2011年2月28日月曜日

いろんな感じが錯綜する読書

『建てるお墓 継ぐお墓』(杉村和美)読みました。

実用のために実用書を買って読むのは
たぶん年に1〜2回あるかないかです。

で、今回はそれに該当。
でも実用情報を得ることより、
面白いか面白くないかを判断してしまうぼくが
悲しくも楽しいです。

この本は今、家族総出で取り組んでいる親父の
お墓探しに役立てようとして買ったもの。

その手の情報にはまったくうとかったぼくには、
それなりに新鮮で「ほーっ、そうなの」と
うなずく部分がたくさんありました。

なので、面白い、面白くないという単純な判断基準に
照らすと面白いに傾きます。

それはそれでいいんですけど、
同じような実用書をつくっているぼくにとっては、
よくも悪くも、つくり手の様子が見えてきちゃいました。
あー、ここは資料が足りなくて、幅を広げるのをやめたんだな、
でもその逃げ方がうまいから全然違和感ないなとか、
そうそうここで呼び掛けみたいな文体にすると、
読みやすくなるんだよね、とかとか。

で、そういうふうな視点で読んでると、
なんだか仕事をしているような気になってきて、
この本はずっと自宅で読んでいたんですが、
なぜか仕事場の机にいるような気分になり、
やり残している事務作業のことなんかが頭に浮かんできます。

お墓の情報を得ようと思って、
やり残した事務作業が頭に浮かび、
つくり手の様子がチラチラしながら、
新鮮な情報に「ほーっ」とかいう。
なんだかヘンな読書体験でした。


建てるお墓 継ぐお墓 (これでOK!)建てるお墓 継ぐお墓 (これでOK!)
杉村 和美

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2011年2月9日水曜日

そこそこだけどまだまだ

『降水確率』(娘ほか大学生)読みました。

うちの娘は大学生で、小説家でもある教授のゼミに入っています。
そのゼミでは1年かけて各学生が短編小説を1つ仕上げ、
集まった十数本の作品をソフトカバーの本にまとめるってことやってます。

そのまとまった作品がこれです。

だから、どこにも市販されてはいません。
いわゆる自費出版というか、課題プリントというか。そんなモンです。

嫌がる娘をなだめて、無理矢理その課題作品を
家に持ってこさせ、読んじゃいました。

そして、それを自分の読書遍歴の一つとして、
こんなふうに文章にしているんです。
なんとまあ、ヘンな親です。
でも学費出しているんだから、それくらいいいでしょ。

作品のレベルは、そこそこだけどまだまだ。
ひらがなばかり並んで
どこでどう区切って読めばいいのか
わからないような「そこそこだけどまだまだ」レベル。
うん、我ながら適切な表現だと感心しちゃいます。

親としては、娘の作品にこれから朱字を入れながら
添削しちゃおうかと考えています。

それには、娘の短編部分だけのテキストデータが
欲しいんですが(本に直接落書きすると怒られるので)、
それを娘からもらえるかどうか。
さて、なんて言おうか。これから口説き文句を考えます。

2011年2月3日木曜日

ノスタルジーが、ほわほわと。

『花まんま』(朱川湊人)読みました。

正確な人数ははっきり覚えていないのですが、
うちのお袋には、十数人の兄弟姉妹がいます。

お袋はそのうち真ん中あたり。
何番目になるのかはよく知りません。

でも、その中で結婚したのはわりと早く、
初孫ではなかったものの、
祖父母にとって、ぼくは2番目に生まれた孫でした。

そして、ぼくの従兄にあたる初孫は、
遠方に住んでいたらしく、なかなかじいちゃんちには顔を出さない。

そのせいか、ぼくが行くと、ベタかわいがりをされた記憶があります。

しかも、じいちゃん、ばあちゃんだけでなく、
そこに住んでいた大勢の
お袋の兄弟姉妹(つまりぼくにとっての叔父叔母)にも、
可愛い可愛いと言われ、べたべたいじくり回されていました。

実は、ぼくはその状態があまり好きではなく、
でも、お小遣いをもらえたり、おもちゃを買ってもらえたりしたので、
子供ながらに不平をもらしちゃいけないと、
されるがままに我慢していたんです。

ってなことを長々説明したんですが、
実はそこに特別の意味があるわけじゃなく、
この先、面白い話に展開していくわけでもないんです……すいません。
まぁ、それだけのこと。


