2021年1月29日金曜日

『ロックンロール・トーキョー』(木下半太)読みました。


昔、友だちから、
自作の小説ができたので
読んで感想を聞かせてくれないかと
言われたことがありました。

(この話、前にもどっかで
 紹介した気がするのですが、
 いつどこで書いたのか、
 細かいとこがまったく思い出せないので、
 まあいいかと書いちゃいます。
 もしかしたらそんな気がするだけで、
 どこにも誰にも言ってないかもしれないし)

それほど長い物語ではなかったし、
文章も読みやすかったので、
その日のうちに読み終えて、
次に会ったときコメントしてあげました。

内容はそこそこ面白くて、
たまに出くわす「これ売ってちゃダメでしょ」と
言葉がもれちゃうような作品と比べれば、
まったく「売っても問題なし」な作品でした。

でもその中の一部分だけ、
設定もセリフも心情描写もなんだか嘘っぽくて
「これだったらお金出して買った本だとしても、
 みんな満足して楽しめると思うよ。
 ただ、あの場面だけは少し直したほうがいいかも。
 ほかはリアリティ十分だけど、
 あそこだけ作り物って感じがした」
と言ったんです。

すると友だちは驚いた顔で
「ほかは全部想像で書いたんだけど、
 あそこだけ実話なんだよね」と。

で、この『ロックンロール・トーキョー』。

どうやらほとんど実話の物語らしいです。





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2021年1月26日火曜日

『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』(ローレンス・ブロック)読みました。


去年の12月29日は仕事納めの日でした。
実質的には28日までに
あれやこれやの雑用を片づけて
29日は午前中に事務所の掃除をして、
そのあと毎年恒例にしている忘年会は
流行り病を恐れてやらず、
そのまま「よいお年を」と挨拶して
2020年は締める。

と、その予定は事前にわかっていたから、
そんじゃ午後は時間が空くなと思い、
掃除→ジム→本屋へ買い出し→帰宅
という段取りを頭の中で組んでいたんです。

ほんでまあ、そんな目論見を立てると、
必ず予期しない何かがあって、
目論見はぐちゃぐちゃになるというのが
ぼくの人生の特徴です。

このときも例に漏れず、
前日に家の用事ができて、
帰宅時間を早めなくてはいけなくなりました。
人生の特徴なので仕方ありません。

そうするとジムと本屋の
どちらかをあきらめざるをえない。

きっと年末年始の約一週間は何も運動しないので、
この日にジムに行かないってことは、
かなり身体がだるだるになる。

本屋はいつも行く会社の近くではなく、
ネットで調べ倒してようやく在庫が見つかった
渋谷の書店なので、電車を乗り継いで
スマホの地図ナビ片手に迷いつつ
たどり着かなきゃいけないから、ちょい面倒。
でも行かないと売れちゃうかも。
ってことで、どっちを選択すべきか悩みました。

で、この『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』。

悩んだ末に、書店行きをとり、
手に入れたのがこの本です。
おかげで正月明けは身体がだるだるになりました。





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2021年1月22日金曜日

『償いの報酬』(ローレンス・ブロック)読みました。


セリフがいいなあ……。
ということで、セリフの思い出。

昔々自分で脚本書いて
自主映画撮っていたときも、
映画学校の宿題で書かされたホンも、
そして今も、
ぼくがペコペコつづるセリフは
我ながらへたくそだと思えてなりません。

とはいえ、そんなぼくでも一度だけ
「うん、これじゃん!」と
こぶしを握りしめるような満足な一言が
出てきたことがあったんです。

たしか映画学校の卒業製作の脚本を
みんなで検討しているときでした。

もう何時間も
お代わりコーヒーだけで居座っていて
もうじき朝日が昇る頃のファミレスです。

それは女のセリフ。彼女はだらしない男
(生活力はないんだけれど彼女にはとっても優しい)
と同棲してて、でももう愛想を尽かし
部屋を出ていこうとする。そのとき何か言わせたい。

