中学生のときでした。
「今年一番良かった映画は?」と聞かれ、
答えたのは『幸福の黄色いハンカチ』。
山田洋次監督のあの作品です。
それからだいぶたって、
自分でも自主映画なんかをつくるようになってから、
その山田組の現場で守られていたルールを知りました。
タイトルにもある「黄色いハンカチ」が、
観客に最も印象に残るよう、黄色い色彩のモノは、
ハンカチ以外一切画面に映り込まないように
してたという話。撮影隊全員が注意してたらしいです。
たぶん、満開の菜の花畑なんかはロケハンのときに
真っ先に却下されていただろうし(もちろんヒマワリも)
道端にたんぽぽなんかが咲いていたら、
助監督さんが慌てふためいて抜き去ったに違いない。
広角で街の情景の撮影後、現像したラッシュに、
たまたま小学生が交通安全の黄色い帽子をかぶり
登校している後ろ姿が映っているとわかってしまったら、
そのカットは撮影し直すか、本編には使用しないか、
よくは知らんけどオプチカルとかいう処理で色を変えちゃうか、
したんだと思います(知らんけど)。
同じ種類のモノを徹底的に作品の中から排除して、
「これだ!」という見せたい1品だけを浮かび上がらせる。
ふーん。ものづくりってのは、
いろいろ大変だなあと感じたのでした。
で、この『狂った宴』。
主人公が「思い通りにならない事柄」って、
1つしかなかったなと、読み終えて感じました。
それ以外はほぼ順風満帆の思い通りなので、
「NOT思い通り事柄」は、くっきり浮かび上がってる、
と思ったのでした。