一)読みました。


小説をつくるとき、
視点がぶれないようにするのが
大切とよく聞きます。

それまで描いていた人物の主観から、
ほかの人に切り替えるときには、
1行空けて、区切りをわかるようにする。

そうしてたくさんの視点から
物語をつくっていくと、
それぞれの登場人物から出てくる
ダシみたいなものが混ざり合って、
とっても美味しく深い作品に仕上がる
……みたいなことが、
どっかの小説作法のような本に
書いてあった気がします。

とはいえそれだと、
最初から最後まで
ずっと一人称で通している作品は、
視点複数の主観まぜこぜモノよりは、
濃厚な味わいがないことになる。

それでも、あえて一人称にして、
まぜモノに負けないくらいの
濃厚深奥でクールなお話しを
つくっちゃえる人がいる。
たしか、村上春樹さんなんかは、
ほとんど一人称だったような…。

で、この『ナポレオン 1 台頭篇』。

一人称ではありません。
でも、視点はほぼ主人公一人。
それでもここまで引っ張れるんだな。
続くあと2巻、引っ張られます。






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