2014年12月18日木曜日

『剣豪将軍義輝(上)鳳雛ノ太刀』(宮本昌孝)読みました。

トイレに行きたくても、
その場のあれやこれやの事情で行けなくて、
我慢しなくちゃいけないことがあります。

そのとき、小のほうは、
欲求が時間を追うごとに膨れあがるのに対し、
大のほうは、
強くなったり弱くなったりを波のように繰り返し、
ときには、「あれ? もうしたくなくなった?」
なんて思って安心した途端に、
ぎゅーっと差し込んできたりする。

大と小の違いは、
身体の構造上の問題なんですかね。

ちょっと、たとえが下品だったかもしれませんが、
小説も、大と小みたいな分類が
できるんじゃないかと思いました。

「小」は右肩上がり型。
始まりは状況説明みたいな取っつきにくい文章が
連なっていたのに、ページをめくっていくうちに、
ぐいぐい引き込まれて
「えーっ!? どこまでいっちゃうの〜!」みたいな。

「大」は周波数グラフ型。
「もうダメ!我慢できない!」的な
物語の山場があったと思ったら、
次のページでは人物設定や背景の解説なんかの
平坦な文章が結構長く続いて
「あれ? したくなくなった」と思いきや、
また見せ場がくる。

どっちがいいとか悪いとかじゃなく、
大でも小でも、
そんなふうに感じられる本があるなって思い、
ぐだぐだ書いちゃいました。

で、この『剣豪将軍義輝 上 鳳雛ノ太刀』。

ぼくの分類でいえば、「大」でした。
この本は、あと2巻続くんですが、
そこにいくと、
なんとなく右肩上がりの「小」になる予感。
次、早く読もっと。


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2014年12月16日火曜日

『二流の人―官兵衛と秀吉』(坂口安吾)読みました。

現場を直接見ていないのに、
渡された資料だけで、施設紹介とかの記事を
書かなくちゃいけないことがあります。

ぼく、実はそれ、得意なんです。

ひょっとすると、
実際に見て書くよりも、見ないで書く方が、
いい原稿になるかも…ってくらい。

資料だけでそんな記事を起こすときは、
間違いがあると怖いので、
たいてい現場の人に内容を
チェックしてもらいます。

すると、少々の修正依頼と一緒に、
「いつ取材されたんですか?」とか
「こんなこと資料には載せていないのに、
 なぜ知っているんですか」
とかのコメントが返ってきます。

もちろん、現場に行ったワケじゃないし、
バイトちゃん使って探りを入れたワケでもない。

なぜ見てもいないのに書けるかっていうと、
想像して書いちゃうから。

でも、ですね。
それって、つくっているんですけど、
つくっていないんです。

資料を読まないと頭の中に浮かんでこない
「つくりモノ」なんです。

このぼくの「つくりモノ」は、
実物を見ちゃうと頭に残らず
スルーしちゃう性質を持っているみたいで、
だから、
資料だけで書いた原稿のほうが、
リアルに近く面白くなるんだと思います。

で、この『二流の人』。

大河ドラマでやってる黒田官兵衛を
描いた『二流の人』と、
豊臣秀吉が主人公の『真書 太閤記』の2編。
表題作より秀吉が面白かったなぁ。
でも実物見たら、こうは書けないだろうな。
「つくりモノ」の面白さ。


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2014年12月12日金曜日

『大神兄弟探偵社』(里見蘭)読みました。

このブログでも何度か言ったと思いますが、
数年前に他界したぼくの親父は、
ぶつかったクルマを直す修理屋さんでした。

専門は塗装。
でこぼこになったドアとかの鉄板を
平らにするのは板金屋さんで、
親父は、
平らにはなったけど、
鉄板がむき出しになっちゃったトコに、
周囲と同じ色の塗料を塗っていく人でした。

これがまあ、なんとも職人なんです。

いわゆる「技」を持ってる。
塗装のはげていないほかの部分と
色がぴったり合っちゃうんです。

ぼくも、親父の仕事を少し手伝ったことがあり、
言葉には出さずとも、
はたで見みながら、「ほぉ〜」と感心してました。

まず、
大まかに数種類の塗料を
適当な大きさの缶に入れて混ぜ合わせ、
近い色をつくります。

その大まか色を指先に1滴たらしたら、
クルマの塗料がはげていない部分に
ちょこっと塗って、色の違いを確認する。

見ているぼくは、
「これはたぶん緑が足りないぞ」なんて思う。

すると、親父は
緑とは真反対の赤の塗料を数滴、
大まか色の中に落とし、木べらぐるぐるかき回す。

これが見た目には、
ちっとも色が変わっているようには見えない。
でもそれをまた、指先にたらし、
塗ってみると、なんと、どんぴしゃ。
すげー親父!

