2011年6月14日火曜日

カッコよく、読みやすく。

『フロネシス05 エコと経済の新しい関係』
(三菱総合研究所)読みました。


本をつくる作業の中に、デザインっていう工程があります。

文字はココのスペースに配置して、
その下に写真を置き、イラストは右上に小さく
……なんてことを考えていく作業です。

レイアウトともいいます。

このデザイン作業を専門にやってくれる人がデザイナーさんです。
もっと細かく、デザイナーさんとDTPさんって
分けるのが普通なんですけど、説明が面倒なので、
ここでは申し訳ないけど、
ひとくくりでデザイナーさんとしちゃいます。

文字の原稿をつくるのが著者、
写真を撮るのがカメラマン、
イラストを描くのはイラストレーターで、
それらの素材を紙面にきれいにレイアウトするのがデザイナーです。
んで、そんな人たちをまとめ上げ、調整役になるのが編集者。

その中で、ふだんぼくがよくやっているのが、
著者と編集者の2つの掛け持ち作業です。
原稿を書きつつ、みんなの調整役になるって感じでしょうか。

さて、ぼくがパソコンの解説本をつくったときことです。
ぼくは、その書きつつ調整役をする掛け持ち役でした。

作業も山場にさしかかり、
デザイナーさんに、テキストデータの原稿やイラスト、
写真なんかを、ごそっと渡して、
「カッコイイ、おしゃれなレイアウトしてくださいね」
とお願いしました。

何日かたって、
レイアウトされた紙面ができあがってきました。

すごくオシャレです。
何も配置していない余白の部分を大胆に使って、
本文の文字は小さく。
タイトルになる大きめの文字も細いフォントで、おしとやかに。
女性向けのファッション雑誌のようです。

でも……。
それをよく眺めて見ると、なんかヘンだったんです。
ちゃんと読めないんです。
文章が途中で切れていて、その続きはどこにあるか、
すぐには見つからなかったり、
写真の説明と本文の区別がつかなかったり、
きれいな写真を大きく扱っているんだけど、
内容からして他の小さく配置された写真のほうが重要だったり。

きれいでオシャレなんですよ。カッコイイんですけどね。

でも、解読にとっても時間がかかっちゃう。
パズルを解きながら読んでいるような感じです。

「ああ、この文章はこの写真のことを言っているのか」
「あった!この文章の続きはココね」……

なので、そのレイアウトは、
もう少し読みやすくなるように直してもらいました。

で、この『フロネシス05「エコと経済の新しい関係」』。
デザイン、すごくカッコイイです。

それだからなんでしょうか、
ぼくの経験したような読みにくさも、ちょっと感じてしまいました。

デザインと読みやすさ、
両立させるのはやっぱり難しんですよね。


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2011年6月10日金曜日

キツイ煙草は、身体に毒?

『フロネシス04 「プラチナ社会」がやってくる!』
(三菱総合研究所)読みました。

「軽いタバコが流行ってるでしょ。1ミリとか。
アレ吸う人の気が知れないのよね。そんなら、吸わなけりゃいいのに。
吸い込んで、ノドとか肺とかが、きゅーってなる感じがあるから
吸っているのに、あれじゃ何もない。
ストローで空気吸っているのと一緒よ」

と、ぼくに訓辞をたれてくれた先輩女子社員がいました。

ぼくが会社に勤めていた頃の昔のことです。

その先輩は、マイルドセブンを吸っていました。
「マイルド」のつかないセブンスターとか、
ハイライトとかショートピースとか、
世間でキツイといわれているタバコを吸っていれば、
もっと説得力があるのにな、
なんてその訓辞を聞きながら思ってはいましたが、

