2015年10月23日金曜日

『地の果ての獄(上)』(山田風太郎)読みました。

当たり前なんですが、
人を殺してはいけません。
同意なしに異性に対して
いかがわしいことをしてもいけません。

自分でやらなくても、
誰かに指示してやらせてもダメ。

それでもやっちゃったら、
罪に問われ、
罰を受けなくてはいけない決まりです。

なんだけども、
作家は、つくる作品の中で、
登場人物に殺人をさせたり、
女性を襲わせたり、
もうあんなことやそんなことを、
ルール無用で勝手気ままにやらせ、
暴れ回らせられます。

もちろん、フィクションなんだから、
どんなに極道をさせても、
作者が罪に問われることはありません。

だけど、どうなんでしょう。
そんなにハチャメチャにやっちゃうのって。
だからこそ、面白いって言えるんだけども、
やっぱ、どうなんでしょう。

……なんてことを
悩まずに考えずに筆を進められる人が、
世に認められる作品を
生み出せるんでしょうね。

で、この『地の果ての獄(上)』。

山田風太郎さんの作品は、
いま言ったようなハチャメチャばかり
だってことは、これまで何冊か読んで
覚悟していたつもりだったんです。

でもね。
「えぇーっ!
 もういいんじゃないの、それくらいで」
と読書中に何度思ったことか。



地の果ての獄 上 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-03-25)
売り上げランキング: 523,206




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月21日水曜日

『本にだって雄と雌があります』(小田雅久仁)読みました。

メールの文面などで
「よろしくお願いします」と書いて、
自分で読み直したとき、

「いや、ちょっと待てよ、
 それだけだと、なんとなく
 押しつけがましいから、
 もうちょっと何か付け足さないとなあ」

と思い、
「よろしくお願い致します」にしてみて、
もう一度読み直し、

「いやいや、語尾を変えただけじゃん、
 それだけじゃないだろう」

と自分に突っ込んで、
「勝手を言いますが、よろしくお願い致します」
にしてみる。

それでも相手の身分を考えると、
もうちょい欲しい気がして、

「勝手を言って恐縮ですが、
 よろしくお願い致します」にする。

そうなると、
「もう一声!」という声援が
自分の中に聞こえてくるので、

「勝手を申し上げまして
 恐縮ではございますが、
 何卒よろしくお願い申し上げます」

になって、
「申し上げます」が「かぶってるやろ!」
ってことで、

「勝手なご依頼、
 誠に恐縮とは存じますが、
 何卒よろしくお願い申し上げます」
になる。

ケースバイケースではあるんですが、
こうなるともう、
どこらへんが丁度良いあんばいなのか
わからんようになるんです。

で、この『本にだって雄と雌があります』。

ぼくの好きな作家・森見登美彦さんが
帯に推薦文を寄せているだけありました。
おもろかったです。

ただ、
どの辺がちょうどいいあんばいなのか、
わからなくなってくるのが難点でした。



本にだって雄と雌があります (新潮文庫)
小田 雅久仁
新潮社 (2015-08-28)
売り上げランキング: 30,329




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月19日月曜日

『かたづの!』(中島京子)読みました。

少し前に読んだ
『風の払暁 満州国演義一』の
解説で馳星周さんが
こんなことを言っていました。

作家同士の頼み事についてです。
文芸雑誌に作品掲載を依頼された作家が、
どうしても原稿が締切に間に合わないとき、
知り合いの作家に
穴を埋めてもらうようお願いする。

馳さんは、
それを船戸さんに頼まれたそうです。

もうじき終わるはずだった連載作品を、
半年だったか1年だったか、
話を引き伸ばして、続けて欲しいって。

それを承諾したのかしなかったのか、
はっきり書かれていなかったような
気がするんですが、
とにかく、作家さん同士には、
そんな頼まれごとが、よく舞い込み、
互いに融通し合っているらしいです。

