2011年3月29日火曜日

何歳からが老人なんでしょうか。

『オジいサン』(京極夏彦)読みました。

まずは、去年の年末にあちらの世界へ旅立ったぼくの親父のこと。

享年は72歳でした。

ガンだったので、最後はとてもやせ細ってしまい、
自分で歩くのもやっとという感じになってしまったのですが、
でも、そんなふうに弱ったのは、最後のほんの数カ月だけ。

それ以前は「ガンって診断されたけど誤診じゃないの」
と疑うほどピンピンしてたんです。
抗がん剤とか放射線とかの治療で病院に行くときには、
自分で車を運転して、
「どうせ長くないんだから」なんて言いながら
タバコをぷかぷかふかしちゃってました。

さらに、大学生になった双子の娘とかみさんを連れて
家族で顔を出すと、「よし、メシ食いに行こう!」と、
近所に新しくできた、ステーキが売りのファミレスにみんなを引き連れ、
誰よりも大量のステーキを平らげちゃう。

それでしまいかと思いきや、
「ちゃんとメシになるモンも食べないとな」と言うが早いか、
メニューをさっと広げ、近くを通るウェイトレスに
「あっ、おねえさん、このミートソースってヤツ1つ。
それからビールももう1つ」。

……それがぼくの親父の常態でした。

だからぼくは、72歳っていうのは、
今まで考えていたほど年寄りではないんだ、と思っていたんです。
この前、仕事で会った72歳の社長は、
年間数回はトライアスロンの大会に出場しているっていってたし……。

で、この『オジいサン』。

主人公が72歳でした。
本の中の72歳は、世間一般にいう老人でした。
これがぼくにとって、とても違和感。
内容はいいんですよ、面白い本なんです。
でもね、ぼくの知っている72歳は一人として老人じゃないんですよね。


オジいサンオジいサン
京極 夏彦

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2011年3月20日日曜日

あとあと考える。

『白蝶花』(宮木あや子)読みました。

面白かった。良かった。
──んですが、
読んでいる途中、
昔読んだ山本周五郎さんの作品なんかが思い浮かび、
それらと同等のレベルだと思いながらも、
昔はもっと感動したはずなのに、
今はそんなでもないなと、
自分の感性の劣化を感じちゃいました。

……それとも作者が女性だからかな。
たしかに今までのめり込んだ作家って
男性ばかりなんですよね。

とはいっても、好きな作品を読んでいるときに、
作者の性別なんて意識していないんですけどね。

あとあと考えるとってことです。あとあと考えると、
同性の作家さんばかりがお気に入りになってる。

すぐに思い浮かぶ例外は、高村薫さんくらいかな。

でも、面白かったし、良かったんです。
でも、新刊が出る度にそわそわしながら、
本屋さんに向かうようなお気に入り作家にはならないな
……なんでだろうか。

あとあと考えても、自分でもわからないんです。
もうちょっとあとになって考えよっと。

白蝶花 (新潮文庫)白蝶花 (新潮文庫)
宮木 あや子

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幸い反論意見は聞いてません。

『蛇にピアス』(金原ひとみ)読みました。

何を今さらの芥川賞作品。
積ん読本のストックがなくなり、
誰が買ったのか家に転がっていた文庫を
カバンに放り込んだまま何の本だか忘れていて、
帰宅時のバスで、さあ読書だと思って、
カバンを開けてみたらこの本でした。

前半はよかったです。
芥川賞も結構いい作品を選ぶモンだなと感心してました。

でも、後半はちょっと気に入らないかな……。

巻末に、芥川賞の選考委員だった村上龍さんが、
解説を書いてます。

そこには、
選考会で自分はこの作品を推したいんだけど、
他の人が反対するだろうから、
その反対意見への反論を必死に考えたとありました。

でも、選考会では最初からみんながこの作品を選び、
用意した反論は必要なかった、と。

たぶんぼくが気に入らなかったのは、
村上龍さんが考えていた反対意見の部分だろうと思います。

幸い村上さんの説得を聞いていないぼくは、
もうちょっとだなの感じは抱いたままなんですよね。

蛇にピアス (集英社文庫)蛇にピアス (集英社文庫)
金原 ひとみ

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ものぐささんの安心ツール

『あなたの癌は、がんもどき』(近藤誠)読みました。

ガンの検診を受けた人と受けない人の、
その後の生存年数を調べたデータがたくさんのっている本です。

当然、
きちんと検診を受けて危険を素早く察知して、
病気が拡大しないうちに何らかの処置を
している人のほうが長生きする

……と思いきや!