「そうですよね」

と、100%合意の強いうなずきを返し、
先輩に話を合わせていました。

反対意見を口に出せないというへなちょこな性格は
その頃からあったもので、
今はちょっとずつ克服しようと努力中です。

まあ、たしかにタバコを吸えば、
ノドなり肺なりにきゅーって感じがして、
それを楽しんでいるといえば楽しんでる。

軽いタバコにしちゃうと、
そのいわゆる「味」が少なくなっちゃうので、
なんだかなーって気分になるものわかる気がします。

で、この『フロネシス04「プラチナ社会がやってくる!」』。

申し訳ないんですが、その先輩が感じたストロー感でした。
身体に害はないのかもしれないけど、
それではタバコじゃないっていうか…。

でもこれシリーズ本なので、
次号はきっと違う味になってるんじゃないかなと、期待。


2011年6月6日月曜日

視点は大事だけど大事じゃない。

『豆腐小僧双六道中おやすみ本朝妖怪盛衰録』
(京極夏彦)読みました。

小説を書くときは視点が大切だってことを
誰かに教えてもらった覚えがあります。
登場人物の中の「誰」を語り手にして、
物語を進めていくかってことですね。

この視点がぶれると、
読みにくくってごちゃごちゃの、
わかりにくい文章になっちゃう。

「ぼく」とか「私」とか、語り手が一人称のときは、
そうそう視点がぶれるってことはないんですが、
「ポン太が言った」とか「リリーは飛んだ」とかの
三人称になると、結構ぶれちゃいます。

例えば、リリー視点で話を進めているのに、
「ポン太はリリーが好きだった」とか書いちゃう。
リリー視点つまりリリーの目には、
ポン太の感情は見えないので、これはNG。

そういうのを気にしていくと小説書くのって、
結構面倒なんですね。

で、この『豆腐小僧〜』。

あらら、視点があちこち飛びます。

というか、
登場人物の中の誰にも視点が置かれていないみたいです。
あえて誰の視点かっていうと、
物語のすべてを把握している語り部の京極さんかな。

今までこれと似たようなつくりの物語を
読んだこともあるような気がするんですが、
作品名は思い出せません。それはきっと、
視点バラバラでわけがわからず、
何も印象に残らなかったからだと思います。

でもね!
なぜかわからないけど、これ面白かったんです。
視点バラバラでも、ぜんぜんOKでした。

やっぱ京極さんってスゴいっすね。
 
ぼくは、京極さんの作品が好きで、
ほとんど読んでいたんですが、
実はこのシリーズだけ抜けてたんです。
だって、分厚い上に版型が四角のサイコロみたいで、
読みずらいなって感じちゃったから。

でも重いの我慢して他の本も読んでみます。
そうすれば、なんで面白いのか、
少しはわかってくるかもしれないし。

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2011年6月3日金曜日

断定しましょう。

『養老孟司の大言論Ⅰ 希望とは自分が変わること』読みました。

もう結構長いこと本をつくる仕事をしているんですが、
最近でも気を抜いていると、
やらかしちゃうことがあります。

「ダメである」と書いてもいいトコで
「ダメといわれているようだ」にしちゃうこと。

つまり、断定しないことです。

この仕事を始めたぺーぺーの頃は、
よく先輩とかにいわれました。

「とにかく断定しろ!」って。

そうですよね、
読む人は、曖昧なことなんて読みたくないでしょうから。
でも、もともとへたれなぼくは、
気弱になると、
語尾がそんなふうになってくることがあると思われるようです。

いやいや、
最近ではホントにメッタにそんなことはないでんすよ。
ずっとやってきたんですから、
日々、訓練しているんですから。
曖昧な語尾を使うことなんてない!
と思いたいと感じています。はい。

まあ、断言のどこかいいかって、やっぱ売れるんですよね。
そんなふうに書かれてる本って、腹をくくってる感が満載で。

で、この『養老孟司の大言論Ⅰ』。
全部、断言でした。

恥ずかしながら
ぼくは今まで養老孟司さんの本を
一冊も読んだことがありませんでした。

本をつくることを仕事にしていながら、
ベストセラーの『唯脳論』も『バカの壁』も未読。
それではいかんだろうと思って、この本を読んだんです。

読んでいる途中、
「ほーっ、そこまで言っちゃえるんだ」と何度つぶやいたことか。
その程度がスゴすぎて、思わず笑っちゃうほどでした。
まあ、養老孟司さんだからこそって部分もあるんですけどね。