そういえば『バッテリー』なんかを書いた
あさのあつこさんも、
何年か作家を続けていれば、
引き伸ばしたり縮めたり、
依頼の原稿枚数に合わせて書くのは
簡単にできるようになる、
みたいなことを言っていたような…。

で、この『かたづの!』。
 
好みからすると、
最後の50〜100ページぶんは
ないほうが良かったです。
そこまでの雰囲気はとても好きでした。
伸ばすよう頼まれたのとは、違うだろうけど。


かたづの!
かたづの!
posted with amazlet at 15.10.19
中島 京子
集英社
売り上げランキング: 60,227


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月15日木曜日

『鬼平犯科帳〈11〉』(池波正太郎)読みました。

パソコンの辞書をみたら
ことわざの「転石苔を生ぜず」に
2つの意味がのっていました。

(1)活発な活動を続けている者は、
   いつまでも古くならないことのたとえ。

(2) 一か所に落ちつかない者は
    大成しないことのたとえ。

(1)は良い事(2)は悪い事、
ってイメージになってる。

ぼくは長いこと(2)の意味しか知らず、
しかもそれに反発して、

「転がらないでじっと我慢して
 同じ事を続けなきゃ、
 生えてこないようなコケなら、
 そのなものいらない!」

なんて、
青臭いガキの戯れ言をほざいてました。

でも、
(1)はその戯れ言を肯定して
「転がれ! 同じ場所にいるな。同じ事繰り返すな」
って言ってる。

「へぇ〜、
 ぼくが思っていたような意味もあるんじゃん」

と辞書を見ながら
ふむふむしていたんですが、
しばらくすると、
へそ曲がりなぼくは、
またまた反抗したくなって、

「やっぱ継続は力なりでしょ。
 同じ事を続けるのも、やりがいあるんだから。
 そうして生えてきたコケには価値があるよ」

なんてぼやいてる。
ホントへそ曲がりです。

で、この『鬼平犯科帳(11)』。

11巻も続けているのに(まだ続きはあるけど)、
ますます面白くなってます。
どうやら「転石〜」の
(1)の意味が当てはまる。

このコケには価値がありまっせ。



鬼平犯科帳〈11〉 (文春文庫)
池波 正太郎
文藝春秋
売り上げランキング: 89,717




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月13日火曜日

『一路(下)』(浅田次郎)読みました。

仕事で本を一冊つくり終え、
その打ち上げの席で、
出版社のお偉いさんを前に
白状したことがあります。

「申し訳ありません。
 楽しみながらつくっちゃいました」

つくっていたのは
娯楽系の読み物ではなく、
かたく真面目なビジネス系の本です。

本来なら難解な内容を、
冷や汗かきながら理解しつつ、
産みの苦しみを痛感しまくって
完成させるものだと思っていました。

それをこともあろうに、
「恥ずかしい失敗談入れちゃおうかな」とか、
「図式の中に、
 お茶目なイラスト描いちゃえ」とかしながら、

にやにやでキーボードを
ぺこぺこ打っていたんです。

制作中はどっかから
「お前、そりゃあ不謹慎だろ」という声が、
ちらほらと頭の中に聞こえていました。

だから、
お酒の入った席でお偉いさんに懺悔して、
せめてもの罪滅ぼしをしようと思ったんです。

ところがどっこい、そのお偉いさんは

「そうか!どうもありがとう!
 楽しんでつくってくれて!
 そうじゃなきゃ売れる本はつくれないからな」

と満面の笑みを向けてくれたんです。
そうか、それでいいんだ。

で、この『一路(下)』。

きっと楽しみながら書いたんだろうな…。



一路(下) (中公文庫)
一路(下) (中公文庫)
posted with amazlet at 15.10.13
浅田 次郎
中央公論新社 (2015-04-23)
売り上げランキング: 959




