2021年1月22日金曜日

『償いの報酬』(ローレンス・ブロック)読みました。


セリフがいいなあ……。
ということで、セリフの思い出。

昔々自分で脚本書いて
自主映画撮っていたときも、
映画学校の宿題で書かされたホンも、
そして今も、
ぼくがペコペコつづるセリフは
我ながらへたくそだと思えてなりません。

とはいえ、そんなぼくでも一度だけ
「うん、これじゃん!」と
こぶしを握りしめるような満足な一言が
出てきたことがあったんです。

たしか映画学校の卒業製作の脚本を
みんなで検討しているときでした。

もう何時間も
お代わりコーヒーだけで居座っていて
もうじき朝日が昇る頃のファミレスです。

それは女のセリフ。彼女はだらしない男
(生活力はないんだけれど彼女にはとっても優しい)
と同棲してて、でももう愛想を尽かし
部屋を出ていこうとする。そのとき何か言わせたい。

テーブル席で雁首そろえてぼくらは、
うなり、うなり、うなっていったのに、
出てくるのはありきたりの言葉だけ。

「バカ!」とか「もう嫌!」とか、
そのまま「出てく!」とか。

そんときトイレから戻ったヤツが
席についたと思ったら、ぼそっと
「〝そんなに好きじゃないくせに!〟は、どう?」
と言った。それ聞いた瞬間、みんなが一斉に

「それじゃん!」 と叫んだのでした。

あ、よく思い出したら、
ぼくが考えたセリフじゃありませんでした。
ま、いいか。

で、この『償いの報酬』。

セリフがいいです。




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