2012年9月25日火曜日

『翻訳語成立事情』(柳父章)読みました。


パソコンのキーボードの手前に
手おき台みたいなものを置いています。
手首を乗っけてキーを打ちやすくするヤツ、
これリストレストっていうらしいです。

んで、
ぼくのリストレストは自家製カバーをつけています。
既製品を買ってきて、しばらく使っていたら、
土台のウレタンの上についていた
布のようなカバーがとれちゃって、
そのままだとウレタン丸裸なので、
どうしようかなと考え、自分でつくりました。

この自家製カバー、もとは靴下。くつした、です。
誰かから新品のままもらって、
ずーっと履かずに
タンスにしまい込んでいた黒の靴下。

左右ともに、足の甲くらいのトコで切って、袋状にし、
その両方の切ったところを縫い合わせてつなげたんです。
(足首にあたる部分はもったいないけど破棄。
 今考えると、レッグウォーマーで使えたかもしれません)

その2つの袋状のモノは、
完全には縫い合わせず、少しだけ穴のように残しておき、
その穴から土台のウレタンを入れて完成。
「靴下なのにカバー」出来上がり!

で、この『翻訳語成立事情』。

幕末から明治にかけて
西洋の言葉がどどーっと入ってきて、
それをずんずんと日本語に翻訳したので、
いろんなひずみが出てきてるんだよ、
ってことを教えてくれる、ありがたくも面白い本です。

翻訳語がつくられていく過程では、
「ちょっと違うけど、こんな感じかな」
っていう言葉を組み合わせたりして、
「靴下なのにカバー」みたいな
不思議なことが起こっていたようです。


翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189)
柳父 章
岩波書店
売り上げランキング: 73937

2012年9月19日水曜日

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(伏見つかさ)読みました。


20代のころ、ぼくは映画学校の友だちと一緒に
8ミリ映画をよく撮ってました。
脚本も2人で書いていた。

夜中のファミレスに行って、
おかわりしてくれるコーヒーだけで
朝方まで原稿用紙に文字を埋めてました。

主人公はこんなキャラだから、
このセリフは言わないだろう。
いやいや、
それは脇役がわざと言わせたんだからいいんだよ。
でも、そのセリフはイヤだ。
じゃあ、脇役のキャラを変えよう。
それだと主人公はもっと、
ぶっ飛びキャラじゃないとダメだよ。
……などなど、かんかんがくがくしながら、
人物や背景の設定を考え、
1行1行書き進めていました。

そんときは、その友だちを「へそ曲がり!」と思いつつも、
脚本を仕上げるために、
なだめすかしたり、あえて反対の意見を言い、
その意見に反対させることで
自分の意見を採用させるよう仕向けたりして
姑息作戦の応酬をしてました。
それでも、
満足いくキャラができたときなんかは、
夜中のファミレスで、
2人同時に「ぅおーっ!!」
と雄叫びをあげちゃうほど、うれしかった。

で、この『僕の妹がこんなに可愛いわけがない』。

あとがきに、
編集者と、かんかんがくがくしながら
登場人物のキャラ設定などをしていったって
書いてありました。
きっとこの妹キャラができたときは「ぅおーっ!!」って
雄叫んでいたんじゃないかな。
雄叫びOK!! 
夜中のファミレスでも、会議室でも、
どんな場所での雄叫びも許せちゃう面白い本でした。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (電撃文庫)
伏見 つかさ
アスキーメディアワークス
売り上げランキング: 4459


2012年9月18日火曜日

『風の海 迷宮の岸(下) 十二国記』(小野不由美)読みました。


「わっ! それ、今はもう禁止になっている
 変化球サーブじゃん」

学生時代、ぼくはこのセリフを書いて、
添削してくれた先生から
「おまえこれは完全に説明セリフだよ」
と言われました。

昔、変化球サーブでこてんぱんにされた主人公が、
何年かのちに、再度そのサーブを目にした場面。
トラウマになっているそのショットをひさびさに見て、
驚いている主人公に
「今はもう禁止になっている」なんてセリフを
言わせちゃった。