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月9日金曜日

『事変の夜 満州国演義二』(船戸与一)読みました。

あそこら辺は再開発が進んだから、
もうないだろうな、
あのうらぶれた定食屋さん。

友だちのアパート近くにあって、
彼の所に遊びに行くときは、
ぼくはいつも、
その店でカレーライスを食べてました。

もう20年以上前のことです。

取り立てて美味しいワケではないんですが、
値段やメニューからすると、
無難に食べられるのがそれしなかったんです。

店の人と親しく話したことはないのですが、
何回か行くうちに、顔を覚えられたらしく
「いらっしゃい、毎度」
くらいは言われるようになっていました。

そうなってから、
3回に1回ほどの割合で、
カレーがちょっと違って感じてきたんです。

ライスは同じなのにカレーの量だけ多くなる。

どうやらお馴染みさん向けの
暗黙サービスみたいです。

でもね。
ぼく的には、そのバランスが、
正直言って口に合わなかった。

いつものライスとカレーの割合なら、
ほどよい加減で、ぱくぱく食べられた。
でも暗黙サービス時には、
カレーが勝ちすぎて途中から飽きちゃうんです。

それでも、いつもと変わらない顔して
完食してましたけどね。
やっぱ、バランスって大切です。

で、この『事変の夜 満州国演義二』。

解説に「歴史と創作のバランス」
みたいなことが書かれていました。

ぼくの印象からすると、今回はそれが半々の割合。
好みとしては、
創作7で歴史3くらいが好きなんです。ホントはね。

ちなみに、通常カレーは半々の割合、
暗黙サービス時は、カレーが約2割増でした。



事変の夜: 満州国演義二 (新潮文庫)
船戸 与一
新潮社 (2015-08-28)
売り上げランキング: 7,410



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月7日水曜日

『鬼平犯科帳〈10〉』(池波正太郎)読みました。

少し前まで、
高校時代の部活動での
出来事をつづったブログを
やっていました。

(過去形にしてるけど、
 気が向いたら
 再開するかもしれません)

後輩に「書いてくださいよ」と
頼まれたのがきっかけで
始めたんですが、
やっているうちに
収拾がつかなくなり、
週1回の更新を
5、6年続けてたんです。

毎回の投稿は1話完結ではなく、
数回もしくは数十回だらだらと
お話が続く形式。

ブログのトップ画面には
最新の投稿が掲載されるから、
初めて読む人には
「これまでのあらすじ」が見えず、
何のことだか、わからなかったと思います。

まあ、そんなこともあろうかと思って、
ちょこちょこと
「前回まではこんなでした」的な
説明を入れてたんです。

そのとき思ったのが、
「これって、
 通しで読んでいる人には不要だよな」。

入れないと初めての人が戸惑って
そのまま素通りされちゃうかもしれないし、
入れると前から読んでる人には邪魔だし、
……どっちにすればいいだろう。

なんてことを考えながら、
はっきりした答えが見つからず
そのときの気分で
書いたり省略したりしてました。

で、この『鬼平犯科帳〈10〉』。

さりげなく、適切な場所に
「これまでのお話」
入れ込まれてました。
なんだ、こうやれば良かったんだ。




鬼平犯科帳〈10〉 (文春文庫)
池波 正太郎
文藝春秋
売り上げランキング: 151,073





**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月5日月曜日

『一路(上)』(浅田次郎)読みました。

長年磨きをかけた職人技って
生半可じゃないですよね。

テレビのドキュメンタリーなんかに
出てくる職人さんたちは、
コンマ何ミリって単位のでこぼこを
削り取って鉄板を平らにしたり、
氷で生きてるみたいな白鳥をつくったり、
でっかいクレーン車を操って
自由自在にピンポイントで
滑車の先端を移動させたり。

身体にしみ込んでいるんでしょうね。
その仕事が極上の仕上がりになる
コツみたいなもの。

で、この『一路(上)』。

気になっていたんですが、
なぜかこれまで手を出さなかった
浅田次郎さんの作品。

まだ上巻ですが、
5箇所ほどで泣きました。

浅田さんってきっと
泣きツボを体得しちゃってる職人です。
下巻読み終わったら、
他の作品も、読もっと。


一路(上) (中公文庫)
一路(上) (中公文庫)
posted with amazlet at 15.10.05
浅田 次郎
中央公論新社 (2015-04-23)
売り上げランキング: 1,411




