2014年10月31日金曜日

『四人組がいた。』(高村薫)読みました。

似合うか、似合わないか、それは問題です。

ぼくなんかがもし女装をしたら、
そりゃもちろん、似合いません。
いやいや他人の判断なんか必要ありません。
似合わないんですから……やったことないけど。

この前、なんかの飲み会で、
誰かかがふざけて持ってきたアフロのズラを、
みんなでかぶりっこしました。

当然、カッコ良くなっちゃうヤツもいれば、
どっかの爆破現場から
逃げ出してきたような姿になるヤツもいる。

そのとき思ったのは、
似合うか似合わないかは、
その人が持っている外形では
決まらないんじゃないかってこと。

顔や頭の形とかそういうのではなくて、
性格というかキャラというか、
内面的なものが影響していると感じたんです。

その人の中身が、
そのズラやら服装やらを
受け入れるような形になってるか否か。
フィットする形であれば、
それが似合うってことで、
種類の違う形であればイタい姿になる。

で、この『四人組がいた。』。

どうでもいいけど、タイトルに句点「。」が入ると、
句点がつながって絵文字みたいになっちゃいますね。
と、いうことで、
高村薫さんにはユーモア小説は
似合わないなと感じました。



四人組がいた。
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2014年10月27日月曜日

『Another(下)』(綾辻行人)読みました。

ダチョウ倶楽部のギャグで
「聞いてないよぉー」
っていうのがありましたね。

ネットで調べてみたら十年以上前に
流行語大賞の銀賞をとってるみたいです。

あの方たちは芸能人で、
サプライズのひどいことをされるが商売になっている。
聞いてなくても、ネタになるから、
それはそれで良しとなります。

でも、ぼくら一般の人は、
やっぱ事前に知らせて欲しい。
いつもと同じギャラをもらえると思ってやった仕事で、
「ありがとうございます!
 今回は予算がないからノーギャラなのに、
 よくがんばってくれました!」
なんて言われようものなら、
「聞いてない」どころの騒ぎじゃおさまりません。
(幸い今までそんな場面はありませんでしたが…)

で、この『Another(下)』。

どんでん返しっていうわけじゃないんだろうけど、
「それは聞いてないよー」でした。
なんかずるいなと思ったのは、ぼくだけかな。



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2014年10月24日金曜日

『シャイニング〈上〉』(スティーヴン・キング)読みました。

小説の売り文句で
「一気読み必至!」ってありますね。

物語にぐいぐい引き込まれて、
ページをめくる手が止められなくなり、
ほかのこと忘れて読みふけっちゃっう。
それくらい面白いから読んでね、みたいな。

小説っていうのが、どれもこれも全部
「一気読み必至!」だっらいいんですけど、
そうじゃないのは皆さんもご存じの通りです。

とはいえ、
一気読み本だけが面白いのかというと、
そうでもないですよね。

前に読んだところを
いとおしげにめくり直しながらとか、
ため息つきながら一行一行に立ち止まりながらとか、
そんなふうに読める本なら、
もしかしたら一気読み本よりも面白いかもしれません。
まあ、ぼく的には、活字が並んでいさえすれば、
どんな本でもいいと思ってるところが
ないわけでもないわけで。

で、この『シャイニング(上)』。

キング好きの人からは、
何を今さらって言われそうだけど、
やっぱもう一回読みました。
このお話の続きが出るとかって噂を聞いたものですから。

それでわかったこと。
大抵のキング作品を
ぼくは一気読みジャンルに分類してるけど、
これはそこからちょっとはみ出してるなってこと。
立ち止まりながらのため息ジャンルも入ってる。
なので、即座に下巻読んで、その分析が正しいか判断します。



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2014年10月22日水曜日

『光と風と夢・わが西遊記』(中島敦)読みました。

「開く」って言葉があります。
ここでいうのは漢字をひらがなに直すこと。

(おそらく業界用語だろうと思って辞書をみたら、
 「漢字→ひらがな」の意味も載っていました。
 へぇ〜一般的な言葉なんだ)