で、この『大神兄弟探偵社』。

足す色がちと違ってるかな……って印象でした。



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2014年12月10日水曜日

『読書狂の冒険は終わらない!』(三上延/倉田英之)読みました。

昔かよっていたスポーツクラブは、
温泉施設とジムが併設されていました。

少し多めに会費を払うと、
ジムだけじゃなく温泉も入れるんです。

お風呂大好きのぼくは、
もちろん温泉併用メニューの利用者。
というか、
毎日温泉に入るために会員になっている感じでした。

でも、悩ましい点が一つだけあったんです。

それは温泉施設にはなくて、
ジムのプール脇だけにあるジャクジーの存在。

そのジャクジーには、
足裏にぶくぶくを噴射する設備
(勢いがとんでもなく強烈!)があったんです。

これがなんとも言えず気持ちいい。
あぁ〜極楽極楽っ、なんです。

温泉もジムも利用できる会員だから、
足裏ぶくぶくもやって、温泉にもつかってと、
2つの恍惚感を味わえる。

……と思いきや、そうは問屋が卸さない。

ぼくが利用していたのは、
会社に行く前の朝の時間帯。
2つの楽園に行っちゃうと会社に間に合わないんです。

しかも、温泉は裸OKだけど、ジャグジーは要水着。
足裏ぶくぶくしたければ、
海パンも用意しなきゃならない。

どちらか1つにしなきゃダメだったんです。

仕方なく、ぼくは温泉をメインにして、
週1〜2回だけ海パンを持参し
足裏ぶくぶくの日にしていました。
どっちも気持ちよかったなぁ。
あぁ〜極楽極楽っ。

で、この『読書狂の冒険は終わらない!』。

「あぁ〜極楽」な本でした。
どらかというと足裏ぶくぶく的な。


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2014年12月8日月曜日

『みんなの少年探偵団』(万城目学ほか)

つまならいとも、面白いとも思わずに、
ただ漫然とテレビドラマを観ていること
ってありますよね。 よね?  たぶん。

少し離れた場所にあるリモコン取って
チャンネル変えるのも面倒だと、
休日の昼時に食事をしながら、
なぜか映っていた再放送の
2時間サスペンスドラマを、
そのまま眺めているとか、

一日の仕事が終わって
「あぁ、疲れた」なんてぼやきながら、
リビングにごろんと転がって、
誰かが消し忘れたテレビの
時代劇をそのまま観ているとか。

「これを観たい」という意志があって、
映像を目にしているのではないから、
つまらない内容でも気にしない。

というか、
映っている番組のことなんか考えていない。
考えていないけど、
ストーリーは頭の中に流れてくる。

どうしようもなく下らない話が流れてきても、
それはそれで、心地よかったりする。

逆にのめり込んじゃうような
面白い物語だったら、
せっかくのまどろみ的状況が台無しになっちゃう。
そいうシチュエーションに
ぴったりはまるドラマってありますね、よく。

で、この『みんなの少年探偵団』。

短編5作を1冊にまとめている本。
どれも、まどろみ的シチュエーションに
最適のお話でした。


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2014年12月5日金曜日

『鹿の王 (下) 還って行く者』(上橋菜穂子)読みました。


iPhoneとかMacに表示される
アイコンなんかのデザインが、
昔に比べて平面的になってますよね。

ぼかしの影とかをつけて、
立体的に見せていたものを、
紙を切って貼ったようなフラットな
形にしちゃってる。

人によって好き嫌いはあるので、
あちこちで賛否両論があるみたいですが……。

余計な飾りを徹底的に捨てちゃって
シンプル・イズ・ベストを
目指そうってことなんでしょうかね。

そういうことだったら、ぼくは、まぁ賛成です。

なんだかんだがゴテゴテくっついていると、
もともと、理解力の乏しいぼくの頭が
ついていけなくなっちゃうからです。

ごちゃごちゃの修飾デコレーションに惑わされ、
本当は何を示したいものなのか、
わからなくなっちゃう。

それって、デザインもそうなんですが、
それよりも文章のほうが顕著。
例えば、ぼくを修飾するために
「格好いい」とつけて、
「格好いい」には「トム・クルーズのように」、
その上に「いつもさわやかな」で
「すがすがしい夏空のように」なんてきたときには、
えっ!? 何のことだっけってなっちゃいます。
まるで、ぼくの書く文章みたい。