先生の言うとおり、
ぼくは「昔はOKだったけど、今はNG」ってことを
説明したかったんです。
つまり、まるごとの説明セリフ。

説明セリフってのは、
うっとうしくて、リアルじゃなくて、
物語のテンポとかもダメにしちゃう。

気持ちよく観ているドラマや映画で
そんなセリフが1つ入ってきただけで、
おいおいおい、としらけてきちゃう。

で、この『風の海 迷宮の岸(下)十二国記』。

説明セリフがうまいです。
おいおいおいとは、なりません。

すべてがつくり物のファンタジーの世界なので、
説明しないと読者は理解できない。
だからセリフの中でも説明しなきゃいけないんだけど、
それが、リアルな言葉になってる。
うーん、よし。次の巻、急いで買いに行こ。

風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
小野 不由美
講談社
売り上げランキング: 3898

2012年9月11日火曜日

『風の海 迷宮の岸(上) 十二国記』(小野不由美)読みました。


ぼくが本を買うときのジンクス話
(たしか『ビブリア古書堂〜』のとき書きました)
を、ここでもう一回。

 上下巻の続き物は、
 2冊を一度に買わず、
 1冊読み終わったあとで続きを買う。

そうしないと、多くの場合つまらない本にあたっちゃう。
ここでは、便宜上このジンクスを
「同時禁止」と呼ぶことにします。

それと、
4冊前『ミレニアム3』の感想ときに書いた、
ぼくの読書スタイルのことも、もう一回。

 一日のうち3回本を読むけど、
 (昼休み、帰宅時のバスの中、就寝時)
 それぞれの場所では、別々の本にする。

つまり、3冊同時進行の読書スタイル。
前と同様に、便宜上これを「3冊進行」と呼びます。

で、この『風の海 迷宮の岸(上) 十二国記』。

「同時禁止」と「3冊進行」のルールを
2つとも破っちゃいました。
上下に分かれているのに、
売り切れを心配して(新装版の刊行が始まっていて、
古いのは絶版になるかもと思い)、上下を同時購入。
さらに、
バス中のポジションから抜け出し、昼休みに読了。

んー、でもでも、
こんなにルール無視しているのに、面白い。
十二国記、はまりますよ。

風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
小野 不由美
講談社
売り上げランキング: 6160

2012年9月10日月曜日

『三匹のおっさん ふたたび』(有川 浩)読みました。


「そりゃー無いかも」と
思っちゃう小説の場面って、ちらほら目にします。

例えば、こんなのがありました。

男性の主人公が少年時代を回想するシーン。
少年の彼が、なんだか不潔と感じ、
いつもイヤだと思っていたことがありました。
月に1度のペースで見かけるトイレの棚の光景です。
そこには、未使用の生理用ナプキンが、
宴会場の隅にある座布団のように、
数枚重ね置きしてあります。
母親がやっていることなんですが、
少年はそれを「汚いなーもう、やめてくれよ」
と思いながら、言い出せません。
──そんな内容の回想シーンです。

それは、女性作家が書いた小説の一場面でした。
(作品名と作家さんの名前も忘れちゃってます。
 ごめんなさい)

それを読んで、ぼくが感じたのが、
「男の子は、生理用ナプキンを不潔と思わないよ」でした。

男は、それがどんなふうに汚れるのか知らないんです。
未使用なんだから、
小説で描写されていたほどの嫌悪感が
出てくるとは思えなかった。

でも、女性の作家さんだから、
何の疑いもなく、そう書いちゃったんでしょうね。

で、この『三匹のおっさん ふたたび』。

「そりゃー無いかも」と思えちゃった設定や
セリフがいくつかあり、そればかりが気になって、
正直、のめり込めなかったんです。
いや、でもね、
このシリーズの前作は面白かったんですよ。