で、この『花まんま』。

読んでいると、幼い頃のことが、
ほわほわと頭の中に浮かんできます。

ちょうど著者がぼくと同じ年齢のようで、
ノスタルジーポイントがドンピシャなんでしょうね。

ただ、今は、ぼく自身が、
なぜかノスタルジーをそれほど欲している時期にはないようです。

つまらなくはないけど、のめり込むほどでもないかな
……ってトコが正直な読後の印象でした。


花まんま (文春文庫)花まんま (文春文庫)
朱川 湊人

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2011年1月30日日曜日

物語作法8カ条

『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』(カート・ヴォネガット)読みました。

村上春樹さんとかすごい人たちに
影響を与えているっていわれるヴォネガット作品なんですが、
この短編集は、ぼくにはそれほど響きませんでした。

やっぱり、ぼくはすごい人たちの仲間ではないってことですね。

でも、この本の冒頭にあった「はじめに」みたいな文章の中に、
とっても勉強になることが書かれていました。
それ、そのまま引用して、
今回はお茶を濁しちゃいます。


物語をつくるときの心得みたいな8カ条です。

1. 赤の他人に時間を使わせた上で、
 その時間は無駄ではなかったと思わせること。

2. 男女いずれの読者も応援できるキャラクターを、
 すくなくとも一人は登場させること。

3. たとえコップ一杯の水でもいいから、
 どのキャラクターにも何かを欲しがらせること。

4. どのセンテンスにも2つの役目のどちらかをさせること
 ——登場人物を説明するか、アクションを前に進めるか。

5. なるべく結末近くから話をはじめること。

6. サディストになること。
 どれほど自作の主人公が善良な好人物であっても、
 その身の上におそろしい出来事をふりかからせる
 ——自分が何からできているかを読者に悟らせるために。

7. ただ一人の読者を喜ばせるように書くこと。
 つまり、窓を開け放って世界を愛したりすれば、
 あなたの物語は肺炎を罹ってしまう。

8. なるべく早く、なるべく多くの情報を読者に与えること。
 サスペンスなどくそくらえ。
 何が起きているか、なぜ、どこで起きているかについて、
 読者が完全な理解を持つ必要がある。
 たとえばゴキブリに最後の何ページかをかじられてしまっても、
 自分でその物語を締めくくれるように。


バゴンボの嗅ぎタバコ入れ (ハヤカワ文庫SF)バゴンボの嗅ぎタバコ入れ (ハヤカワ文庫SF)
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2011年1月29日土曜日

打算もあって下巻まで

『文明崩壊(下)』(ジャレド・ダイアモンド)読みました。

そういえば、
去年も年の初めに上下巻物のぶ厚い本を読んだのでした。

でもそのときは、
へーへーいいながら上巻を読み終えたのは良かったのですが、
もう体力限界って思ってしまい、
すぐに下巻には移らず、
気楽に読める楽しい小説に手を出してしまいました。

そうなると、もう下巻には触れる気にならず、
結局もういいやと、上下巻を揃えてブックオフ送りに。
そんな苦い経験があるにもかかわらず、今年も年初に分厚い上下巻物。

学習能力の足りないぼくです。

でも、今回は読みました。
目を通さずにブックオフ送りにするのは、
貧乏性のぼくには耐えられなかった。
それと、あわよくば、
この本に書かれているネタで仕事の原稿をつくろうかな
という打算的な考えもあったからです。

で、勉強になりました。

日本は世界の中でも有数の森林面積の比率が
高い国なんだそうで、それを教えてくれた。
それだけだったら自分の無知さを
知らしめてくれたってくらいでしょうが、
森林たくさんの理由まで、この本は教えてくれました。

(実はその理由が仕事の原稿のネタにしようと思ったトコ。
上巻だけ読めばネタは入手できると思ったんですが、
書かれているのは下巻だったので、
最後まで読まなきゃいけなかったんです)

日本が森林いっぱいの理由。
それは、徳川幕府が森林保護の政策をとったからでした。

そのころから「自然破壊はいかんのよ」と考える人たちがいて、
なんとか守りましょうと
葵の紋を振りかざしながら「控えおろォー」とかいって、
木を切り倒す人を止めたり、
苗木を植えたりして森を保護したんだな、きっと。
で、今はどうなの、みんなエコしてる?
……そんな流れの仕事の原稿をつくろうかな。