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年10月2日金曜日

『風の払暁 満州国演義一』(船戸与一)読みました。

最初に読んだものが面白くて、
同じ作家さんの作品を
たて続けに読んでいくこと、
よくあります。

(最初の一冊がそれほどでもなくて、
 そのまま忘れていっちゃうほうが、
 数としては多いんですけどね……)

でも、最初に読んだ本が面白すぎて、
というか刺激が強すぎて、
次の作品が手にしづらくなることも、
ごくごくまれにあります。

パッと思いつくのは、佐藤泰志さん。
『大きなハードルと小さなハードル』
って作品を確か20年くらい前に読んで、
脳天がつんとやられた気がして、

次を読もうと思ったんだけど、
本屋さんの棚で佐藤作品に手をかけるたびに
「いや、もう少したってからにしよう」と、
しおしおと、ほかの作家さんをお買い上げ。

今ではもう
『大きなハードル〜』の内容も忘れちゃいました。
(ということはそろそろ次読んでもいいのかも)

で、この『風の払暁 満州国演義一』。

実は船戸与一さんも、
最初の出会いが強烈ですぎて
次に手が出せない作家さんだったんです。
そんで今、10年程かかって、
やっと『砂のクロニクル』の呪縛が解けました。

踏ん切りをつけた甲斐ありです!



風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)
船戸 与一
新潮社 (2015-07-29)
売り上げランキング: 6,525



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月30日水曜日

『ソウルアイランド』(中越信輔)読みました。

たしか今年のはじめ、
母校の映画学校で
担任だった(30年程前のことですが…)
武重邦夫先生から電話がありました。

思えばあれが、
生前の武重先生とお話した最後でした。

用件は「本を印刷してくれ」でした。

先生は、何か勘違いされていたようで、
ぼくが印刷屋を兼ねた出版社を
やってると思っていたみたいです。

(ぼくの会社の仕事内容は、出版社などからの依頼で、
 原稿を書いたりレイアウトをしたりといった
 印刷する前のデータをつくることです)

ぼくは自分の仕事の内容を説明しました。
先生は、それじゃ仕方ないと、
すぐ納得してくれました。

でも、話はそれだけじゃ終わりません。
だって武重先生ですから。

若手の映像作家の作品を、日本とアジアで
100本つくるプロジェクトが進行中だとか、
タイで仕事をしているぼくの同級生と組んで、
最近つくった作品の上映を進めるとか、

自分が今進めているあれやこれやを、
楽しそうに、目をキラキラさせながら
(電話なので見えなかったけど、
 電話口から光線がこぼれていました)
とうとうと、話してくれたんです。

70歳を過ぎて、
がんも患っている人の口調ではありません。
あれは、ぼくらが映画学校で、
青臭い議論を交わしていた頃の声の響きと同じでした。

で、この『ソウルアイランド』。

どうやら、あの電話は、
この本の印刷に関してだったようです。
完成おめでとうございます! 合掌



ソウルアイランド
ソウルアイランド
posted with amazlet at 15.09.30
中越 信輔
シネマネストJAPAN (2015-06-30)
売り上げランキング: 1,225,399



**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月28日月曜日

『妖説太閤記(下)』(山田風太郎)読みました。

この前の『鬼平犯科帳9』の
感想で書いた「上司」は、
かなりの太っ腹で、清濁併せのむというか、
世間の常識からすれば、
「それって詐欺じゃない?」
と言われかねないようなことでも、
「大丈夫、大丈夫」と、
平気でやっちゃうような人でした。