テーブル席で雁首そろえてぼくらは、
うなり、うなり、うなっていったのに、
出てくるのはありきたりの言葉だけ。

「バカ!」とか「もう嫌!」とか、
そのまま「出てく!」とか。

そんときトイレから戻ったヤツが
席についたと思ったら、ぼそっと
「〝そんなに好きじゃないくせに!〟は、どう?」
と言った。それ聞いた瞬間、みんなが一斉に

「それじゃん!」 と叫んだのでした。

あ、よく思い出したら、
ぼくが考えたセリフじゃありませんでした。
ま、いいか。

で、この『償いの報酬』。

セリフがいいです。




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2021年1月20日水曜日

『手の倫理』(伊藤亜紗)読みました。


小説を読むとき、
というか読む小説を選ぶときは
たいてい著者さんを基準にしています。

一度体験した著者さんの世界観が気に入って、
もう一回入り込みたいと思うんでしょうね。

評判とか内容なんかだけを参考にするときも、
小説であれば著者名はおさえておく。

だから友だちとかが本を読んでいるとすぐ
「誰の本?」って聞いちゃうんです。

すると、表紙をめくって
「えーっと、この人……
 なんて読むのかわからないけど」
なんて言われることがあると、びっくりする。

いや、昔はびっくりしたけど、
そういうのをたびたび経験してから、
びっくりはしなくなって、
そんなもんなんだと思うようになった。

ぼくだって、小説じゃなくノウハウ本とか
ビジネス書とかノンフィクションものなんかは、
どっかに紹介されている内容だけで選んで、
5つ星つけちゃうくらい印象に残ったやつでも、
著者名は覚えてないのが普通なんですから。
人のことは言えません。

で、この『手の倫理』。

たしか新聞の書評で紹介されていて、
そんな内容ならぼくの好みにはまるかも
と思って読みました。
そんで狙い通りはまりました。

でも、小説じゃないんで、
著者さんのことは気にしていなかった。
と、何気にプロフィールを見ると、
なんと前に5つ星つけた
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
を書いた方じゃありませんか。
なるほど、はまるはずだ。

なので、今回はお名前を脳みそに刻みました。
次回は著者名で選ばせていただきます。




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2021年1月15日金曜日

『異邦の騎士 改訂完全版』(島田荘司)読みました。


いつもは出典が思い出せず
「昔読んだ小説にこんな話がありました
(作者もタイトルも忘れてます。ごめんなさい)」
なんて書いて先に進めるんですが、

今回は手間を惜しまず、
検索かけてから書いてます。

ということで出典は、伊坂幸太郎さんの
『アヒルと鴨のコインロッカー』です。

作者はなんとなく覚えていたので
「自転車蹴飛ばす 伊坂幸太郎」
ってキーワードでググったらすぐ出てきました。
ネットってすごっ。

ぼくの記憶にあったのは、
街にとめてある自転車を次から次へと蹴飛ばして
歩道と車道の間にある
植え込みのほうへ倒していくヤツの場面。

主人公がそれを見かけ、
あいつは頭がおかしいから近づくのはやめようと思う。

でも、ヤツの行動は、単に乱暴者だからとか、
むしゃくしゃしたからだとかじゃなく、
自転車が目の不自由な人のためにある
点字ブロックの上に置かれていて
それをどけるためだったと後でわかる。
主人公はその後なんやかんやで
ヤツとつるんでいくんです。

で、この『異邦の騎士 完全改訂版』。

今ぼくは結構、島田荘司さんの作品につるんでいます。
この本もつるみ具合を深める作用を及ぼしました。
でも、もしこの作品が入り口だったら、
もうちょい離れていたかな。
自転車蹴飛ばし場面だけを見て
理由を考えずヤツを判断したような感じで。