ぼくのように、検診なんて面倒だと、
まったく受けていない人のほうが
長生きしていたりするって統計が多い──んだそうです。

あくまで、この本によればですが。

なぜか。
検診を受けた人が問題なしと判断された場合は、
不摂生に拍車をかけることになり、
問題ありと判断された場合でも、
手術だ、抗がん剤だ、放射線だと、いろんな治療をされて、
結局は副作用とか術後が思わしくないとかで、
通常よりもはやく召されてしまう。

ぼくは、数年前の健康診断で、
部位は忘れてしまったんですが、悪いとこがあるので、
一度きちんと調べたほうがいいといわれました。

でも、その後ものぐさで、
きちんと調べることはしませんでした。

で、その後、もう4、5年は健康診断を受けていないんです。

それでも、大した問題もなくぴんぴんしているんだから
大丈夫だろうとタカをくくっています。

この本は、ぼくのような、ものぐささんには、格好の安心材料。
精神衛生上とってもよい本になるでしょう。

あなたの癌は、がんもどきあなたの癌は、がんもどき
近藤誠

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2011年3月7日月曜日

とりあえず目標提示

『道元禅師(上)』(立松和平)読みました。

去年読んで、まったく歯が立たなかった正法眼蔵が頭にひっかかり、
小説ならなんとかなるかもと読んだ立松和平版の道元さん。

でも、この立松版にも正法眼蔵から引いているトコがあり、
その部分はやはり歯が立ちません。

だから文字を追う目の動きも、つっかえつっかえなんです。

ぼくがスラスラ読める小説って、
やっぱエンターテイメントしてて、
物語がずんずんすん進んでいく、悪い言い方すると俗物。
俗物じゃないと楽しめなくなっているのかなって気がします。

「お前、才能あるね」なんて言葉を
まったくかけられないという、ぼく自身が俗物なので、
楽しいと思える作品も、
同じジャンルになっちゃうんでしょうね、きっと。

とはいえ、この立松版は、
おおもとの正法眼蔵のうように
丸ごと全部が哲学書といわれるような内容ではありません。

やっぱ、形としては小説。

だからハラハラドキドキさせる部分も、
ちらほらと散りばめられています。
生きるとはなんぞやみたいな思想を語るトコでは
つっかえつっかえになるぼくの目の動きも、
そんなハラハラ部分ではスムーズさを取り戻し、
これもけっこ楽しめるかな、なんて安心したりします。
で、そのあとスグに目の動きは鈍行に……。

おっと、感想も行ったり来たりで
まとまらない気がしてきたので、ここらで締めましょう。
とりあえず全3巻読破を目標にします。

道元禅師〈上〉 (新潮文庫)道元禅師〈上〉 (新潮文庫)
立松 和平

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2011年3月2日水曜日

ひょっとして生まれ変わり?

『百鬼園随筆』(内田百閒)読みました。

ぼくが今マイブームになっている作家・森見登美彦さんが、
どこかのインタビューで
「影響を受けた作品は内田百閒の『百鬼園随筆』です」
と言っていました。

うェッそうなの。
名前は聞いたことあるけど、一冊も読んでないよ。
ということであわてて買ったのがこの本。

うん。面白かったです。

事務所を引っ越して、本を読む環境が変わったせいか、
すらすらと頭に文章が入ってこない状況下での読書だったのですが、
半分くらいはストンと脳みそに落ちてきて、
その半分は「ほーおもろい!」って叫んでしまうほど面白かった。

読書環境を変えて再読すれば、
残り半分もストンときて、
きっとぼくは内田百閒ファンになっていくことでしょう。

そんでもう一つ発見したことがあります。
森見さんの作品は、内田百閒の雰囲気そのままってこと。
自分で影響受けたといっているだけのことはあります。

ホントそのままなんです。
時代が違うからディテールとか文章の言い回しなんかは
若干違いますが、底に流れているベースは一緒。
生まれ変わりじゃないのって思っちゃいました。

