2013年1月18日金曜日

『やさしい女・白夜』(ドストエフスキー)読みました。


「いくら大巨匠とか天才とかっていわれる人でも、
 たくさん撮っていれば、
 そのうち1本くらいは駄作がまじるもんなんだよ。
 でも撮ったもの全部が大傑作なんだから」
と黒澤明さんの大ファンである友だちが言ってました。

黒澤さんの作品がすべて傑作かどうかは、
人によって判断が分かれると思いますが、
彼の言ったその前の部分
「1本くらいは駄作がまじるもの」は、
かなりうなずけます。
映画だけじゃなく、音楽でも、本でも。

この人の作品、大好き! というお気に入り作家で、
新刊が出るたびに本屋さんに駆け込んで、
期待以上の作品を堪能する日が続いても、
やっぱ裏切られるときもある。
みんなが傑作といっても、
自分には合わない作風もあったりする。

で、この『やさしい女・白夜』。

天下のドストエフスキーさん。
きっと黒澤さん大ファンの友だちと同じように
「全部が大傑作」という人も多いんでしょうね。
でも、ぼくの中ではこの作品「大傑作」には入らなかった。

あの友だちみたいに、
全部が大傑作っていう作家に出会いたいな。

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2013年1月17日木曜日

『大空のドロテⅢ』(瀬名秀明)読みました。


昔、速読のノウハウ本を読んだことがあります。
ぺらぺらとページをめくっているだけで
内容が頭に入ってくる。
そのときの目の動かし方とか、集中の仕方とか、
そんな技術が書いてあったように覚えています。

中でも印象に残っているのが、読まない決断。
目次やカバーにある概要なんかにざっと目を通して、
自分にとって「興味がわかない本、つまらないと感じた本」は、
それ以上、読み進めない。

興味がわく、面白そうと思えた本だけ読む。
それが速読技の第一段階らしいんです。
その本によると。

情報過多の社会の中で、
自分に役立つものを効率的に吸収していくには、
不要なものを「切って捨てる」姿勢が
必要なんでしょうね。

でもね。
ぼくはその「読まない決断」がまったくできないんです。
最初の数十ページを読んで、
つまらないなぁと感じてきても、ずるずると読み続けちゃう。

もったいないんですよね、せっかく手にした本だから。
お父さんやお母さん、それに先生たちから
「好き嫌いせず、残さず全部食べなさい」
って言われて育ってきたし。

で、この『大空のドロテⅢ』。

1巻目を読んだときから
「ぼくには、ちょっと合わないな」と思ってました。
でも、話が完結する3巻まで読んじゃいました。
読み終わった感じは1巻のときと同じ。
でも、でも、それでもいいんです。
「ここをこういうふうに書いてあるから、
だから合わないんだ」みたいな発見もあったんですから。

「読まない決断」を身につけるには、
まだまだ修業が必要です。

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2013年1月11日金曜日

『聖者の戦い 小説フランス革命4』(佐藤賢一)読みました。


話し上手のT君が、
飲み会の席で面白かった映画のストーリーを
みんなに聞かせていました。
ぼくもその映画を観ていたのですが、
自分的にはそんなに面白いとは思えなかった作品です。

興に乗って話すT君をながめながら、
ぼくは最初「そんなに面白くなかったけどな…」
と思っていました。

でも、黙って話を聞いているうち、
面白くなっちゃったんです、その映画。
映画そのものが面白いというより、
T君の話術がつくり出した映画が面白かった。
もとは同じなのに、なんで?

で、この『聖者の戦い フランス革命4』。

世界史好きでフランス革命のことなんか
隅から隅まで知っているって人でも、たぶん、
いや、きっと、面白いと思えちゃう本。
もしかしたら、ある程度知識がある人のほうが
面白いのかもしれません。
T君の話術みたいに、
元ネタを何倍にも面白くしてくれてます。

ちなみにぼくの世界史の知識はへなちょこです。

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2013年1月10日木曜日

『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ)読みました。


「『桐島』に映画部なんか出てきたっけ?」(かんちゃん)
「えーっ。出てこないよ。
 野球部とかバレー部とかじゃん。
 運動してて、カッコ良くて、
 ちゃらいヤツらの青春話でしょ」(ぼく)
「じゃあ映画化で相当アレンジしてるわ。
 映画部が重要な役回りだったから」(かんちゃん)