本の校正刷りなんかに、
赤ペンで修正指示を入れるときに使ったりする言葉です。

「菊池」って印字してあるところに
赤線を引っ張って「開く」指示を入れると
「きくち」になる。

ぼくは、
自分の知的レベルがそれほど高くないこともあって、
開くのが好きです。

その度が過ぎて、
言葉の意味的なことにまで、
この「開く」を使って赤ペンを入れることがあります。

要するに、難しく書くのはやめようよ、
もっと誰でもわかるように簡単に書こうよってこと。

ライターさんとかから
「日本国民は、恒久の平和を念願し〜」
なんて書いてある原稿があがってきたら即
「この文章もっと開いてください」
と注文しちゃうんです。

(この「日本国民〜」の文章は
 日本国憲法から引いたんですけどね。
 憲法の条文も開きたい!)

でも……それはそうなんですが、
開かないほうが、
ぎゅぎゅっと内容が詰め込めるんですよね。

詰まってるから、
読むほうは、解きほぐしながら
時間をかけて読まなきゃいけない。

理解しようと思ったら
真剣に文章と格闘しなきゃいけない。
そういうのも、
ある程度必要なのかなぁとも思ったりするんです。
優柔不断で、どっちつかずなぼくは……。

で、この『光と風と夢と・わが西遊記』。

ん〜っ、開いて欲しい。けど開いて欲しくない。


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2014年10月20日月曜日

『Another(上)』(綾辻行人)読みました。

不思議な夢を見ました。
先生と二人で酒を飲んでいる夢。

小学校から映画学校まで、
どの時代に習った先生なのかは不明で、
というより夢から覚めた直後に、

「これまで、あんな先生に教わったことないよね?」
「なぜ先生と呼んでいるかもわからない、
 だって初対面でしょ?」

と頭の中で自分に問いかけていたくらいです。

でも、その酒の席では、
先生が、ぼくの記憶の中にある出来事を
一緒に経験してきたみたいに話してくれる。

「そうですね、なつかしいですね」
なんて相づちを打ちながら、
ぼくも興に乗って、お酒もどんどん進む。

そうするうちに、
先生の髪の毛が変なことに気づくんです。
髪の毛というか、目というか。

向かって左の目に先生の前髪の先が触れ、
やがてその髪の先端が
目玉の表面をなぞるようにゆらゆら動くんです。

ワカメみたいに揺れたかと思うと、
ワイパーみたいに規則的な動きになったり。

「先生!髪の毛、目に入ってます!」
とぼくが言うと、先生は、
「ああ、これね、いいのいいの」と笑う。
そこで目が覚めちゃったんです。

で、この『Another(上)』。

この本を読んだから、そんな夢を見たんだと思います。
早く続きの下巻を読もうっと。
夢の続きも見られるかもしれないから。



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2014年10月14日火曜日

『山月記・李陵 他九篇』(中島敦)読みました。

30代の半ばくらいだと思います。
友だちがインドに行ってきたという話を聞きました。

それまでぼくがインドについて聞いていた噂では、

「インドに行くと
 圧倒的なカルチャーショックを受けて、
 もう日本に帰ってくる気がなくなる」

「そのまま住み着いて、
 音信不通になっている人がたくさんいる」

っていう、なんだか怖いような、
でも覗いてみたいような、
とにかく不思議な魅力がある場所と
思っていたんです。

なので、帰国した友だちに、
「よく帰って来られたね。
 インドってすご過ぎて、そのままどっぷり
 はまって居着いちゃう人がいっぱいいる
 みたいじゃん。はまらなかったんだ」
と聞いたんです。

すると彼は、
「確かにガツンってくるとこもあるけど、
 年とって敏感じゃなくなってるから、素通り。
 もう少し若い時に行っていたら、
 違ってたかもしれないけど」
と言いました。