なので、
とにかくシンプルにしてもらえると、
おばかなぼくでも、
すとんって理解できるから、うれしい。

で、この『鹿の王(下)』。

もうちょい物語の筋がシンプルだったら、
うれしかったです。


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2014年12月3日水曜日

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子)読みました。


ページの構成を考えたり、文章を書いたり、
レイアウトをしたり
という本づくりの仕事をしていると、
普通の読書ができなくなることがあります。

ここでいう普通の読書ってのは、
書かれている内容に没頭して、
頭の中が、
その物語だけで埋め尽くされちゃうような感じや、
「あーつまねんねぇなー」と愚痴りながら、
つまらなさを噛みしめて読む感じ、の読み方です。

たぶん、
多くの人がやっているだろう一般的な読書スタイル。

そんで、
それができなくなるというのは、
読書の最中に、
自分がつくってるときの様子を思い出しちゃうこと。

楽しむだけのために読もうと思った本でも、
「1章と3章の順番を入れ替えたほうがいいのに」
「同じ内容が重複してるじゃん」
「見出しの付け方が、どんぴしゃ。
 今度、真似しよっと」
などなど、余計なことがよぎってくる。

たとえるなら、
止まらず走りたいのに、
道の真ん中にゴミが落ちていたり、
信号で止まったり、
偶然友だちに会ったり、
……みたいなジャマー大量状態。

で、この『紙をつなげ! 彼らが紙の本を造っている』。

泣ける本なのになぁ〜
……ジャマー大量でした。



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2014年12月1日月曜日

『小夜しぐれ(みをつくし料理帖)』(高田郁)読みました。


ちょっと前に読んだ沢木耕太郎さんの本に、
「旅は人生に似ている」
ってなことが書いてありました。

旅も人生も、はじめのうちは、
知らないことばかりで刺激に満ちているけれど、
長く続けると感動も薄れてくる、みたいな。

それは、旅と人生ばかりじゃなく、
ほかのいろんなものにも通じていそうです。

恋愛なんかはその最たる例じゃないですか。
最初は熱々だったけど、
そのうち冷え冷えになっちゃうとか。
この「熱→冷」でいえば、
温かい食べ物なんかはみんなそうだし。

で、この『小夜しぐれ(みをつくし料理帖)』。

シリーズの5巻目だか6巻目なんです、確か。
1巻目を読んだとき、
泣けて泣けて、鼻水すすりながらページを
めくった覚えがあります。

でも、
これも旅とか人生とか恋愛とか
冷めちゃう食べ物とかのように、
なってしまったんです、ぼくの場合。
まだ続きの巻があるんですが、
読もうかどうしようか検討中です。


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2014年11月27日木曜日

『鹿の王 (上) 生き残った者』(上橋菜穂子)読みました。

高校時代、
部活でバドミントンをやっていました。
今でも年に一度OB会があり、
そこで遊びのゲームをします。

でも、そのとき戸惑うのがルールの違い。

今は、サーブ権のあるなしに関係なく
ショットを決めるか相手がミスすれば
得点できるラリーポイント制です。

ところが、ぼくがやっていた当時は、
サーブ権を持っていないと、
いくらスマッシュを決めても点数は入らない
サーブ権ポイント制だったんです。
(↑この名前はぼくが勝手につくりました)

まあ、それだけなら別に迷うことはないんですが、
このルール変更にともなって、
ダブルスでのサーブのやり方が、
複雑怪奇(←ぼくにとって)になっちゃったんです。

ダブルスの二人のうちどちらがサーブするか、
半分に分かれているコートの右と左の
どっち側から打つのか……

「偶数だから右だよ」とか、
「前回はぼくだったから、今度はあなた」とか、
その度ごとに教えてもらうんですが、
何度やっても、いまだにそのしくみが覚えられません。

もっと単純に、初めての人でも
すぱっと理解できるやつにしてほしいんだよな。

で、この『鹿の王(上)』。

もっと単純に物語を組み上げてもらえると、
うれしかったな。
でも下巻を読み進めるとその印象も変わるのかな。



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2014年11月25日火曜日

『深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン』(沢木耕太郎)読みました。

ぼくは一度やり始めると
なかなかやめられない性格のようです。
というか、やめるのが怖い感じ。

たしか、イチローさんは自分の打席のとき、
ベンチからバッターボックスに立って
構えるまでの一連の動きが、
指の使い方まで毎回同じだと聞いんたですが、
(イチローさんと比べるのもおこがましいけど)
ぼくもそれなんです。