三匹のおっさん ふたたび
有川 浩
文藝春秋
売り上げランキング: 879

2012年9月7日金曜日

『日本語の思考法』(木下是雄)読みました。


予想が外れることは、よくあります。

少し前の、あるライターさんに
仕事を依頼したときもそうでした。
そのライターさん、
仕事が粗いことはわかってたんですが、
そのときは、
しがらみがあって頼まざるをえませんでした。

んで、案の定、
締め切りを少し過ぎてから原稿が届きます。

あーあとため息をつきながら、
相当な手直しが必要だろうな、
と覚悟して目を通してみると……。

なんと!
完成度の高い素晴らしい文章だったんです。
ぼくが手を入れるなんて、おこがましい。
まったくいじりようがない原稿でした。

やっぱ、何事も、
先入観を持っちゃいけないんですね。

で、この『日本語の思考法』。

今いったライターさんの話は、
予想が悪くて結果は良かったという例ですが、
この本はその逆でした。

イイと思っていたのに、そうでもなかった。
というか、ぼくが求める内容と違っていた。
この場合、予想ってよりも、期待ですね。

期待が外れてしまうことは、
何度も経験しているのに、やっぱ期待しちゃう。
きっと、
あんなこと、こんなこと教えてくれるんだろうって、
わくわくしながら読み進めていたんですが、
ちと方向性が違ってた。

でも、次の本も、
こりずに期待しながら、読みまっせ。

日本語の思考法 (中公文庫)
木下 是雄
中央公論新社
売り上げランキング: 248797

2012年9月4日火曜日

『クエーサーと13番目の柱』(阿部和重)読みました。


デフォルトが臆病なので、人に対するとき、
ほとんど八方美人的に振る舞ってしまうぼくです。

とはいえ、
嫌いだと思う人に対して、おべっかを使うって感じじゃない。
その人の、なんかしらイイとこ見つけて、
それをぼくの中で拡大解釈して
「すごいですねー」みたいに言う。
……あっ、それが、八方美人か。

ということで、つまり、
あんまり嫌いな人っていないんです。
あえていえば、嫌いというよりも、
なんか自分とは合わないなと感じるくらい。

それは、本でもそうです。
今まで読んだ本で、
心底、この本、嫌い!
と思った本はありません。

で、この『クエーサーと13番目の柱』

嫌いな本じゃありません。
でも、ぼくには合わなかったな。

クエーサーと13番目の柱
クエーサーと13番目の柱
posted with amazlet at 12.09.04
阿部 和重
講談社
売り上げランキング: 21118

2012年9月3日月曜日

『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下)』(スティーグ・ラーソン)読みました。


本を読むのは1日3回で、
その3回はそれぞれ、読む本も場所も違う。
これが、ぼくの本読みスタイルだってことは
このブログでも何回か話しました。

昼休みの会社、会社帰りのバスの中、就寝時。
会社の棚に1冊、通勤カバンに1冊、ベッドの横に1冊、
違う本が確保してある。
だから普通なら3冊同時進行で読んでるんです。

んで、少し前に、
この3つの領域にある見えない壁を乗り越えて、
同じ本を連続で読んだって話をしました。
面白すぎて、途中でやめられなかったからです。

それが『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』。

でも面白すぎるとはいえ、
ふだんの習慣をやぶるのは、なんとなくムズかゆく、
その作品に負けてしまった感が、
むくむくしてくるので、
3冊同時進行スタイルは、
もう決して破るもんか、と内心決めてたんです。

で、この『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下)』。

やっぱ、同時進行スタイル破っちゃいました。
あー面白かった。

ミレニアム3  眠れる女と狂卓の騎士(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 1730

2012年8月28日火曜日

『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上)』(スティーグ・ラーソン)読みました。


忘れないためには、
同じことを繰り返すのがいいようです。

ぼくが高校時代に入っていた部活では、
今も、後輩の人たちがしきって、
年に一度、OB会ってのをやってくれてます。

ぼくはおじさんになっても、
この会に毎年参加しているのですが、
参加者は、ほとんどが後輩で、知らない顔ばかり。
1年に1度しか会わない人たちなので、
前の年に会った人でも、次の会では忘れちゃうんです。

