これまで読んできた小説では、
登場人物の名前は、なんらかの前振りが
あってから明かされるものでした。
「吾輩は感想文吾である」
という書き出しの物語であっても、
それ自体が前振りというか説明になっているから、
読解力がポンコツなぼくでも
すんなり理解して次の文に目を移せる。
初登場の人が、しばらくは「妖しげな美女」とか
「彼女」とかと記されていても、誰かがセリフの中で
「牡丹野花子さん」と呼びかけたあとは、
もう名前はわかったでしょ、
じゃあ次からはそれでいくね、とばかりに
「牡丹野はレースのハンカチで口元を隠した」
みたいに進んでいく。
そういう暗黙のルールに従わないのって、
これまで読んだ本の中になかったような気がします。
浦島太郎の視点で、
悪ガキたちがカメに意地悪している描写があり、
「私はいたたまれなくなり、やめなさいと叫びながら、
砂浜に駆け降りて行った。子供たちは一斉に逃げ去った。
その様子を為次郎が木陰から見ていたかどうかはわからない。
私はカメを抱き上げ、海に戻してあげた」
の中の為次郎がそれまでのストーリーの中に1度も出てなくて
「えっ、誰よ為次郎って」みたいな。
で、この『フェアリー・テイル(下)』。
あのとき出てきたキャラは、たぶん初登場でいきなり名前
だったような気がするんだけど、
自信がないので再読して確認したいんだけど、
ちと長いんだよな、この6割くらいがぼくには適量でした。