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2021年1月13日水曜日

『眠れる美女たち(下)』(スティーヴン・キング/オーウェン・キング)読みました。


前回、
呪いのビデオを見ただけでなぜ呪われちゃうのか、
その論理的根拠というか、科学的な裏づけというか、
こじつけ的けむ巻き詭弁というか、
まあそんな背景説明を、重箱の隅のすきまが
1ミクロンもないように埋めていって文章で表せば、
読者は納得して摩訶不思議な世界でも
すんなり入っていける、みたいなことといいました。

でもそれを書いたあと、
本当にそうかいなと、疑問がわいてきて、
いろんなお話を思い返してみたんですわ。

現実にはあり得ない
ファンタジックなストーリーっていえば、
ぱっと浮かぶのは昔話なわけで、

桃太郎も、かぐや姫も、花咲か爺さんも、
桃や竹から人間が誕生する科学的根拠や、
桃の中でどう呼吸をしているか
もしくはへその緒的な生命維持システムが
あるのかどうか、

竹が内部から光を発するために使われているのは
省エネに配慮したLEDなのか
それとも昔だから油に灯した火なのか、
だとしたら内包されていた姫は
ちゃんと耐火防護服を着用していたのか、

花咲か爺さんの灰はうちで枯らしてしまった
観葉植物も元気にしてくれるのか

などの説明はまったくなしに、
お話が展開していくのに、
それでもみんなそんなところには目をつぶって、
昔々から語り継がれてる、
いわばロングセラーなんですわ、それらは。

で、この『眠れる美女たち(下)』。

やっぱ、不思議現象の説明はありませんでした。
それでいいんです。面白いから。




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2021年1月7日木曜日

『眠れる美女たち(上)』(スティーヴン・キング/オーウェン・キング)読みました。


あのとっても怖い「リング」シリーズの
著者・鈴木光司さんが昔、
とにかくできるだけ細かく説明すれば、
どんな荒唐無稽な設定でも
リアリティが出てくるって言ってました。
(と記憶しています。たぶん)

呪いのビデオを見た人が、
呪いウイルスに感染するなんて、
まぁあり得ないけど、

それがあり得るかもしれないって思わせる
こじつけを根掘り葉掘り詳細に徹底的に
書き込んでいけば、

うんうん、もしかしたらあるかもしれないと、
とりあえずフィクションの世界として
納得させられる。

そうなりゃ読者はわくわくドキドキで
作品にのめる込んでいける。

確か3作目では、その呪いウイルスが
コンピュータウイルスになっちゃうんじゃ
なかったでしたっけ。
(あ、もう一回読み直してみよっと)

で、この『眠れる美女たち(上)』。

まだ上巻だけなので、もしかしたら
下巻で言及されるかもしれませんが、
あり得ない不思議な現象についての説明は
まったくありません。
でも、周辺の人たちの描写は徹底的に細かいです。




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2021年1月5日火曜日

『梅安冬時雨 仕掛け人・藤枝梅安(7)』(池波正太郎)読みました。


フリーで仕事を始めたときの二十数年前にはもう
原稿用紙に鉛筆ではなかったので、
パソコンとのつきあいは
結構な長さになります。

いつしか数えるのも忘れて、
今が何台目になるかもはっきりしませんが、
それでもマシンを新しくするたびに
データをバックアップから保存し直したり、
タイムマシンとかいう機能を使って
自動で取り込んだりして、
昔の原稿なんかも奥の方に残っています。

今では開けるソフトもなく
中身は見られないのにアイコンはあり、
ハードディスクの容量だけくっているのもあります。

そういうのは思い切って断捨離すればいんですけど、
なにしろ表面的には見えない
奥の方に保存してあるので
ついついそのままになってしまいます。

それでもこの前、何かの拍子に
昔のデータにアクセスしてしまったことがあり
(テキストデータだったので開けました)
それが1ミリも記憶にない書きかけの小説でした。

このパソコンには、きっと
あちこちに書きかけ作品が残っているのでしょう。

で、この『梅安冬時雨 仕掛け人・藤枝梅安(7)』。

作者逝去のため絶筆でした。
ぼくのものぐさとはまったくレベルの違う
書きかけの作品です。




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