お風呂で身体を洗う順序はもちろん、
朝起きてから家を出るまでにする行動の流れも、
お弁当を食べるときのおかずに箸をつける順番も、そう。

その流れの中に、
何かの拍子で新しい動きが一つ加わって、
やがてフローに組み込まれちゃうと、
「やっぱ、その動きは無駄だよ、やめようかな」
と頭に過ぎったとしても、
なぜかやめるのが怖くなってやめられない。

そんな日常に組み込まれたパーツの一つに
ツイッターの投稿があります。
平日は一日一回。
もう何年も続いています(やめるのが怖い)。

でも、それを長くやってると、
ネタがなくなってくる。
ひどいときは、投稿し終わってから、
「そういえば、同じこと前にも書いた」と気づくくらい。

自分の中でネタが新鮮だと思えなくても、
なんかわからんものに縛られて、書いちゃってる。

それって、なんか、いかんなと思うわけです。

で、この『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』。

なんか、いかんな、と感じちゃいました。



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2014年11月21日金曜日

『火星の人』(アンディ・ウィアー)読みました。


今日は11月21日なので、
2014年はまだ1カ月と少しあるけれど、
今年読んで5つ星つけた本をまとめておきます。

読んだ本のリストを見てみると、
今年は再読の本が3つも、
お気に入り最高評価欄に入っていました。

そんなに時間を置かないで二度目読みしたから、
感激度合いも変わらないってことですね。

今度は、もう少し間を空けて、
年齢を重ねてから読んでみよっと。

それ、ずずっと並べると以下の通りです。
(カッコの中に「/再」とあるのが再読)

『幕が上がる』(平田オリザ/再)
『11/22/63』(スティーヴン・キング)
『ジェノサイド』(高野和明/再)
『天使は結果オーライ』(野尻抱介)
『オービタル・クラウド』(藤井太洋)
『楽園のカンヴァス』(原田マハ/再)
『グリーン・マイル』(スティーブン・キング)

で、この『火星の人』。

今、上にあげた居並ぶ5つ星軍団7冊を
超えちゃいました。

はぁ〜、ホントおもろかった。

表紙が堅い印象だったり、
ハードSFとかってうたい文句にしていたりするけど、
そんなイメージはとっぱらってください。
楽しめちゃうんだから。

ぼくが面白いっていう本は、
他の人には受け入れられない場合が多いけど、
これはたぶん大丈夫。
思い切って言っちゃいます。オススメ!


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2014年11月12日水曜日

『深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海』(沢木耕太郎)読みました。

若いときには、
目の前で起こることのほとんどが
初めての経験で、良くも悪くも、
そこからヒリヒリするような刺激を
受けていました。

それがやがて中年、老年になってくると、
たいていのことは経験済みで、
ちょっとやそっとのことでは
刺激なんて、もらえなくなっちゃう。

聞こえのいい言い方をすれば
「物事に動じなくなる」だし、
皮肉った表現なら「鈍感になる」。

まぁ人生ってのは、そんなものでしょう。

これに似ているのが、長い旅。
最初のころは、電車の切符を買うのにも、
おろおろして、どうすればいいのかわからない。
それでも、なんとか人に聞いたりして、
ようやく買えた切符を眺めて、
「おぉ!」とかって感動する。
「この切符でとんでもなく遠くまで
 行けるんだな」とか、感無量になったりする。

でも、旅を長く続けてると、
最初のころに受けた刺激はどこへやら。
旅先だからこその珍しい出来事があっても、
「あ、これあのときと同じだ」
とか思うようになる。
鈍感になって、何事もつまらなくなってきちゃう

……ってなことが、
この『深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海』
に書いてありました。

シリーズ5冊目。
全6巻なので、人生でいえば、中年・老年。
長旅なら終盤。
本の中で言われてたのと同じように、
ぼくもこの5巻目では、
そんなに刺激を受けなくなっていました。