文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

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2011年1月17日月曜日

ぼくの自己紹介

『文明崩壊(上)』(ジャレド・ダイアモンド)読みました。

今は、病気になると病院に行って医者に診てもらい、
症状についていろんなうんちくをもらって、
薬をもらいますよね。
それでちょっと安心して、病気が良くなっていく。

でも、そんなお医者さんのいない時代には、
村の呪術師みたいな人のところに行くか、
家に来てもらって、加持祈祷してもらって、
ちょっと安心して、病気が良くなっていく。

これって、どこの誰に診てもらうかの違いだけであって、
結局、同じじゃないのかな、なんて昔から思ってました。

今の人が現代の医療を信じているのと同じように
昔の人も昔からの加持祈祷術を信じていたんでしょうからね。


で、この『文明崩壊(上)』。

マヤとかイースター島とか
今では無くなってしまった文明のことをたくさん紹介しています。

人間による環境破壊が、
文明崩壊の大きな原因なっていることをテーマにしてるようです。
今はやりのエコ分野の問題提起ですね。

この本を読んだのは、
仕事で環境問題の媒体をつくっている関係上、
勉強しておいたほうがいいかなって思ったから。

でも、この本を読んで、気づかされた点は、
さっきいった、人が信じているモノのモロさというか、
やぼったさというか、嘘っぱちさというか……でした。

どの時代も、人間はやっぱり、本当に本当のことなんて、
見つけられないんだなって。

そう、この「人間はずっと昔から今の今まで、
本当のことなど何も見つちゃいない」ってことは、
この本のテーマでもなんでもありません。

作者がいいたいこととはてんで関係ないところに興味を
引かれちゃうって妙なくせがある。
そんなぼくの自己紹介でした。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

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2011年1月13日木曜日

ただ1人に向けて書く

『書いて生きていく プロ文章論』(上阪徹)読みました。

ぼくの仕事の大半は、
新聞や雑誌、書籍などに文章を書くことです。

でも、毎回毎回、自信満々で文面がつくれるわけではなく、
実は
「ホントにこれで伝わる?」
「文法的に間違ってない?」などの
自問自答の繰り返しで、
なんとか文字を埋めているって感じなんです。

なので「文章作法入門」みたい本を、
よくカンニング用に利用します。

でも、そんな本を読んだあとって、
なんだか文章がぎくしゃくしちゃって、
作文がうまく進まなくなる。

一生懸命トレーニングして本番に臨もうとしたら、
筋肉痛でうまく力が出せないって感じです。

この筋肉痛を乗り越えると、
「あれ? なんか実力がついた」って気もするんですけどね。

で、この『プロ文章論』。

どうやら筋肉痛は起こさない種類のカンニング本だったみたいです。
なぜなら、文章作成の技法を述べているんじゃなく、
文章を書く前の心構えみたいなことで内容を構成しているから。

そしてその心構えの多くは、
ぼくがふだんやっていることと(幸いなことに)共通していました。
だからこの本を読んで
「やっぱぼくのやり方も間違ってはいないな」と確認できたんです。
よかった、よかった。

さらに、
この本は今までのぼくが
持っていなかった新しい考え方も教えてくれました。

新聞や雑誌の記事でも、
ただ1人の読者に向けて書くようにすると良いってこと。

直接この言葉が記されているわけじゃないんですが、
ぼくが勝手に読みとっちゃいました。

さて、これから書かなくちゃいけないあの記事は
誰に向けて書こうかな。


書いて生きていく プロ文章論書いて生きていく プロ文章論
上阪 徹

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2011年1月9日日曜日

「優しさ→涙」の法則

『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル)読みました。


「優しくしないでよ 涙がでるから」
……『ひとりぼっちで踊らせて』(中島みゆき)の曲の一節です。

優しくされると涙が出るって本当です。

とくに悲しいことや、
つらいことを現在進行形でど真ん中で体験している人には、
ほぼ間違いなくこの「優しさ→涙」の法則が働きます。

先日、ぼくの親父がガンで亡くなりました。
72歳でした。最後の1カ月ほどは、声もうまく出せなくなって、
ガラガラのしゃがれ声を絞り出しながら、
自分の意思を何とか伝えていました。

それを看病していたのがお袋。

少し疲れはみせていたものの、
まったく気丈に振る舞っていて、
ぼくは、お袋ってやっぱスゲーって思っていました。

でも、その気丈な人にも「優しさ→涙」の法則は
情け容赦なく適用されちゃうんです。

ぼくとかみさんが親父とお袋を車に乗せ、
病院への送り迎えをしたときのことです。
病院のスタッフの人たちによる
優しさ攻撃が一斉に開始されたんです。

車いすでもつらそうにしている親父には、
待ち時間の間、空いた診察室のベッドを使わせてくれたり、

お袋には常に、
「元気出してね」
「大丈夫だからね」
「何もしないで側にいるだけで、看病になっているんだからね」などと
次々声をかけて慰めたり励ましたり。

ついに、お袋の気丈バリアーは、
間髪をおかない優しさ攻撃に屈してしまい、
どどーっと涙をこぼします。
そうなるぼくも、もらい涙。
病院の一角は、とんでもない状態になってしまいます。

ちょっと病院の人、ひょっとして泣かせるためにやってんの? 