それでも5、6年、
同じように忘れたり思い出したりを繰り返していると、
覚えてくるんですね。
5、6回見た人の顔は、見た瞬間に
名前と一緒に思い出せるようになる。
にわとりレベルの記憶力といわれるぼくでも、です。

で、この『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上)』。

ミレニアム2からの続きです。
その2の感想にぼくは
「複雑でいりくんだ話なのに、すすっと読ませるのはすごい」
って書きました。

そのすごさの秘密が、この3を読んで、
ちょっとだけわかった気がしたんです。
それは、「繰り返し」。

長い読み物なので、
読者が途中で、そこまでのストーリーを
忘れちゃってるかもしれない。
そんな感じがしてきたなって頃合いで、
不自然にならないように、あらすじを振り返るトコがある。
会話とか、登場人物が書くレポートの中とかで、
ストーリーを復習してくれるんです。「繰り返し」です。
ぼくのようなにわとり頭の人には、うれしいサービス。
でも、サービスって感じさせないのが、またにくい。

いやいや、面白いっす、この本。
面白くて夢中になりすぎ、
いろんなトコに支障がでちゃうのが
タマにキズなんですけどね。


ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 1359

2012年8月27日月曜日

『レポートの組み立て方』(木下是雄)読みました。


いきなりですが引用します。
「学校における受動喫煙防止対策実施状況調査について」
という文部科学省の公表資料の
冒頭にあった「趣旨」の文章です。
長いってことも言いたいのですが、
やはり長すぎるので少しカットしてます。
ざっと読み飛ばしちゃってもOKです。

********文部科学省では、「学校等における受動喫煙防止対策及び喫煙防止教育の推進について(通知)」において、健康増進法及び厚生労働省健康局長通知「受動喫煙防止対策について」に示されている「今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。一方で、全面禁煙が極めて困難な場合等においては、当面、施設の態様や利用者のニーズに応じた適切な受動喫煙防止対策を進めることとする。また、特に、屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要である。」等の内容を踏まえ、学校等における受動喫煙防止対策の一層の推進を依頼してきたところである。
 このような状況を踏まえ、今回、学校における受動喫煙防止対策を把握することを目的に、実施状況について調査を行い、今後の施策の参考とすることとした。*******

本をつくるとき、
主に先生といわれる人たちから、
上記引用文のような原稿が提供されます。
それを、

*******
文部科学省は、
学校などに対し受動喫煙の防止対策を
進めるよう働きかけてきた。
その背景には、健康増進法などに示されている
「子どものいる場所では特に配慮が必要である」という
行政の方針がある。
現在、学校がどのような受動喫煙の防止対策を
進めているのか、その実態を把握するため、
調査を行った。
********

というふうにざっくりとした、
中学生でも読める文章に直して、本に載せます。
それが、ぼくのやってる主な仕事の1つです。

んで、この作業、今までは感覚でやってました。
これで伝わるかな、ひっかかるかな、読みにくいかな、
なんてことを自問自答しながら、
すすっと読めるような感じがつかめたとこで、
よしとしていたんです。

すすっと読める文章にするための純然たるルールは、
あるようでホントはないから、
感覚が一番だ、っていうポリシーです。

で、この『レポートの組み立て方』。

すすっと読める文章、間違いなく伝わる文章、
そんな文章をつくるためのルールが書いてありました。
感覚じゃない!!
いやいや、ぼくが勉強不足だってこと、
この本読んでよくわかりました。
ポリシー、変えることにします。

レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫)
木下 是雄
筑摩書房
売り上げランキング: 9551

2012年8月20日月曜日

『ミレニアム2 火と戯れる女(下)』(スティーグ・ラーソン)読みました。


人間の脳と同じ働きを持つ機械をつくるとしたら、
地球と同じくらいの大きさになってしまう。

そんな話を昔どっかで聞いたことがあります。
昔聞いた話なので、今はもっと科学技術が進歩して、
地球よりかは小さなサイズになるかもしれないけど、
いずれにしても、人間の脳は途方もなく複雑で、
到底まねてつくるなんてことは
できない代物なんでしょうね。