とはいえ、見習うべきです。この歯切れ感。
特にへたれのぼくは、
よくよく身につけないとダメだといわれているようです。


2011年6月1日水曜日

おやすみ前の朗読

『道元禅師(中)』(立松和平)読みました。

子供が高校受験で忙しくなるちょっと前の時期まで、
恥ずかしながら、
ぼくは寝る前の子供たちに本を読んで聞かせていました。

『ハリー・ポッター』とか
『ゲド戦記』とか『指輪物語』とか。

そのうち『指輪物語』は、この朗読前にも、
20歳代の若い頃に挑戦したことがありました。

でも、そんときは、
文庫で10巻近くある長編の1巻目の、
しかもプロローグで挫折していたんです。

登場人物がたくさん出てきて、
舞台となる場所の名前もたくさんあり、
頭の中がごちゃごちゃで、何が何だかわからなくなり、
ストーリーを追うどころじゃなかったからです。

でも!
この子供たちへの朗読では、
どれもこれもすんなり頭に入ってきて、
自分が声に出して読んでいるとは思えないほど、
クリアにストーリーが浮かんできました。

ときどき、読んだ名前のキャラがどんな人物だったか、
ど忘れしちゃうこともあったんですが、
そんなときは、朗読を中断して子供に
「これって誰だったっけ?」
と聞けば、即座に答えが返ってきて、
すぐ物語に没頭できました(子供ってすごいです)。

朗読っていうのは、文章を理解するのに、
とってもいい方法なんですね。きっと。

で、この『道元禅師(中)』。

一応、小説の形になっているので、物語は追えます。
でも、道元さんの説いている教えの内容が、
ぼくのへなちょこ頭では理解が及ばない。

道元さんの『正法眼蔵』を読んで(現代語訳)、
わけがわからず、
小説ならなんとかなるだろうと読み始めたんですが、
やっぱり、ダメです。

こうなったら、朗読しちゃおうかな。

でも、子供たちはもう大学生なんで、
聞いてくれる人いないからな。

とりあえず、下巻がまだ残っているので、
それは黙読でやってみて、
それでもダメなら、
ぼくの朗読をニコニコしながら聞いてくれる人、探してみよっと。


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2011年5月26日木曜日

読書環境で変わる作品の評価

『偉大なる、しゅららぼん』(万城目学)読みました。

この前『雁の寺・越前竹人形』のことを書いた際、
読者が作品に触れるときの年齢について触れました。
(下にスクロールすると読めると思います)

同じ人が同じ作品を読んでも、
年齢が違っていると、評価が変わってくるなって話です。

実はこれ、年齢だけじゃなかったんです。

それは、読書環境の違い。落ち着き度合いの違いです。

この『偉大なる、しゅららぼん』
とっても面白うございました。
でも、なぜかしら、邪魔が入る読書環境だったんです。
電話が鳴ったり、
「なるはやでお願いします」とかのメールが入ったり、
宅配便さんが来たり、
果ては、お茶をこぼしちゃったり。

そんな、あれやこれやの邪魔が、
「うわーっ、そうくるか!」
「このキャラすごい!!」
「えっ、じゃあ次はどうなるの!?」
……なんて、わくわくどきどきの最中に襲ってくるんです。

なぜでしょう。
やっぱ、この作品の不思議な力のなせるワザなんでしょうか。

ということで、作品は本当に面白かったんですが、
なぜか印象がぼやぼやになってしまい、
ぼくの評価は「惜しい!」。

もうしばらく経ってから、この作品を再読し、
そのときもいろんな邪魔が入るようだったら、
違う意味ですごい本なのかもしれません。

年齢と読書環境、
これは間違いなく作品の受け止め方を変えちゃいます。

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2011年5月23日月曜日

年代別、読書感

『雁の寺・越前竹人形』(水上 勉)読みました。

確か20歳代のころ、
志賀直哉の『和解』について、
「お前はまだ若すぎてこの作品の良さはわかるはずはない」
と言われたことがあります。

そんで、読んでみたら、やっぱり興味はわかず、
いやいやそれは年齢じゃなく、
作品自体の力ってモンでしょうと思い、
良い作品なら読者の年齢など関係なしに誰でも感動できるモンだ、
なんてひねくれてました。