なんて思えちゃいそうですが、
やっぱ人間って、基本は優しいもんなんでしょうね。
つらそうな人や悲しそうな人に対してはとくに。

悲しさやつらさは、我慢して心の中に閉じ込めておいてはいけない、
泣くなり叫ぶなりして外に出さないとダメって聞いたことがあるけど、
もしかして、優しさって、
そんなイヤなものを外に出すための下剤みたいたモンかもしれないですね。

あっ、しまった!

これまでのお話は
『これからの「正義」の話をしよう』
とは何の関係もありませんでした。

でも、たくさん書いちゃったんで、
書き直すのも面倒だし、このままってことにしちゃいます。

本はそれなりに面白かったです。はい。


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

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2011年1月3日月曜日

慣れてきた。

『今朝の春』(高田郁)読みました。

新聞や雑誌の仕事がメインになっている最近のぼくは、
ほとんどテープ起こしの作業をやらならくなりました。

テープ起こしとは、録音したインタビュー現場の音声を聞きながら、
そのまま文字に書き起こしていく作業です。
1字1句もらさず文字にしていこうとしたら、
1時間のインタビューでも、丸1日かかるほどの作業になります。

でも、昔はこの作業をしないと、記事にする原稿ができなかった。
テープ起こしをした膨大な量の文字を読みながら、
必要ない部分を削っていき、残ったのもので文章を組み立てていく。
そんな工程を経ないと、記事がつくれなかったんです。

この仕事を始めてから5〜6年は、そうやって記事をつくってきました。

それがある日突然、
「テープ起こししないで原稿を書いてみよう」って思い立ち、
やってみると、なんと!
それまでよりも、読みやすく深い内容の文章になることに気づきました。

その日から、ぼくは、
一冊の本に仕上げるような分量のあるインタビュー原稿は別にして、
新聞や雑誌などに載せる短い原稿ではテープ起こしをしなくなりました。

さて、
この5〜6年の間に書き連ねた
途方もない分量のテープ起こしの文字たちは、無駄だったのでしょうか。

もちろん、無駄じゃないって思いたい。

ぼくは、そんな下積みの作業があったから、
今があるんだと思ってるんです。

つまり、慣れ。

慣れないうちは、面倒なことでも遠回りでも、
よいしょよいしょって越えていかないとダメなんですね。

特に、もの覚えが悪く、要領の良くないぼくのような人間にとって。


で、この『今朝の春』。

シリーズ4作目ってことで、
作者が物語をつくるのにこなれてきたなって、感じました。

そして、読者のぼくのほうも、この作者の文章に慣れてきた。

そこで次は、
その慣れを「飽き」にしないため、どんな工夫を凝らすか。
これは、ぼくが自分で原稿をつくるとき
毎回頭を悩ませている事柄でもあります。


今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
高田 郁

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2010年12月28日火曜日

本人確認が読解力の神髄

『読解力の基本』(速越陽介)読みました。


2010年に読んだ本の中で、
反面教師的に勉強になった本の2冊目でした。

1冊目は『面白くて眠れなくなる数学』。
とりあえず1つの話の中では、
結論をいわないと、読者は消化不良になっちゃうんだなってことを
教えてくれました。

そして、2冊目がコレ。
小学生向けに教えるべき内容なら、
大人向けの本として売っちゃいけないよ、
ってこと学びました。

本のつくりも、文章も
すっきりわかりやすくてよいのですが、内容が……。

例えば。
ぼくは「悪文を読むためのテクニックを紹介」って謳い文句に
惹かれてこの本を読み始めたのですが、その答えは、

「悪文で意味がわからないときには書いた本人に確認しましょう」
という内容。

その文言を読んだときは、
思わず苦笑いしてしまいました。

さらに、意味のわからない文章でも、
「知らなくていいことは、確認してはいけません」って感じで説明が続く。

これが読解力!