そうか、そうなんだよな。
色々経験しちゃうと、
ちょっとやそっとのことじゃ
刺激を受けなくなっちゃうんだよな。

で、この『山月記・李陵 他九篇』。

ガツンとくるところもあったけど、素通りでした。
もうちょい若い時に読んでたらなぁ。

(中島敦さんの作品は、
 高校の現国の教科書に載っていた
 『山月記』しか読んだことありませんでした。
 そのときは授業だったので、
 どんなに魂が震えるような作品でも
 何の影響も受けられませんでした。
 だって授業だったから)


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2014年10月10日金曜日

『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』(リンダ・グラットン)読みました。

「先生は結果を見て、非道なことと判断されています。
 でも、それに携わってる人たちって、
 決して悪意を持ってるわけじゃない。
 他人の役に立つ正しいことだと信じて
 やっている人が大半です」

「そんな人が一番やっかいですね。
 とはいっても、私が知る限り、
 利益追求や自己保身が目的で
 やっている人のほうが多いですよ」

って感じの対談記事をどっかで読みました。
例によって、この部分しか覚えてなくて、
誰と誰が何について話した内容かも忘れてるんですが…。
(立花隆さんが、医薬品メーカーを批判する識者に
 インタビューした記事だったかな、たぶん)

そうなんです。
ぼくも、メーカーとか大きな組織とかが、
ガリガリ亡者的に何かをしてるってことを聞くと、

「違うよ、きっと。
 やってる人がど真ん中で考えていることは、
 世のため人のためってことだよ」
と思っちゃうんです。

甘いかな。
でも、いろんな会社に取材してきたけれど、
本当のガリガリさんには会ったことがないんです。
(経験不足なだけかもしれないけど)

ってことで、
何かと批判の的になるいわゆる「大企業」って、
そんなに捨てたモンじゃない、
と思ってるんですね、ぼくは。

で、この『未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ』。

捨てたモンじゃないことを再認識しました。


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2014年10月1日水曜日

『ビッグ・ドライバー』(スティーヴン・キング)読みました。


昔会社勤めしていたときに、
「すごいエリート」って噂の人が
途中入社で入ってきました。

細かいことにも自分の意見を出し、
入社早々それなりに成績も上げて
上司にも認められていました。

その人がある日
「ここだけの話、会社で不満に思っていることを
 聞かせてくれない?」
と二人だけになったのを見計らったように、
ぼくに話しかけてきたんです。

あれもこれもそれもと、いろんな不満はあったけど、
その人に言うことじゃないと思ったぼくは
「特にありません」と答えました。

でも、その人は、
「ほら、上司が厳しすぎるとか、
 社内の雰囲気が悪いとか、あるじゃない。
 ぼくはそれを変えていきたくて、
 みんなに聞いているんだ。
 B君なんか率直に社長の悪口言ってたよ」
と粘ります。

それでもぼくは
「いやー特にないっすけどね」とか言って
頭をぽりぽりし、少し足りない人を演じていました。

その後しばらくたって、
ぼくは上司から呼ばれ
「お前、そんなにこの会社が不満なら、
 他を探したほうがいい」
みたいな勧告をそれとなくされちゃったんです。

「はっ?」でした。

「えっ、なんのこっちゃ?」
と思って、よくよく聞いてみると、
例のあの途中入社のエリートが、
あることないこと上司に報告してたようなんです。

ほんで、みんなにも聞いてみると、
彼のターゲットはぼくだけじゃなく、
自分より年下の社員全員だってことがわかりました。
(そんなに大きな会社じゃないので、
 全員といっても、人数は二桁にもなりません)

社長の悪口を言ったB君はそのままを告げ口され、
ぼくのようなとぼけた答えをしたヤツは、
勝手な話をでっち上げて。

結局、
彼が何を企んでいたのかわかりませんが、
次第に誰も相手をしなくなって、話も聞かなくなり、
やがて、また転職していきました。

なんだかわからないけど、そんな人っているんですね。

で、この『ビッグ・ドライバー』。

もっと巧妙だったり、
もっと悪辣だったりする「そんな人」っていて、
その周りには、たくさんのまともな人がいる。

そうですよね、そうなんですよね、キングさん。


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