で、この『越前竹人形』。
そのひねくれの20歳代に一度、読んだことがあるんです。
そのときは、ものすごく素晴らしい作品だと感じ、
人生が変わっちゃうよくらいに思えたんです。

それから二十数年。
新刊のストック本がなくなり、
仕方なく本棚の隅に隠れていたこの本を再読。

あのときの感動をもう一度と、
どきどきしながら読みました。

驚いたのは、細かい部分はもちろん、
全体のストーリーも結末もまったく忘れていること。
ひとかけらの記憶もありませんでした。

まあ、だから新鮮な気持ちで読めたんですが、
期待に反し、怒濤の感動はまったくなし。
ふーん、面白かったって程度です。

やっぱり、読む年代によって作品の評価は違うのかな。
『和解』も、もう一回読んでみようかな。

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2011年5月8日日曜日

仮面ライダーカード集めてました。

『県庁おもてなし課』(有川 浩)読みました。

仮面ライダーカードが、
もし仮面ライダースナックのオマケではなく、
単体のカードだけで売られていたら、
あんなに大ブームになったんだろうか……
って、考えることがあります。

段ボール1箱ぶんのスナックを買って、
カードだけ抜き取り、本体のスナック菓子を
捨てようとしていたお金持ちのぼんぼん達から、
ぼくはよくお菓子だけもらっていました。

ぼくの味覚では、お菓子はそんなにまずくなかったんです。
でも、ホントにもらいたかったのはカードなんですけどね。

今でも語り継がれるだけの大ブームになった要因は、
いくつもあると思いますが、そのひとつは
「お菓子を買わないとついてこない」という制約のせいだ、
って勝手に考えてます。

さて、今回は短かめの前置きにして、
この『県庁おもてなし課』。

この本にはいわゆるオマケがついています。
いやいやオマケといっても、
別の小袋で貼り付けあるようなものではありません。

あとがきとか、作者と関係者の対談とか、
物語の内容とリンクするような自治体の活動紹介とか、
物語とは別の文章が巻末に載っているってことです。

んで、そのオマケが結構面白い。
んで、小説自体もそれなりに楽しめる。
楽しめちゃうので、そのままの勢いでオマケも読んじゃうんです。
そうするとやっぱり、小説とオマケとは別物なので、
面白さとか楽しさとかが、ごちゃまぜになって、
へんてこな味になってしまいます。

なんだかもったいない。

小説は小説だけで読みたかった。
オマケはオマケだけで読みたかった。

でも、きっとオマケはこの小説を読んでいないと
意味が通じない部分もあるし、
もし、それだけ別売されててもきっと買わないし、読まない。
オマケはやっぱ本体がないとダメなんですね。

仮面ライダーカードも本体のスナックがあったから、
みんなあれだけ熱狂したんだと、あらためて思う今日この頃。

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2011年5月6日金曜日

とっても格調高いです。

『村田エフェンディ滞土録』(梨木香歩)読みました。

昔、『読んでみたい源氏物語』って本をつくったことがあります。
あらすじと豆知識をちりばめ、
お手軽に源氏物語を知ってしまおうという本です。

源氏物語って、オリジナルは千年も前に書かれたものなので、
今とは相当違う言葉づかいになっています。

例えば今なら第1章とか第1節とかの用語を使って、
お話の区切りを表したりするんだけど、
源氏物語では「帖」。「じょう」ですよ。

第1帖とか第2帖とか。
部屋の広さじゃないんです。

法律とかで使われてる「条」なら、
まだわからないでもないんですが、
「帖」って何よって思っちゃいます。

読む人の思考を、
複雑な文章のつくりや難解な用語で止めてはいけない、
すすっと読めて、中身がストンと頭に落ちないといけない
──本をつくるときは、いつもそんなことを
考えながらやってるぼくは、この源氏物語の「帖」が
なんとも悩ましかったんです。