うーん、これはものすごい勇気がないと書けない言葉だと思います。


読解力の基本読解力の基本
速越 陽介

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2010年12月20日月曜日

ツルツルの図太い神経回路

『文章がうまくなるコピーライターの読書術』(鈴木康之)読みました。

「インドに旅行に行って、はまりすぎて、
向こうに住み着いちゃう人がケッコいるって聞くけど、
やっぱり衝撃だった? なんか人生観変わった?」

「もう少し若いときに行っていたら
何かあったかもしれないけど、
もうすぐ40歳のおっさんだよ。
ただの観光だったよ」

インド帰りの友だちと、
昔こんな会話をしたのを覚えています。

ささくれがとれていない若い時代なら、
少しの刺激が、大きな痛みや楽しさになって返ってきたけど、
すっかりツルツルの図太い神経回路に成長してしまったおっさんは、
外界からの刺激には、たやすく流されないってことですね。

幸いに、というか悲しいことに。


で、この『文章がうまくなる〜』。

やはり、ぼくも、もうおっさんでした。

読んでいる途中で、頭の中に浮かんできた言葉は、
「まぁ、ね」
「そうだね、そんなこともあるよね」
「いいかもね」など。

テレビの前に転がっている旦那に向かって、
やたら元気な奥さんが「ねぇディズニーランド行こう!」と
呼び掛けたときの返事のようなコメントばかりです。

もしかしたら、この著者が本家本元で、
この人の言葉をみんなが引用しているから
なのかもしれないんですが、
なんかどこかで聞いたことあるものばかりだったんです。

こうしたらいいよってノウハウは、
そんなに斬新な方法にはならないんでしょうね。

どっかで聞いちゃったことって刺激にはなりにくい。
インドのことも、イッテQとかふしぎ発見とかで、
現地の細かい生活ぶりまで知っちゃってるしね。


文章がうまくなるコピーライターの読書術(日経ビジネス人文庫 ブルー す 4-2)文章がうまくなるコピーライターの読書術(日経ビジネス人文庫 ブルー す 4-2)
鈴木 康之

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禁じ手

『神様のカルテ 』(夏川草介)読みました。

「死」にまつわるいろんなことについて、
少し前までは、なんでもかんでも避けていたぼく。

源氏物語の中に、
知り合いの家で病死した人が出て縁起が悪いからと、
その家のほうには近づかなくなってしまう貴族の話が
滑稽に語られていますが、その人と一緒。

死という文字も、単にそれを連想させるものも、
なるべく使わないようにして過ごしてきました。

でも、仕事で、葬儀法要のマナーについて記した実用書を
つくったのをきっかけに、
そんなの関係ない、
と受け入れる度胸がついてきたように思います。

どんなに避けていても、避けきれないものですからね。

で、その本をつくったときに、
度胸と同時にもう一つ身についたもんがあります。

読者を泣かせるコツです。
コツといっても、特に難しい技法でもなんでもなくて、
単に登場人物が死んじゃうシチュエーションをつくればいいだけ。

これがあればたいていの人は泣きます。

特にそのシチュエーションが決まり事のように
物語の根底に流れていれば、
あとはその逆に、
その登場人物が人生をめちゃくちゃ楽しんでいる姿を盛り込む。
そうすると書いている本人も泣きます。

そしてそのコツに気づいたとき、
「これは安易に使ってはいけない」と思ったんです。

これはドラえもんに、
どんな球でもヒットにできるバットを出してもらい、
それを使って野球をするようなもの。
それでは面白くありません。

で、この『神様のカルテ』。
泣けちゃいます。
ぼくが禁じ手にした手法を使っているので泣けちゃいます。

だから、この本のシリーズ2作目が出ていて、
それもよく売れているそうですが、ぼくは買いません。


神様のカルテ神様のカルテ
夏川 草介

小学館 2009-08-27
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2010年12月13日月曜日

もう一回、読んでみよう

『現代文訳 正法眼蔵5』(道元著/石井恭二訳)読みました。

一度手をつけたことを途中で投げ出すのが怖いぼく。
自分が決めてやったことは、
なんでもかんでも、とりあえずざっとでも、
最後までやってしまう。

そうじゃないと、
「中途半端はダメだ!」と誰かに怒られてしまうような気がして……。
そんな強迫観念にびくびくし、
やっていることが苦痛でも、つまらないことでも、
続けちゃうクセがついています。