そんな複雑のごちゃごちゃで、
気も遠くなるほど高度な物体を、
これほどコンパクトにシンプルに
まとめちゃってる人間の脳ってヤツは、すごいもんです。

で、この『ミレニアム2 火と戯れる女(下)』。

細かいトコまで、お話をよくよく思い出してみると、
内容は結構、複雑です。

あの人とこの人がこう絡み、
その時点では、あの人はこのことを知らないから、
つい、間違った行動をしちゃう。
でもその人は、それを知ってるから、
あんなことを言う……みたいな。

でも、
読んでる最中はその複雑さを感じなかったんです。
すんなりすすっと入って行けちゃう。
つまりは面白いってことなんだろうけど、
この面白さをつくるのは、
並大抵の人じゃあできそうもない。

ごちゃごちゃでからまってる複雑な筋書きを、
コンパクトにシンプルにまとめちゃってる。
まるで、人間の脳みたいな見事さでした。
次の3話目、早く読もっと。


ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 1204

2012年8月17日金曜日

『看護に活かすスピリチュアルケアの手引き』(田村恵子ほか編)読みました。


もともと考え方のみみっちいぼくは、
誰かに何かをしてあげるとき、
心のどっかで見返りを期待しているんです。

はっきりしたモノでお返しをくれなくても、
この人助けてあげれば
「なんて、カッコいい人なの」
とかって思ってくれるかも、
などを期待してる。

とはいえ!
そんなぼくでも、まったく見返りを期待しないで、
ほかの人の面倒をみてあげたことがあります。

それは、子どもが小さかったとき。
オムツを替えたり、ミルク飲ませたり、寝かしつけたり。
親なんだから当たり前ですけどね。

で、この『看護に活かすスピリチュアルケアの手引き』。

小説でもなく、一般の人が読む実用書とか
ビジネス書とかでもなく、
いわゆる専門書なんですが、が、が、
読んでて涙が出てきちゃうほど(ぼくだけかもしれないけど)、
いい本です。

医療に携わる人たちって、
ぼくが子どもの面倒をみたときのように、
何も見返りを求めないで、
ひたすら、患者さんの苦痛を和らげたいとか、
助けたいとか、思ってるんでしょうね。
この本でそれがよくわかります。

看護に活かすスピリチュアルケアの手引き

2012年8月13日月曜日

『残穢』(小野不由美)読みました。


みんなが集まって、
夜中に怖い話大会になっちゃったとき、
人の目の数をかぞえてはダメ。
何度かぞえ直しても、奇数になっちゃうから
──どう? 怖いっしょ。

でも、それよりもっと怖いことがあるんです。
それは、ぼくがこの話を聞いた相手。
もうすっかり、おじさんと呼ばれる歳になっているぼくが、
この話を聞いたのは、高校生のぼくからなんです。

それは──。
高校生のクラス旅行で、
きもだめし大会をやりました。
くじ引きで決めた男女ペアで、
そこら辺の夜道をぐるっと回って帰ってくる。

臆病なぼくは、
びくびくでホントはそんなのやりたくなかった。
だけど、ペアになったNさんに対しては、
強がってへっちゃら顔をしてました。
だってぼくは男子ですから。

「怖くないよ、お化けなんかいないんだから、
ささっと行って帰ってこよう」
みたいなことを終始わめきながら歩いていたんです。

本当は、怖いのをごまかすために、わめいていた。
「大丈夫、怖くない」って言葉は、
Nさんに向けてというより、
自分を励ます意味合いのほうが強かった。

んで、わめき続けたトークの中に、
アホなぼくは「目を数えちゃダメ」のネタを
入れちゃったんです。
「大丈夫、怖くないよ。それとね、
注意しなきゃいけないこともあるんだよ。
それはね、怖い話大会のときはね、目の数を…」
って具合です。これじゃあ、
勇気づけているのか、怖がらせているのかわからない。