いっそのこと、
チャプター1とかセクション1とかに変えちゃおうかと
何度も試行錯誤しました。
だって、古文に一度も触れたことのない人にも
読んで欲しかったんですもの。

でも、それだと、ぼくのつくった本をきっかけに、
源氏物語にはまる人がもしいたら、
その人に申し訳ない。
たぶん、そんな人は原文や現代語訳を読むことになるだろうけど、
そこにはチャプターやセクションなんて、どこにも出てこないから。
逆に混乱しちゃうだろうなって思ったんです。

で、結局「帖」はそのままにしました。
今でもどちらがよかったのか判断できていません。

そんな感じで、ぼくがつくる本は、
できるだけ何も考えずに、
文字を目で追っていくだけで、
内容が伝わるものにしたいと思っているんです。

文章の「重々しさ」とか「格」なんていらない。
それってぼく自身にもいえるんですけどね(名誉とかって要らないです)。

でも、物語を語る小説を読んでいて
「うわっ、これはなんて品のない文章なんだ」とか
「もっと重々しく書けないのかな」なんて感じて、
内容はストンと頭に落ちてくるものの、
評価が低くなってしまう作品がたくさんあります。

それとは逆に、
「この文章は格調高いな」とか、
「熟読しないとこの文の構造は理解できないけど、そこが素敵」なんて
思って、大好き本リストに加えてしまうものも少なくありません。

人に読んでもらう本は「わかりやすく」って思いながらつくる。
で、自分が読む本は多少小難しい文章でもそのほうが楽しい。
うーん、これって矛盾そのもののような気がします。

で、この『村田エフェンディ滞土録』。
とっても格調高い文章です。
今度はこの文章を真似て、本づくりしようかなと思うくらい。

あっ、そうそう。
ちなみに『源氏物語』の原文も、
あちこちで格調高いっていわれてます。
んで、ぼくのつくった解説本は、
文章的には何の格調もありません……はい。


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2011年4月28日木曜日

頼りになる文学賞は?

『謎解きはディナーのあとで』(東川篤哉)読みました。

困ったときの山本周五郎賞。
読む本のストックがなくなって、何を読もうか迷うとき、
頼りにするのがこの文学賞です。

今まで呼んだものをネットで引いてみたら、
『ゴールデンスランバー』『夜は短し歩けよ乙女』
『覘き小平次』『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
『ぼっけえ、きょうてえ』『奪取』『家族狩り』
『砂のクロニクル』『TUGUMI つぐみ』『異人たちとの夏』
と10作品も読んでました。

で、どれもハズレなし。
全部がその年に読んだ作品のベスト3に入るくらいよかった本です。

そしてもう一つ。今まで頼りにしていた賞があります。
本屋大賞です。
その1位になった作品でこれまで読んだのは、
『天地明察』『告白』『ゴールデンスランバー』
『夜のピクニック』『博士の愛した数式』。

このうち『告白』が少し物足りなかったけど、ほかは全部OK。
十分楽しませてもらいました。

これとは逆に、裏切られてばかりの賞もあります。
たぶん文学賞の中では最も有名な芥川賞、それに直木賞。
たまたまなのかもしれませんが、
どちらも「えーっなんでぇ?」とうなってしまうもの
ばかりでした(作品名はナイショ)。


で、この『謎解きはディナーのあとで』。

申し訳ないのですが、読むのが苦痛でした。
でも、途中で読むのをやめてしまうのは、
もっと申し訳ない気がして、
後半は斜めに目を通しながらの読了です。

で、この本を読み終えた今、
ぼくの中では、本屋大賞が芥川賞・直木賞のレベルに入りつつあります
(この一文だけ読むと、一般的にはすごいほめ言葉になるんだろうな…)。