読み比べがオススメです。

百鬼園随筆 (新潮文庫)百鬼園随筆 (新潮文庫)
内田 百けん

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2011年2月28日月曜日

いろんな感じが錯綜する読書

『建てるお墓 継ぐお墓』(杉村和美)読みました。

実用のために実用書を買って読むのは
たぶん年に1〜2回あるかないかです。

で、今回はそれに該当。
でも実用情報を得ることより、
面白いか面白くないかを判断してしまうぼくが
悲しくも楽しいです。

この本は今、家族総出で取り組んでいる親父の
お墓探しに役立てようとして買ったもの。

その手の情報にはまったくうとかったぼくには、
それなりに新鮮で「ほーっ、そうなの」と
うなずく部分がたくさんありました。

なので、面白い、面白くないという単純な判断基準に
照らすと面白いに傾きます。

それはそれでいいんですけど、
同じような実用書をつくっているぼくにとっては、
よくも悪くも、つくり手の様子が見えてきちゃいました。
あー、ここは資料が足りなくて、幅を広げるのをやめたんだな、
でもその逃げ方がうまいから全然違和感ないなとか、
そうそうここで呼び掛けみたいな文体にすると、
読みやすくなるんだよね、とかとか。

で、そういうふうな視点で読んでると、
なんだか仕事をしているような気になってきて、
この本はずっと自宅で読んでいたんですが、
なぜか仕事場の机にいるような気分になり、
やり残している事務作業のことなんかが頭に浮かんできます。

お墓の情報を得ようと思って、
やり残した事務作業が頭に浮かび、
つくり手の様子がチラチラしながら、
新鮮な情報に「ほーっ」とかいう。
なんだかヘンな読書体験でした。


建てるお墓 継ぐお墓 (これでOK!)建てるお墓 継ぐお墓 (これでOK!)
杉村 和美

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2011年2月9日水曜日

そこそこだけどまだまだ

『降水確率』(娘ほか大学生)読みました。

うちの娘は大学生で、小説家でもある教授のゼミに入っています。
そのゼミでは1年かけて各学生が短編小説を1つ仕上げ、
集まった十数本の作品をソフトカバーの本にまとめるってことやってます。

そのまとまった作品がこれです。

だから、どこにも市販されてはいません。
いわゆる自費出版というか、課題プリントというか。そんなモンです。

嫌がる娘をなだめて、無理矢理その課題作品を
家に持ってこさせ、読んじゃいました。

そして、それを自分の読書遍歴の一つとして、
こんなふうに文章にしているんです。
なんとまあ、ヘンな親です。
でも学費出しているんだから、それくらいいいでしょ。

作品のレベルは、そこそこだけどまだまだ。
ひらがなばかり並んで
どこでどう区切って読めばいいのか
わからないような「そこそこだけどまだまだ」レベル。
うん、我ながら適切な表現だと感心しちゃいます。

親としては、娘の作品にこれから朱字を入れながら
添削しちゃおうかと考えています。

それには、娘の短編部分だけのテキストデータが
欲しいんですが(本に直接落書きすると怒られるので)、
それを娘からもらえるかどうか。
さて、なんて言おうか。これから口説き文句を考えます。

2011年2月3日木曜日

ノスタルジーが、ほわほわと。

『花まんま』(朱川湊人)読みました。

正確な人数ははっきり覚えていないのですが、
うちのお袋には、十数人の兄弟姉妹がいます。

お袋はそのうち真ん中あたり。
何番目になるのかはよく知りません。

でも、その中で結婚したのはわりと早く、
初孫ではなかったものの、
祖父母にとって、ぼくは2番目に生まれた孫でした。

そして、ぼくの従兄にあたる初孫は、
遠方に住んでいたらしく、なかなかじいちゃんちには顔を出さない。

そのせいか、ぼくが行くと、ベタかわいがりをされた記憶があります。

しかも、じいちゃん、ばあちゃんだけでなく、
そこに住んでいた大勢の
お袋の兄弟姉妹(つまりぼくにとっての叔父叔母)にも、
可愛い可愛いと言われ、べたべたいじくり回されていました。

実は、ぼくはその状態があまり好きではなく、
でも、お小遣いをもらえたり、おもちゃを買ってもらえたりしたので、
子供ながらに不平をもらしちゃいけないと、
されるがままに我慢していたんです。