2年ほど前に、ぼくに薦められて
『桐島、部活やめるってよ』を読み、
最近映画化された同名作品を観た
会社の仲間・かんちゃんと、
やはりその頃この本を読んで
今では内容をちっとも覚えてないはずの
ぼくとの会話です。

記憶力のへなへな度には自信アリのぼくが
「出てこないよ」と断言してしまったことを
不安に思い、読み返したってわけであります。

出てきました、思いっきり。映画部。

5人の登場人物が、
それぞれの視点からお話を進めていく構成で、
そのど真ん中の3人目(プロローグ部分の1人目を除いて)が
映画部の生徒。

最後の章に出てくるその名も「菊池」くんの話が、
一番面白いって思ったけど、
それが面白く感じられるのも、
映画部の生徒が出てくるためでした。
やるじゃん、映画部!

再読でも新鮮だったこの本。
今度は映画化された作品を観よっと。

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2013年1月9日水曜日

『図南の翼 十二国記』(小野不由美)読みました。


雑誌とか本とかに載せる記事を書いていると、
いろんなジレンマがあります。
誰かに取材して、面白い話を聞いたので、
そのまま書こうとしても、
企画とまるっきり違っているからダメなんてとき。

例えば、取材対象者は奥さんなのに、
その旦那さんが人を笑かすことが大好きで、
奥さんの取材中に
伸びていた両方の鼻毛でちょうちょ結びをしたとか。

そんなおちゃめなことでなくても、
非難されるのが怖くて無難な言葉にまとめちゃったり、
時間が足りないから、掘り下げるのはやめて、
わかっている事実だけで記事にしたり、
いろいろあるんです。

でも、物語や小説なら、そんな遠慮はいらない。
鼻毛ちょう結びのキャラクターを
登場させたっていいし、
非難されそうな危険な言葉だって
セリフとして言わせちゃえばいい。
ああ、なんて自由なんでしょ。フィクションって。

でも、その世界観が読者に受け入れられないと、
単なる一人遊びになっちゃうんですけどね。

で、この『図南の翼』。

いいっす!
自由ですね。のびのびですね。
言いたいこと、どばーっと吐き出してるのに
一人遊びになってない。感服でした。


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2013年1月8日火曜日

『眩談』(京極夏彦)読みました。


この本を読んだのは2013年最初の日。
いつもなら元日は、
かみさんとぼくのそれぞれの実家に行って、
「おめでとう」とかいいながら、
子どもたちにお年玉とかあげながら、
酒飲んでぐだぐだ過ごすはずなんです。

でも、今年は本を1冊読んじゃった。
娘とぼくが感染性胃腸炎(たぶんノロウィルス)にかかり、
それをうつしてはいけないと一家4人、
外出はやめることになったからです。

昼間からだらだらとお酒を飲んでいるよりも、
煎餅をぼりぼりしながら本を読んでいるほうが
健康にはいいはずだ、なんていいながら、
いつもと違う正月を過ごしました。

毎年毎年、だんだんと正月らしさが
感じられなくなっていくなと思っていましたが、
今年は特に正月っぽくない正月でした。

で、この『眩談』。

京極さんらしい京極本。
でも、その京極っぽさが、
なんかぼくに合わなくなっているような
気がした本でした。
ぼくは京極さんの本は好きで、ほとんど読んでます。
京極っぽさが大好きだったんです。
正月っぽさも、京極っぽさも、そんでぼく自身も、
変わっていってるってことなんですかね。

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2013年1月7日月曜日

『武士道エイティーン』(誉田哲也)読みました。


この本を読み終わったのは2012年最後の日。
家族のみんなが紅白歌合戦を観ている間に読みました。

んで、
2012年の1年で108冊目に読み終わった本でもある。
108って、除夜の鐘でつく数なんですよね、たしか。
そんで、人間の煩悩の数なんですよね、108って。

2012年は、1年間かけて1冊1個の煩悩を
本を読むことで消していって、
ぜーんぶ消すことができたってわけです。

辞書で調べたら煩悩は
「身心を悩まし、苦しめ、煩わせ、けがす精神作用」
ってありました。
だから、大晦日の夜の「ゆく年くる年」が始まるころから、
カウントダウンで次の年が始まるまでの数十分だけ、
ぼくの身心は何にも悩まされず、きれーだったんです。