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2011年4月27日水曜日

シリーズ第6作目も買うでしょうね…

『小夜しぐれ』(高田郁)読みました。

イスの上では、ぼくはたいがいあぐらをかいています。
なんか行儀が悪いような気がして、
意識的に足を下におろすこともあるのですが、
いつの間にか、またあぐら姿勢になってるんです。

でも、いつものランニング通勤の影響でヒザが痛かったり、
筋肉痛だったりするときは、
あぐらは痛みを助長するようです(ぼくだけかもしれませんが)。

最初は痛くないんですが、
何かに集中して同じ姿勢を続けていると、
あぐらをといたとき、うぎゃーとなります。

だから、足に違和感を感じるなってときには、
なるべくあぐらをしないように気をつけてるんです。

それでも、なぜか忘れてやっちゃう。
んで、後で痛い目をみる。


さて、高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズ。
たしかこの『小夜しぐれ』は5冊目です。
1冊目を、涙を流しながら読んで、
2冊目はトーンダウンしながらも
3冊目は新刊が出ると同時に購入し
「あれっ、やっぱちょっと違うかも」と感じて、
それでもここまで続けて読んだんだからと、
少しさめながら4冊目を読んだら、
「やっぱもういいかな」って感じてしまったシリーズです。

だから5冊目は買わないし、読まないはずだったんです。

そんな読書プランを変更させたのは娘からのメールでした。
「高田郁さんの新刊出ているから買ってきて」

本棚に置いていたこのシリーズを、
ぼくの知らないうちに、娘も読んでいたんですね。
大筋のストーリーは各巻でつながっているから、先が気になる。
なので新刊が出たから買ってこい、と。

娘の依頼には、逆らえないのが父親です。
いや、どんな人の依頼でも逆らえないのがぼくです。

そして、当然のように先に娘が読んで、
そのあと、ぼくが読みました。
次の6冊目は要らないな……というのが正直な感想でした。

でも、きっとまた娘からメールが来ると思います。
そしてぼくは買って帰ると思います。
ちょうど、足が痛いときでも、
ついつい、あぐらをかいてしまうように。


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2011年4月24日日曜日

こそばゆいです。

『日本はなぜ世界で一番人気があるのか』(竹田恒泰)読みました。

一冊の本をつくるとき、
ぼくが一番多く担当させてもらうのは、
執筆&編集という役割です。

まず文字の原稿を自分で書いて、
それに合ったイラストとか写真とかを集めます。
それをレイアウトしてくれるデザイナーさんに渡し、
各ページに配分してもらいます。

このとき
「だいたいこんな感じで配分してね」という
手書きのラフもつくって、
他の素材と一緒にデザイナーさんに渡します。

で、ある本をつくっていたときのことです。

ラフと一緒に素材一式を渡しながら説明するぼくに、
担当のデザイナーさんが言いました。

「ここまでやる人は、いませんよ!
全ページのラフなんかもらったの初めてですよ! すごいッスね。
これもし、そのまま印刷したら、メイキング本になって、
こっちのほうが売れるかもしれないッスよ!」

ぼくは、デザイナーさんに要らぬ手間を掛けさせてはいけないと、
300ページ近くある本の全部ページをラフで起こしていました。
そこに、イラストや写真などの合い判はもちろん、
注意して欲しいことなんかを細かく書いていたんです。

でも、それはいつものことです。

そんなに褒められることとは思ってないんです。
後のことを心配しながら
「ここに注意書きしておかないと誤解されるかも」
「間違っちゃうとダメだから、確認マーク入れておこ」
とか考えているうちに、
全ページ書いちゃって、指示も細かく入れちゃう。