ってなことを長々説明したんですが、
実はそこに特別の意味があるわけじゃなく、
この先、面白い話に展開していくわけでもないんです……すいません。
まぁ、それだけのこと。


で、この『花まんま』。

読んでいると、幼い頃のことが、
ほわほわと頭の中に浮かんできます。

ちょうど著者がぼくと同じ年齢のようで、
ノスタルジーポイントがドンピシャなんでしょうね。

ただ、今は、ぼく自身が、
なぜかノスタルジーをそれほど欲している時期にはないようです。

つまらなくはないけど、のめり込むほどでもないかな
……ってトコが正直な読後の印象でした。


花まんま (文春文庫)花まんま (文春文庫)
朱川 湊人

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2011年1月30日日曜日

物語作法8カ条

『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』(カート・ヴォネガット)読みました。

村上春樹さんとかすごい人たちに
影響を与えているっていわれるヴォネガット作品なんですが、
この短編集は、ぼくにはそれほど響きませんでした。

やっぱり、ぼくはすごい人たちの仲間ではないってことですね。

でも、この本の冒頭にあった「はじめに」みたいな文章の中に、
とっても勉強になることが書かれていました。
それ、そのまま引用して、
今回はお茶を濁しちゃいます。


物語をつくるときの心得みたいな8カ条です。

1. 赤の他人に時間を使わせた上で、
 その時間は無駄ではなかったと思わせること。

2. 男女いずれの読者も応援できるキャラクターを、
 すくなくとも一人は登場させること。

3. たとえコップ一杯の水でもいいから、
 どのキャラクターにも何かを欲しがらせること。

4. どのセンテンスにも2つの役目のどちらかをさせること
 ——登場人物を説明するか、アクションを前に進めるか。

5. なるべく結末近くから話をはじめること。

6. サディストになること。
 どれほど自作の主人公が善良な好人物であっても、
 その身の上におそろしい出来事をふりかからせる
 ——自分が何からできているかを読者に悟らせるために。

7. ただ一人の読者を喜ばせるように書くこと。
 つまり、窓を開け放って世界を愛したりすれば、
 あなたの物語は肺炎を罹ってしまう。

8. なるべく早く、なるべく多くの情報を読者に与えること。
 サスペンスなどくそくらえ。
 何が起きているか、なぜ、どこで起きているかについて、
 読者が完全な理解を持つ必要がある。
 たとえばゴキブリに最後の何ページかをかじられてしまっても、
 自分でその物語を締めくくれるように。


バゴンボの嗅ぎタバコ入れ (ハヤカワ文庫SF)バゴンボの嗅ぎタバコ入れ (ハヤカワ文庫SF)
カート ヴォネガット Kurt Vonnegut

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2011年1月29日土曜日

打算もあって下巻まで

『文明崩壊(下)』(ジャレド・ダイアモンド)読みました。

そういえば、
去年も年の初めに上下巻物のぶ厚い本を読んだのでした。

でもそのときは、
へーへーいいながら上巻を読み終えたのは良かったのですが、
もう体力限界って思ってしまい、
すぐに下巻には移らず、
気楽に読める楽しい小説に手を出してしまいました。

そうなると、もう下巻には触れる気にならず、
結局もういいやと、上下巻を揃えてブックオフ送りに。
そんな苦い経験があるにもかかわらず、今年も年初に分厚い上下巻物。

学習能力の足りないぼくです。

でも、今回は読みました。
目を通さずにブックオフ送りにするのは、
貧乏性のぼくには耐えられなかった。
それと、あわよくば、
この本に書かれているネタで仕事の原稿をつくろうかな
という打算的な考えもあったからです。

で、勉強になりました。

日本は世界の中でも有数の森林面積の比率が
高い国なんだそうで、それを教えてくれた。
それだけだったら自分の無知さを
知らしめてくれたってくらいでしょうが、
森林たくさんの理由まで、この本は教えてくれました。

(実はその理由が仕事の原稿のネタにしようと思ったトコ。
上巻だけ読めばネタは入手できると思ったんですが、
書かれているのは下巻だったので、
最後まで読まなきゃいけなかったんです)