その「上司」が、しみじみと
こんなセリフを言ったのを覚えています。

「ワルになりきれないのが、
 おれの悪いところだ。
 ここってトコでブレーキがかかる」

この上司、ぼくからみれば十分にワルでした。
それでも、究極のワルにはなれないという。

きっと、彼の友だちや知人に、
上には上のワルがいたんでしょうね。

それこそ、ぼくなんかは
テレビや映画なんかでしか見たことのない、
人を殺して眉一つ動かさない冷血漢とか、
強姦なんか朝飯前みたいな
畜生もどきのような人種を
たくさん知っていて、
そんな連中と自分を
比べていたのかもしれません。

本当はそんな人種にならなくて
よかったと思っているのに、
どこかで憧れていたりする。
だから「おれの悪いところ」
なんて表現を使う。

で、この『妖説太閤記(下)』。

山田風太郎さんの描く豊臣秀吉は、
この上司がどこか憧れているような人でした。
そんなワルを、
これでもかってくらいに書ける山田さんって凄っ。


妖説太閤記 下  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-01-25)
売り上げランキング: 383,245




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月24日木曜日

『鬼平犯科帳(9)』(池波正太郎)読みました。

昔、工場まわりの営業マンを
していたことがありました。
売っていたのは、結構大きな機械設備。

大変だったのはその搬入時です。

重機が入らないような小さな工場だと、
脇の公道にクレーン車を横づけにして、
塀ごし屋根ごしにつり上げて、
機械を敷地内におろすんです。

そんな搬入作業をしていたときのことでした。

公道に止めたクレーンが邪魔だと
クレームが入ったんです。

苦情対応をするのは営業担当の役目。
つまり、ぼくです。

どうしよう、やだな、平謝りするしかないな。
だって本当なら、
警察から道路の使用許可をもらわないとダメなのに、
申請すらしていないし。

経費削減とかいって、
上司からは交通整理の警備員は使わず
ちゃっちゃとすませろっていわれて、
その通りしちゃってるし。

なんてことを思いながら、
クレーム主のところに行くと、

ダボダボズボンの鳶服を着た
威勢の良い江戸っ子職人という感じの
親方と若い衆の2人組。

おずおずと出てきた
よれよれネクタイのぼくを見つけるやいなや
「兄ちゃんが、しきってんのかい!」と、
ドスのきいた声を張り上げたんです。

ぼくがビクッとしたそのとき、

後ろから「いや〜すまんね〜」
と声がかかりました。

なんと、
あの警備員不要と命じた上司です。

上司は、
てやんでぇ調の2人に笑顔で話しかけて、
即座になだめると、

「きくち、あとよろしくな」と言って、

そのまま、2人を連れて、
近くにあったピンク街のほう行っちゃったんです。
あの上司、カッコ良かったなぁ。

で、この『鬼平犯科帳9』。

鬼平を読んでいると、物語のあちこちで、
あの上司の顔が浮かんできます。



鬼平犯科帳〈9〉 (文春文庫)
池波 正太郎
文藝春秋
売り上げランキング: 183,515


**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月18日金曜日

『心臓の力 休めない臓器はなぜ「それ」を宿したのか』(柿沼由彦)読みました。

ぼくもときどきこのブログでは
「ご存じの人もいるでしょうが」など
読んでくれる人に呼び掛けるような
物言いをすることがあります。

でも、仕事でやっている
不特定多数の読者に向けた文章では、
覚えている限り、
そうした呼び掛け文句は使っていません。

間違いだとか、ふさわしくないとか、
そんな正当な理由があるわけじゃなく、
単に好きじゃないって理由です。

今、はまって読んでいる『鬼平犯科帳』にも、
「あの事件を覚えている読者もおられよう」なんて
作者・池波正太郎さんの但し書きみたいな言葉が
地の文にまぎれ混んでいたりするし、