つまりは、後でミスが発覚するのが怖い、
臆病者ってだけなんです。

それを、このデザイナーさんのように褒められると
(もしかしたら、バカにしてたのかもしれませんが)、
とってもこそばゆくて、とっても居心地が悪くなります。

で、この『日本はなぜ世界で一番人気があるのか』。

ぼくがデザイナーさんのお褒めの言葉を頂いたときの
「こそばゆさ」そのものでした。

「日本人としての誇り」って、
ぼくにはそれほど必要ないかな……。
むずむずして、居心地が悪くなる気がするので。


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2011年4月19日火曜日

ぐにょぐにょ部分が影響するつくり方

『大いなる遺産』(下)ディケンズ、読みました。

もう20年ほど前になるでしょうか。
ぼくの好きな作家ジョン・アーヴィングさんの
『ホテル・ニューハンプシャー』を読んだときのこと。

感想からいうと、とっても面白かったんです。

休みの日の朝に読み始めて、
その日の夕方までに一気に読みです。
読後はもう興奮冷めやらず、
いてもたってもいられない感じに。

そんなとき目に止まったのが、
新聞の映画上映スケジュールの欄でした。

そこに、この作品を原作にした映画が載ってたんです。

上映時間を確認すると、
「うわっ、これから出掛ければ、最終上映に間に合うじゃん!」

そんなわけで、ぼくは急いで上映館に向かいました。

原作と同名タイトルの映画は、
さっき読んだ本の内容をほぼ忠実に描いていました。
ぼくが感動して、
いてもたってもいられないほどになった内容です。

でも! でも、でも。面白くなかったんです。

どんでん返しなんかがあって、ネタバレしちゃったから、
つまらないってことじゃありません。

最初からストーリーがわかっていたって、
面白いものは面白いでしょ。

何度も繰り返して読む本や観る映画はあるし、
そういう作品は、たいてい再度触れるたんびに
違った面白さが出てくるモンじゃないですか。

でも、この映画は、面白く感じられなかった。

このときぼくは、同じ内容でも、つくり方の違いで、
面白さはまったく変わってくるんだなってことを実感しました。

これは映画と小説という伝達方法の違いというより、
つくった人のクセとか技術とか思いとか、
そんな形にならないぐにょぐにょした部分が影響してるんだと、
何の根拠もなく考えています。

もちろん、つくり方を目一杯ぼくの好みに合うようにしても、
びた一文も面白くならないストーリーってのは、ありますけどね。

えーっと、わかってると思いますが、
ここまでは『ホテル・ニューハンプシャー』の話です。

で、今回感想を書こうと思ったのは、
やっとのことで上下巻を読み終わった『大いなる遺産』。

そうですね……『大いなる遺産』
ぼくの好みに合うようなつくり方をしてくれれば、
きっと面白かったんだろうな……。

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2011年4月15日金曜日

過渡期です。

『警視庁草紙(上)』(山田風太郎)読みました。

会社が今の場所に移る前、
ぼくの自宅から会社までは約10キロの距離がありました。

ぼくは定期代をケチるためその道のりを自転車で通うことにしたんです。

でも、それだけでは三日坊主になる可能性があるので、
なにかしら自分を奮い立たせるものを用意したい。
そこで、毎日タイムを計り、
1分刻みで縮めていく目標を掲げたんです。

目標が決まり、そこに集中することで、
三日坊主はなんとか避けられました。

そうして会社が今の場所に移るまでの約2年間、
雨の日もカッパを着てチャリ通勤を続けたんです。

でも、そのチャリ通勤を始めた最初の半年くらいは、
毎日のように太ももが筋肉痛でした。
だらだら坂道では、ぜいぜい状態で息が切れ、
空気を吸い込むのも難儀して、
ひょっとしてこのまま倒れて、
あっちの世界にイっちゃうんじゃないかって思ったほどです。

それが半年を過ぎて、
あぁもうすぐ一年か、なんて考えるようになったころ。
筋肉痛も息切れもまったくしていない自分に気づきました。

最初のころはあんなに辛かったのに、今はなんともないじゃないか!