日本が森林いっぱいの理由。
それは、徳川幕府が森林保護の政策をとったからでした。

そのころから「自然破壊はいかんのよ」と考える人たちがいて、
なんとか守りましょうと
葵の紋を振りかざしながら「控えおろォー」とかいって、
木を切り倒す人を止めたり、
苗木を植えたりして森を保護したんだな、きっと。
で、今はどうなの、みんなエコしてる?
……そんな流れの仕事の原稿をつくろうかな。


文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

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2011年1月17日月曜日

ぼくの自己紹介

『文明崩壊(上)』(ジャレド・ダイアモンド)読みました。

今は、病気になると病院に行って医者に診てもらい、
症状についていろんなうんちくをもらって、
薬をもらいますよね。
それでちょっと安心して、病気が良くなっていく。

でも、そんなお医者さんのいない時代には、
村の呪術師みたいな人のところに行くか、
家に来てもらって、加持祈祷してもらって、
ちょっと安心して、病気が良くなっていく。

これって、どこの誰に診てもらうかの違いだけであって、
結局、同じじゃないのかな、なんて昔から思ってました。

今の人が現代の医療を信じているのと同じように
昔の人も昔からの加持祈祷術を信じていたんでしょうからね。


で、この『文明崩壊(上)』。

マヤとかイースター島とか
今では無くなってしまった文明のことをたくさん紹介しています。

人間による環境破壊が、
文明崩壊の大きな原因なっていることをテーマにしてるようです。
今はやりのエコ分野の問題提起ですね。

この本を読んだのは、
仕事で環境問題の媒体をつくっている関係上、
勉強しておいたほうがいいかなって思ったから。

でも、この本を読んで、気づかされた点は、
さっきいった、人が信じているモノのモロさというか、
やぼったさというか、嘘っぱちさというか……でした。

どの時代も、人間はやっぱり、本当に本当のことなんて、
見つけられないんだなって。

そう、この「人間はずっと昔から今の今まで、
本当のことなど何も見つちゃいない」ってことは、
この本のテーマでもなんでもありません。

作者がいいたいこととはてんで関係ないところに興味を
引かれちゃうって妙なくせがある。
そんなぼくの自己紹介でした。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

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2011年1月13日木曜日

ただ1人に向けて書く

『書いて生きていく プロ文章論』(上阪徹)読みました。

ぼくの仕事の大半は、
新聞や雑誌、書籍などに文章を書くことです。

でも、毎回毎回、自信満々で文面がつくれるわけではなく、
実は
「ホントにこれで伝わる?」
「文法的に間違ってない?」などの
自問自答の繰り返しで、
なんとか文字を埋めているって感じなんです。

なので「文章作法入門」みたい本を、
よくカンニング用に利用します。

でも、そんな本を読んだあとって、
なんだか文章がぎくしゃくしちゃって、
作文がうまく進まなくなる。

一生懸命トレーニングして本番に臨もうとしたら、
筋肉痛でうまく力が出せないって感じです。

この筋肉痛を乗り越えると、
「あれ? なんか実力がついた」って気もするんですけどね。

で、この『プロ文章論』。

どうやら筋肉痛は起こさない種類のカンニング本だったみたいです。
なぜなら、文章作成の技法を述べているんじゃなく、
文章を書く前の心構えみたいなことで内容を構成しているから。

そしてその心構えの多くは、
ぼくがふだんやっていることと(幸いなことに)共通していました。
だからこの本を読んで
「やっぱぼくのやり方も間違ってはいないな」と確認できたんです。
よかった、よかった。

さらに、
この本は今までのぼくが
持っていなかった新しい考え方も教えてくれました。

新聞や雑誌の記事でも、
ただ1人の読者に向けて書くようにすると良いってこと。

直接この言葉が記されているわけじゃないんですが、
ぼくが勝手に読みとっちゃいました。

さて、これから書かなくちゃいけないあの記事は
誰に向けて書こうかな。


書いて生きていく プロ文章論書いて生きていく プロ文章論
上阪 徹

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2011年1月9日日曜日

「優しさ→涙」の法則

『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル)読みました。


「優しくしないでよ 涙がでるから」
……『ひとりぼっちで踊らせて』(中島みゆき)の曲の一節です。

優しくされると涙が出るって本当です。

とくに悲しいことや、
つらいことを現在進行形でど真ん中で体験している人には、
ほぼ間違いなくこの「優しさ→涙」の法則が働きます。

先日、ぼくの親父がガンで亡くなりました。
72歳でした。最後の1カ月ほどは、声もうまく出せなくなって、
ガラガラのしゃがれ声を絞り出しながら、
自分の意思を何とか伝えていました。