んで、1月1日が始まるとまた、
何冊の本を読んだか数え始めちゃうので、
108個の煩悩がまとわりついてくる。
できれば今年は108冊以上読んで、
翌年にその分を持ち越せたらいいな。

で、この『武士道エイティーン』。

煩悩を消す力は、
前作の『セブンティーン』と
前々作『シックスティーン』の2冊のほうが、
あったような気がします。
美味しいモノは最後に食べたいぼくとしては、
16か17を後回しにしたかったな。
でも、連作なので、
それじゃ意味わからなくなるし
……あーっ、また煩悩が出現してきたみたいです。

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2013年1月4日金曜日

『幕が上がる』(平田オリザ)読みました。


数年前、地方のテレビ局から、
バラエティ番組の解説者として出演しないか
という依頼を受けました。
『世界一受けたい授業』みたいな
面白おかしく雑学が覚えられる番組。

電話してきたテレビ局の人から、
「今度シェイクスピアを題材するんです。
そこで、『読んでみたいシェイクスピア』を
書かれたきくちさんに、ぜひスタジオに来て、
うんちくをたれて欲しい」って感じのことを
言われたんです。

確かにぼくはシェイクスピアの本を
つくったことはあります。
でもシェイクスピアの専門家じゃありません。
本をつくる専門家だったらまだしも、
シェイクスピアに関しては、
一冊の本をつくるために
たくさん資料を集めてうんうんうなりながら勉強して、
やっとこさでつくったんです。
(自分で言うのもなんですが、苦労しただけあって、
当時は評判良かったんですよ、その本)。

なので、テレビ局の人には正直に伝えました。
「ぼくはシェイクスピア専門家じゃありません。
それを承知の上で、
それでよければ出演してもいいですよ」。

そう言われたら、テレビ局の人も、
あいつじゃやっぱ荷が重すぎるなと判断しますよね。
結局は
「シェイクスピアに詳しい方が見つかりましたので
今回はお騒がせしました」ってことになりました。

で、この『幕が上がる』。

良かった! 面白かった!
読み終わった本は、
ところどころ紙がふにゃふにゃになってます。
だって読んでると、
気がつかないうちに涙が垂れちゃってるんですから。

あっ、この感想文の前半は気にしないでください。
解説者としての荷が重すぎたぼくの代わりに、
らくらくとその仕事をこなしたのが、
この本の著者でもある平田オリザさんだった、
ってだけのお話でした、じゃんじゃん。

それにしても、『幕が上がる』いい本でした。
これは、みんなにオススメできちゃいます。


幕が上がる
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2012年12月27日木曜日

『かもめ高校バドミントン部の混乱』(朽葉屋周太郎)読みました。


ぼくは中学・高校の部活で
バドミントンをやっていました。

入部してきたばかりの後輩に、
何も教えずにシャトルを打たせると、
たいていはコートの端から端まで高く飛ばす
基本の球種「クリア」ができません。

ほとんどは空振りで、
ラケットに球が当たっても、
相手コートの後ろまでは届かず、
せいぜいネットをぎりぎり越えるくらい。
そういう球は「浅い」と言って、
もっと「深く」打てるように、練習していくわけです。

深い球を打てるようにするには、
腕全体の振り方から、肩やヒジの使い方、
手首の入れ方、上半身と下半身の曲げ方、
フットワークなどを身体に覚え込ませて、
シャトルがラケットにバシッとあたる感覚を
身につける必要があります。

で、この『かもめ高校バドミントン部の混乱』。

申し訳ないんですが、「浅い」って感じちゃいました。
せめて主人公だけでも、
バドミントンに関するあれやこれやだけじゃなく、
家庭のこととか、部活以外の悩みとか、
もろもろ教えて欲しかった。
ぼくにとっては、そんな周辺情報が、
腕の振り方とか肩やヒジの使い方なんかと同じなんです。
それがわからないと、
「深くない」って感じちゃうんですよね。困ったことに。

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2012年12月26日水曜日

『大空のドロテ2』(瀬名秀明)読みました。


年齢とともに食べ物の好みは変わるといわれますが、
音楽の好みも変わっていくようです。

ぼくは、学生のとき、ユーミンさんの曲の良さが、
まったくわかりませんでした。
なぜみんなが、
あんなにイイと言うのかわからなかった。

歌詞の内容を理解する気にもなれずに、
曲調とか声の出し具合とかの
耳に入ってくる最初の印象だけで、
「これって、あまり好きじゃない」と思っていました。

でも、あれだけ売れている人だから、
自分から聴こうと思わなくても、
どっかから流れてくる。
名前を連呼する選挙の宣伝カー同様、
こばむのも面倒なので、
流入してくるままにしていたら、
いつの間にか
「そんなに悪くない」と思うようになってる。
すると歌詞も理解するようになっていき、
「あれ、イイかも」に変わっている。
慣らされるって、まぁそんなに悪くないですね。