山田風太郎さんの作品にも、
そうした文言はあちこちに出てきます。

でも、そんな呼び掛け言葉が出てくると、
なぜかしらソワソワしてモゾモゾして、
落ち着いていられなくなっちゃうんです。

学校で一生懸命に授業の内容に集中していたとき、
いきなり先生に「きくち答えてみろ」と
指されたような感じ。

なので、
ぼくが仕事で書く文章にはなるべく、
ドギマギさせるような言葉は入れたくないって
思っているんです。

で、この『心臓の力』。

感覚としては5ページに1回、
ドギマギしました。

そわそわモゾモゾさえ我慢すれば、
興味深い内容なんですけどね。





**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月16日水曜日

『妖説太閤記(上)』(山田風太郎)読みました。

子ども向けの読み物や、
おかたいお役所的な情報誌、
女性向け雑誌に、
技術者に読んでもらうための
仕様書みたいな印刷物……
スケジュールと条件さえあえば、
どんな作文でも、
「はい!やります!」
って言ってきたんです、ぼく。

それがライターっていう職業なので
不満はないし、というか楽しい。

文章は、その都度、
それぞれの媒体に合わせて変えていくけど、
それも部品をくっつけながら
つくっていくプラモデルみたいで、
鼻歌かましながら、
キーボード叩いていたりします。

上の文章、もし子ども向けだったら……
「作文のときは、どんな人が読むのか、
 考えながら書いていくんだ。
 この言葉を使えばわかりやすいかな、とか。
 こんな言い方すれば、
 面白がってくれるかな、とか。
 そんなふうに書いていくのって楽しいよ」

おかたくしなきゃの媒体なら……
「文章は、媒体の特性を考慮し、
 適切に表現していきます。
 ターゲットにする読者層の
 知的レベルに応じて使用する言葉を選択し、
 語順にも配慮する。
 その作業は容易ではありませんが、
 やりがいを感じます」 って感じ。

で、この『妖説太閤記(上)』。

これまで読んできた、主に忍法モノの
風太郎作品と違いました。
なんだか文体まで違ってる気がします。
違う読者層を狙ったのかなぁ。
まあ、これはこれで嫌いじゃありません。
でも、忍法モノのハチャメチャさのほうが、
好きではありますけど。



妖説太閤記 上  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-01-25)
売り上げランキング: 312,483




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************

2015年9月14日月曜日

『鬼平犯科帳〈8〉』(池波正太郎)読みました。

会社からの帰宅の途には
バスを利用しています。
その車中は本読みの時間。

路線は、池袋から高島平のほうへ
向かうルートです。

ぼくが乗っているのは、
主に中山道を通る区間で、
会社のある要町から乗り、
いくつかの停留所を超えて、
板橋区役所を過ぎると、
次は「仲宿(なかじゅく)」
というバス停になります。

仲宿近辺の中山道は、
上に首都高が走っていて、
片道3車線か4車線ほどもあり、
広くて交通量も多い道です。

仲宿からもう少し先にいくと、
中山道は環七とぶつかる大和町
という交差点になり、
ここはちょい昔、
排気ガスの濃度が
日本で一番高い場所だったそうです。
(今は改善されてるみたい)

こんなとこにゃ、昔ながらの環境は、
かけらも残っていないぞ!
歴史を感じさせる街には、ほど遠い!
と思いきや、
やってくれましたよ、仲宿が。

なんと、この『鬼平犯科帳〈8〉』に
登場してるんです。

もちろん、物語の舞台は、
鬼平こと長谷川平蔵が活躍する江戸時代です。

その鬼平が、
今の文京区本郷あたりから、
盗賊を追いかけて、板橋方面にやってくる。
んで、「えいやーとうー!」の立ち回りを
仲宿でやってくれるんですね。
ちゃんと「仲宿」って文字が
印刷されてるんですから。

「次は仲宿、仲宿。
 お降りの方はブザーでお知らせください」

のアナウンスが流れたその瞬間、
『鬼平8』の文庫本のページを追う
ぼくの視線は、「仲宿」の文字の上を
ちょうど通過したところだったんです。



鬼平犯科帳〈8〉 (文春文庫)
池波 正太郎
文藝春秋
売り上げランキング: 61,036




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************