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2014年11月10日月曜日

『シャイニング(下)』(スティーヴン・キング)読みました。

昔は、テレビがついていたり、
人の話が聞こえてきたりする場所で本を読むと、
ちっともその内容が頭に入らず、
何度もページをめくり直して、
読書が進みませんでした。

脳みそががんばって
「文章も読み解きつつ、周囲の音も理解しなくちゃ」
とマルチタスクの処理に向かっていたんだと思います。
んで、結局どっちつかずになっていた。

でも最近は、
本を読んでいるときには、
わりと周囲の音が気にならず、
テレビがついていても、
近くで誰かかが会話していても、
すすっと内容を
理解できるようになってきたんです。

それはたぶん、
脳みそにあきらめの境地が
入ってきたからだと思います。

「あっちもこっちも理解するのは疲れるよ、
 もういい年なんだから」
って感じかと。

そのあきらめの境地は、
本の内容が面白いとき、顕著にあらわれます。
逆に、書かれている内容に
気分が乗らないときは、
なぜか、あきらめさんの勢力は衰え、
マルチタスクさんが頭をもたげます。
不思議なもんです。

で、この『シャイニング(下)』。

どうしたことでしょう。
上巻はあきらめさんが優勢だったのに、
この下巻では、
マルチタスクさんのがんばりが凄かった。
読書中は、テレビの音が小さくても、
ひそひそ話の会話でも、
なんかやたらに気になっちゃいました。


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2014年11月6日木曜日

『蜩ノ記』(葉室麟)読みました。

書道コンテストの実況中継をしていた
テレビ番組がありました。
もしかしたら、バラエティ番組の
1コーナーだったかもしれません。
いつのことだかも覚えてないんですが、
とにかくぼくはその番組を観ていて、
解説者が言ったコメントが頭に残っているんです。

「素晴らしい!
 一文字目の最後の跳ねる部分は明らかなミスで、
 全体のバランスが崩れかかっていましたね。
 それをきちんと自覚して、
 二文字目で崩れたバランスを補うように、
 文字の大きさを調整しています。すごい!」

こんな感じの解説者の言葉なんて、
テレビの中にあふれているのに、
なぜかこれは残っている。

それはたぶん、
自分のやってる仕事と比べたからだと思います。

原稿を書く仕事は、
ミスったと気づいた段階で何度でも書き直せる。

でも、書道は一回こっきりのその瞬間だけ。
やり直しはできない。そんな作業なのに、
解説者がほめた人は、
軌道修正しながら作品を仕上げた。

なんか見習いたいなと思う所があったから、
覚えてたんでしょうね。

で、この『蜩の記』。

途中で、
「えっ、それはちょい違和感ある。強引…」
って思った箇所がありました。
でも、最後まで読むと、
ちゃんと収まるとこに収まってました。
書道の解説者みたいなほめ言葉が浮かんできました。



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2014年11月4日火曜日

『深夜特急〈4〉シルクロード』(沢木耕太郎)読みました。

もう20年近く前に、
外国で暮らしたことがある友だちから聞いた話です。
海外生活で、禁断症状的に求めてしまうもののこと。

何のことかって言うと、日本語の「活字」。

当時は携帯もインターネットもないから、
文章を読みたかったら印刷物に頼るしかない。
でも、
海外で日本語の文章が印刷されているものを
手に入れようと思っても、
日本にいるときのように簡単にはいかない。

だから、
滞在先でたまたま出会った日本人旅行者が
母国語の本を持っていると、
それに飛びつくように群がっちゃう。

相手の旅行者も同じように
日本語禁断症状になってるから、
互いが持っている本
(何度も読み返してすり切れた感じのヤツでも)
を交換して、両者安堵のため息をつく。
との、経験談でした。

とはいえ今は、
スマホなんて便利グッズがあるから、
そんな経験、誰もしなくなってるんだろうな。

で、この『深夜特急4 シルクロード』。

まさに、この友だちと同じ話が出てきました。
世界を旅していた40年前ほど前の若者たちが、
どこかの異国で日本語の本を交換し合っていた話。

今は電子書籍でかさばらずに何十冊も持ち運べるから、
禁断症状も起こらないと思いますけどね。
……うーん、紙の本って、いいっすね。


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