で、この『大空のドロテⅡ』。

物語はまだ続くんですが、
この2巻を読み終わったとき、
ユーミンさんの曲のような印象を受けました。
大人になってからではなく
学生時代に聴いたときの印象。
続きの3巻を読んだら、慣らされてくるかな……。
慣らされたいな。

大空のドロテII
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瀬名 秀明
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2012年12月25日火曜日

『ならずものがやってくる』(ジェニファー・イーガン)読みました。


多数決に頼らない民主主義がいいとか、
お金じゃなく物事の本当の価値が表せるもので
経済は動いていくべきだとか、
要するに「今の世の中をつくっているものは、
根本的に間違っている」
と少し前までのぼくは考えていました。

でも、
間違いはこういうふうに変えようって対案は
まったく思い浮かばず、
ただもやもやしていただけ。

そのもやもやを向ける先が、
少し方向転換したのは、
親父が亡くなってからでした。

ぼくだって、親を亡くすってのは、結構きつくって、
「こんなきつい思いさせるなら、
いっそ感情なんてものは最初からないほうがましだ。
何も考えられない(と思われる)昆虫とか動物とかの
ほうがいいじゃねーか。
誰だ! うれしいとか、悲しいとか、こらーッとか、
そんな気持ちが出てくるように仕組んだヤツは!
そもそも親がいなくなって悲しいと思うの
わかってるんだったら、
なんで生きて死ぬって流れになってんだよ、
死ぬっちゅうシステムがおかしいだろ、
なんか間違ってんじゃないの?
誰だ仕組んだヤツ!」
なんて考えたんです。

もちろん、誰も仕組んではいないですよね。
人であれば、好きだろうが嫌いだろうが、
感情もあり、生きて死ぬって仕組みの中に
いなきゃいけない。
そこで頭の弱いぼくも、なんとなくわかったんです。

「そうか、もともとが間違っているんだ。
間違っている仕組みの中に
いなきゃいけない人たちがつくる世の中なんだから、
どうあがいても完璧にはならないのか。
だから政治とか経済とかっていっても、
どっかずれてるもんしかできないんだ」って。

そんでさらに、
間違っているシステムにいないと、
面白い物語はできないだろうな、とも。

で、この『ならずものがやってくる』。

この本の中では「時間」のことを
「ならずもの」といっています。
んで「時間の流れ」ってシステムも、
ぼくが間違っていると感じちゃう仕組みの中に含まれます。
そんでそんで、完璧にはならないかもしれなけど、
そんなものには、あがいて逆らいたいんです。
時間のヤローッ! たたき斬ったるッ!!

ちなみに今年読んだ中で、一番よかった本。
でも、ほかの人が読んで
同じように思うかは自信がないので、オススメはしません。

せんないとわかっていても、逆らう人たち好きです。

ならずものがやってくる
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ジェニファー・イーガン
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2012年12月17日月曜日

『バスティーユの陥落 小説フランス革命3』(佐藤賢一)


かのベストセラー作家スティーブン・キングさんが、
印刷前の校正紙(ゲラ)について、
「ゲラでは修正を入れるけれど、
修正でいいものに仕上げようと思っても、
最初に書いた原稿にかなうはずはない」
みたいなこと言ってました。たしか。

だだだーッと書いた最初の原稿が
一番勢いがあり、力もある。
それができたあとで、
いくら手を加えようと思っても、
生み出したときの力には負けちゃうって意味です。

なにかに憑かれたように書き進めた物語は、
あとから面白くしようと小手先の修正を加えても、
たいした効果はない。

このシーンとあのシーンを入れ換えれば、
読者はもっと驚くかなとか、
ここに象徴的な背景描写を入れちゃおうかなとか、
そんな打算は、ないほうがいいってことなんでしょうね。

で、この『バスティーユの陥落 小説フランス革命3』。

相変わらず、面白かったです。
この3巻目で、ぼくがとくに面白いと思ったのは
打算なんかなにもなく、
勢いだけで革命を進めちゃうおばさんたち。
そこが面白いと感じさせるように
物語をつなげてくれた作者に感謝です!