そのクセのせいで、
どれだけ無駄な回り道をしてきたことか。

いやいや、この『正法眼蔵』が無駄だとはいいません。

でも、5巻もの全部を読み通してみても、
ぜんぜん理解できない。
理解できないにもかかわらず、
1冊400ページ近いものを5冊もぺらぺらとめくって目を通した。

よくもまあ、理解もできないものにそこまでやったなと、
我ながら感心するほどです。

スポーツでも、仕事でも、
ふだんとは違うつらいことをやった直後は、
「もうイヤだ、やりたくない!」と感じ、
しばらく時間が経つと、
「もう一回やってみたいな」って思っちゃうぼく。

今も、こんな読書のやり方は止めたいなと思っていますが、
たぶん、もうしばらくしたら、
もう一回読んでみようと思っていることでしょう。


現代文訳 正法眼蔵 5 (河出文庫)現代文訳 正法眼蔵 5 (河出文庫)
道元 石井 恭二

河出書房新社 2000-11-05
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2010年12月9日木曜日

面白さって何?

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下)』
(アンドリュー・ロス・ソーキン)読みました。

上巻を読み終えてすぐ買いに行きました。
ぼくには妙なジンクスがあり、上下とか分冊で売られている本を
2冊一度に買ってしまうと、その上巻は、必ず面白くないんです。
そんな目に遭うのはイヤなので、購入は1冊づつ。

そんで購入後、即座に読みました。

結論は、上巻の面白さを2倍したくらい面白かった。
この面白さって何なんでしょうかね。

これはノンフィクションなので、ホントにあった話。
それでも登場人物がみんな真剣に右往左往してるんです。

しかも、小説とかによくありがちなタイムリミットがあり、
そのときまでに何か手を打たないと、破滅しちゃうってシチュエーション。
ハラハラドキドキなんです。

当事者たちにとっては、とてつもなく困難な作業を、
命を賭けるほど熱さで取り組み、
それでも次々に壁が立ちはだかり、いくつかの作業は水泡に。

……で、そんな緊迫のドラマを、
せんべいなんかをボリボリしながら、まったく人ごとで楽しんでいる。
なんだか不謹慎なんだよなって思いながらも、面白がってしまう。

ホント、面白さって何なんでしょうかね。

ということで、今年2010年に読んだ本の中の5つ星作品が1つ増えました。
ちなみに5つ星は今のトコ、この本を合わせて4つ。
残り3つは、『ペンギン・ハイウェイ』『「悪」と戦う』『八朔の雪』です。


リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人
アンドリュー・ロス・ソーキン 加賀山卓朗

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2010年12月1日水曜日

頭の中に「もし」の連射

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上)』
(アンドリュー・ロス・ソーキン)読みました。

歴史で「もし」を語るのは無意味だといわれます。
関ヶ原の合戦で徳川軍が負けていたらとか、
太平洋戦争で日本が勝っていたらとか。

そんな「もし」を仮定しても、
事実は変えられないのだから無意味だと。

でも、ぼくは「無意味」がもう少し違う意味を
持っているような気がするんです。

事実を変えられないから無意味なんじゃなく、
いろんな「もし」が本当にあって事実が変わっちゃったとしても、
結局のところ現在の世の中って、
同じなんじゃないかなって。


「もし」を語ろうが語るまいが、
「今現在の世の中は一緒だよ、
人間がやること、やれること、つくれるものなんて
そうそう変わるものじゃないんだから」みたいに思うんです。

そんな意味で、「もし」を考えるのは、無意味なんだろうなって。

で、この『リーマン・ショック〜(上)』。

読んでいる途中で
「あれ? もしかしたら、このリーマンの社長が
この発言しなかったら、世界中の不況もなかったんじゃない」
「この財務長官が違うこと言ってたら、
もっと早く手を打てたのに」というように、
「もし」ばかりが頭に浮かびました。

「もし」が現実になった場合でも
世の中や歴史は変わらないものだと言ったばかりの頭が、
「もし」を連射で考えていたんです。

リーマンの社長がなんて言おうと、
財務長官がどんな行動をしようと、
きっとリーマンショックと同じような経済の動きって
日本にも来たんだと思います。

そしてもうひとつ間違いなくいえることは、
ノンフィクション物を読んでいるときに
頭の中に「もし」が連射される作品は、
ぼくにとってとんでもなく面白いってことです。

さあ、下巻を買いに行ってきます。


リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたちリーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたち
アンドリュー・ロス・ソーキン 加賀山卓朗

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