それを看病していたのがお袋。

少し疲れはみせていたものの、
まったく気丈に振る舞っていて、
ぼくは、お袋ってやっぱスゲーって思っていました。

でも、その気丈な人にも「優しさ→涙」の法則は
情け容赦なく適用されちゃうんです。

ぼくとかみさんが親父とお袋を車に乗せ、
病院への送り迎えをしたときのことです。
病院のスタッフの人たちによる
優しさ攻撃が一斉に開始されたんです。

車いすでもつらそうにしている親父には、
待ち時間の間、空いた診察室のベッドを使わせてくれたり、

お袋には常に、
「元気出してね」
「大丈夫だからね」
「何もしないで側にいるだけで、看病になっているんだからね」などと
次々声をかけて慰めたり励ましたり。

ついに、お袋の気丈バリアーは、
間髪をおかない優しさ攻撃に屈してしまい、
どどーっと涙をこぼします。
そうなるぼくも、もらい涙。
病院の一角は、とんでもない状態になってしまいます。

ちょっと病院の人、ひょっとして泣かせるためにやってんの? 

なんて思えちゃいそうですが、
やっぱ人間って、基本は優しいもんなんでしょうね。
つらそうな人や悲しそうな人に対してはとくに。

悲しさやつらさは、我慢して心の中に閉じ込めておいてはいけない、
泣くなり叫ぶなりして外に出さないとダメって聞いたことがあるけど、
もしかして、優しさって、
そんなイヤなものを外に出すための下剤みたいたモンかもしれないですね。

あっ、しまった!

これまでのお話は
『これからの「正義」の話をしよう』
とは何の関係もありませんでした。

でも、たくさん書いちゃったんで、
書き直すのも面倒だし、このままってことにしちゃいます。

本はそれなりに面白かったです。はい。


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

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2011年1月3日月曜日

慣れてきた。

『今朝の春』(高田郁)読みました。

新聞や雑誌の仕事がメインになっている最近のぼくは、
ほとんどテープ起こしの作業をやらならくなりました。

テープ起こしとは、録音したインタビュー現場の音声を聞きながら、
そのまま文字に書き起こしていく作業です。
1字1句もらさず文字にしていこうとしたら、
1時間のインタビューでも、丸1日かかるほどの作業になります。

でも、昔はこの作業をしないと、記事にする原稿ができなかった。
テープ起こしをした膨大な量の文字を読みながら、
必要ない部分を削っていき、残ったのもので文章を組み立てていく。
そんな工程を経ないと、記事がつくれなかったんです。

この仕事を始めてから5〜6年は、そうやって記事をつくってきました。

それがある日突然、
「テープ起こししないで原稿を書いてみよう」って思い立ち、
やってみると、なんと!
それまでよりも、読みやすく深い内容の文章になることに気づきました。

その日から、ぼくは、
一冊の本に仕上げるような分量のあるインタビュー原稿は別にして、
新聞や雑誌などに載せる短い原稿ではテープ起こしをしなくなりました。

さて、
この5〜6年の間に書き連ねた
途方もない分量のテープ起こしの文字たちは、無駄だったのでしょうか。

もちろん、無駄じゃないって思いたい。

ぼくは、そんな下積みの作業があったから、
今があるんだと思ってるんです。

つまり、慣れ。

慣れないうちは、面倒なことでも遠回りでも、
よいしょよいしょって越えていかないとダメなんですね。

特に、もの覚えが悪く、要領の良くないぼくのような人間にとって。


で、この『今朝の春』。

シリーズ4作目ってことで、
作者が物語をつくるのにこなれてきたなって、感じました。

そして、読者のぼくのほうも、この作者の文章に慣れてきた。

そこで次は、
その慣れを「飽き」にしないため、どんな工夫を凝らすか。
これは、ぼくが自分で原稿をつくるとき
毎回頭を悩ませている事柄でもあります。


今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
高田 郁

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