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2012年12月14日金曜日

『大空のドロテ1』(瀬名秀明)読みました。


昔、友だちがつくる映画の助監督をやっていたとき、
「お前の撮る映画は、どの場面も、
どっかで観たことあるような感じするな」
と言ったことがあります。

すると、監督である友だちは
「そうだよ、パクってんだもん。
でも、単純にパクってるんじゃない。
いいなって思った映画を飲み込んで消化して、
俺の形にして、俺の映画にはめ込んで撮ってる。
ってことはパクりじゃないのか。
だから、観たことある気がしても、観たことはない。
オリジナルだよ、オリジナル!」と言いました。

なんか、煙に巻かれたような。
ごまかされたような──とはいえ、言うことはわかります。
真似から始まるんですよね、何事も。

で、この『大空のドロテ1』。

どっかで観たことあるような場面が満載です。
読んでいる最中、
とくにぼくの頭に浮かんできたのは、
宮崎駿作品のアニメに出てくる
あのシーンやこのシーン。

もちろん、この本はパクってなんかいないし、
ぼくの貧困な連想力が
余計なイメージを浮かべちゃっただけだろうけど、
続きの第2巻(第3巻まであるらしい)では、
もうちょい既視感なしで、
ワクワクしたいな(2巻購入済み)。


大空のドロテI
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瀬名 秀明
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2012年12月6日木曜日

『あなたの人生の物語』(テッド・チャン)読みました。


もしかしたら前にも書いたかもしれないけど、
ぼくが金賞をもらったときのお話。

小学校の写生大会で、
人生唯一ともいえる金賞を
もらったことがあるんです。

ぼくは、中高生時代の部活で出た
小さな大会(3,4回勝てば優勝するような)を除けば、
賞と呼ばれる晴れやかなものには、
ほとんど縁がありません。
だから、金賞は、すごく嬉しいはずなんです。
はずなんですが……。

その金賞の絵。
自分でも何が描いてあるのかわからないんです。

写生大会の大半の時間を
友だちとふざけあっていたぼくは、
終了間際になっても3分の1ほどしか
画用紙を埋めていませんでした。

そこで、
切羽詰まったぼくは、
その画用紙を水道の蛇口の下に持っていき、
紙の上にちょろちょろと水を流したんです。

3分の1だけだった水彩絵の具は水に溶け、
画用紙全体に広がります。
そうやって余白をつぶしていったら、できあがり。
ボケ足がついたパステル調の、
何を描いたのかわからない抽象画が仕上がったんです。

そんな絵が金賞をもらっちゃった。
世の中を甘く見はじめるようになったのは、
このときからかもしれません。

で、この『あなたの人生の物語』。

短編集。解説には、どの短編も
いろんな種類の賞をたくさんもらった優れモノ
ってなことが書いてありました。
で、それを読んだとき、
ぼくの人生唯一の金賞のこと思い出しちゃったんです。
いろんな見方があるんです、
人はみんな違う脳みそを持ってるんだから。

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2012年12月3日月曜日

『元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち』(吉田たかよし)読みました。


おそれながら著名人や識者って呼ばれる先生がたと
一緒に本づくりの仕事をさせてもらうことがあります。

そのとき驚かされるのは、
有名な先生ほど勤勉だってこと。
今の地位とか、
それまで頭の中に詰め込んできた知識とかに
甘んじていない。

っていうか、
そうやって一生懸命やり続けているから、
世間から認められるんだろうな。

ぼくなど足もとにも及ばないほど
大量の本を読んでいたり、
寸暇を惜しんで論文を書き進めたり……
とにかく、すごいんです先生たちって。

混雑している電車で座れないときでも、
ノートパソコンを広げて原稿を書くって先生もいました。
車両の端の座席がないスペースに陣取るのがコツだとか。
窓の下についている手すりに
ノートパソコンのはしっこを置いて、
車両の壁と自分のお腹で挟んで支えながら
パチパチとキーボードを叩くんだそうです。

で、この『元素周期表で世界はすべて読み解ける』。

著者は、
ぼくに「混雑している電車の中で原稿を書くコツ」を
教えてくださった吉田たかよし先生。
その知識量、あらためて感服しました。

元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)
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