これを聞いたNさんは、
ぼくのアホさ加減を見抜き、
ヘンなヤツとして記憶に留めました。

それから約30年がたちました。

ぼくは同窓会運営のお手伝いをすることになり、
そこにNさんもいたんです。
でも、ぼくは誰だか覚えてない。

ぼくの脳みその中の記憶の領域では、
きもだめし大会のことも、
ほとんどの同級生の顔や名前も、
とうの昔に削除されちゃってたんです。
それは、特別な理由があるわけじゃなく、
たんにぼくがアホだから。

「きもだめし大会のこと覚えてる?」と聞くNさんに、
「ごめん、まったく覚えない」と詫びて、
上記の話を聞きました。

ほらね。
「数えてはダメ」の話は、間接的だけど
高校生の自分から聞いた話でしょ。
まったく覚えていないという、
自分の記憶力のなさが、とっても怖い。
そう、とっても怖い話なのでした。

で、この『残穢』。
今までの話は忘れてください。
まったく別の次元で怖いです。本当に怖いです。
ぼくは二度と読み返さないと思います。
だって怖いんだもん。

残穢
残穢
posted with amazlet at 12.08.13
小野 不由美
新潮社
売り上げランキング: 326

2012年8月7日火曜日

『ミレニアム2 火と戯れる女(上)』(スティーグ・ラーソン)読みました。


主人公がこれといった特徴のない
薄っぺらのキャラクターだとしても、
それを取り巻く登場人物たちが
エッジのきいたキラキラ光る人たちであれば、
面白い物語になります。

だって、ちょっと前に読んだ
『桐島、部活やめるってよ』なんかは、
タイトルに出てくる桐島くんを主人公だとすれば、
その主人公自体が、
物語の中に、一度も姿を現さないんですから。
薄っぺらのキャラどころか、影も形もない。
それでも本は面白く、映画化もされちゃってる
……って、たとえが少しムリくりって気もしますが。

んで、そうはいっても、
主人公そのものがとてつもなく強烈で、
キラ星の周囲キャラたちを飲み込んじゃうような
ブラックホール的キャラクターだったとしたら、
薄っぺら型主人公のお話より、
がぜん面白くなります。
はまります。

えーっ、結局「強烈キャラが主人公の物語は面白い」。
それが言いたいだけだったんですけどね。

で、この『ミレニアム2 火と戯れる女(上)』
主人公、ブラックホール的です。

下巻はこれから読むんですが、うずうずです。
この上巻の後半部分からは、
主人公が出てこなくなっちゃってるんで、ここ2、3日は、
恋人に会えないような、もんもん状態です。

ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 2896


2012年8月6日月曜日

『火星年代記』(レイ・ブラッドベリ)読みました。


今はあまり見なくなったけど、
少し前までは、暴走族って結構よく見かけました。

そのときは、
ぼくの運転するクルマの4、5台前に、
ぶおんぶおん、ぱららぱららと爆音を響かせながら、
何台かの改造バイクが、
のらりくらり運転をしていたんです。
ぼくも含めてほかのクルマは、
びくびくして、その集団を追い抜けません。

そこに!
隣車線の後方から、
すすーっと滑るように黒塗りのベンツがやってきて、
ぼくのクルマの横を走りすぎました。
横目でちらっと見ると、
昔の任侠映画に出てきそうなコワモテの方が運転してました。
んで、そのベンツ、
ぱららぱららの爆音軍団を気にもせず、
スピードもそのままで、すすーっと行っちゃったんです。

ぱらら軍団の連中は、互いに何か声を掛け、
神妙にうなずき合っていました。
いやいや、ベンツさんの貫禄勝ちでした。

で、この『火星年代記』。まさに貫禄です。

先日、作者のレイ・ブラッドベリさんが
亡くなったと聞いて、ご愁傷様の意味を込めて
読んでみたんですが、やっぱいい。
これはほんと文学です。貫禄です。

火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)
レイ ブラッドベリ
早川書房
売り上げランキング: 6740