ここで「過渡期」って言葉が浮かんだんで、辞書で調べたら
「古いものから新しいものへと移り変わっていく途中の時期」
ってありました。

チャリ通勤を始めたころのその半年間は、
この過渡期だったんです。

チャリ通勤に慣れていない身体から、チャリ通勤用の身体に移る時期。

どんなものでも移り変わる時期ってあるんですね。

で、この『警視庁草紙』。
江戸時代が終わって明治の近代社会に移り変わる時期が舞台です。

実は……この本を読むまで、浅はかなぼくは、
明治になって近代化がなされる時代に、
この過渡期があるとは考えもしませんでした。

誰もがささっと名字をつけ、
ちょんまげが瞬間にざんぎり頭になり、
腰に差していた刀はすぐ消えちゃった、
くらいに思っていたんです。

でも、もちろん、違うんですね。
そんな簡単であるわけがない。まさに過渡期だったんです。

『警視庁草紙』──ストーリーも面白かったんですが、
そんな時代があったってことを教えてくれたありがたい本でした。

なお、ぼくの現在の会社の場所は、
自宅までの距離が約5キロ。
そんで、1カ月ほど前からランニング通勤を始めています。

今、過渡期です。


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2011年4月14日木曜日

つながらないならショートショート

『四畳半王国見聞録』(森見登美彦)読みました。

中学生のころ、ぼくは毎日のように
星新一さんのショートショートを読んでいました。
5〜6ページで一つのお話が完結してしまうというあの短さが、
人並み以下の記憶力しか持たず、
頭の回転もそれに応じて鈍いぼくには、
ジャストフィットしていたんだと思います。

ああ楽しいな。面白いな。自分でも書いてみたいな。
この短さなら、ぼくにもできるんじゃないかな……。

と、中学生なので、よく勘違いしてました。

さらに、いろんな分野に共通すると思うのですが、
おうおうにして質の高いの作品(または製品)ほど、
「これなら自分でもつくれるじゃん」って
思わせてしまうようです。

なので、ぼくも書きました。ショートショート。
そう、単純なんです。うん、大丈夫、大丈夫って感じです。

ちょうど卒業文集をつくっている時期だったので、そこに載せる文章。
それにショートショートを書いて提出しちゃったんです。

提出後、一週間ほどたった日のホームルームの時間でした。

その日の議題は、「中学最後の文化祭に何をやるか」です。

まず担任の先生が言いました。
「先生の提案は、みんなでやる劇だ。
その劇に、いい題目を見つけたので、今から朗読する。
よく聞いて、みんなで判断してくれ。
──タイトルは『ぼくはロボット』だ」

そのタイトルを聞いた瞬間、
一人の生徒の顔が真っ赤になり、下を向いたかと思えば、
いきなり顔を上げてきょろきょろと左右を見たり、
果ては教室から逃げだそうと
立ち上がりかけたりするヤツがいました。

その挙動不審になったヤツ、それがぼくです。

先生の読んだ『ぼくはロボット』を書いたのは、
ぼくだったんです。

中学生活の思い出をつづる文集に、
ふざけたお話を書いて怒られるものだとばかり思っていたぼく。

それがなんと、担任の先生が興味を示してくれて、
面白いから、みんなで劇にしようとまで言ってくれた
(でも、文化祭の出し物は、結局お化け屋敷になったんですけどね)。

ぼくの書くモノって面白いんだ!

中学生ですから、よく勘違いします。
さらにその勘違いはその後の人生に大きく影響を与えます。

ぼくは今、文章を書いたりして、
いろんな媒体をつくる仕事をしていますが、
よくよく考えると、
その出発点はこの勘違いだったんでしょう、きっと。

あっ! いかん、いかん。
ここは『四畳半王国見聞録』の感想を書くスペースでした。

えーっ、この本、7つの短編で構成されてるんですが、
それぞれがつながっているようでつながっていない。

その中途半端さが、ぼくには中途半端でした。

つながるならつながる、つながらないならつながらない。
つながるなら一冊分の長い物語に、
つながらないなら、一つのお話をもっともっと短くして
ショートショートにしちゃってほしい。

あっそうだ、このショートショートのことが頭に浮かんで、
長々と阿呆中学生の話をしちゃったのでした。

とはいえ、森見さんの作品は、つまらなくないです。面白い。

中学時代に星新一さんに夢中になったのと同じように、
おじさんになったぼくは、森見さんの作品を追っかけています。


四畳半王国見聞録
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