前回からの続き。
念波の来るカゴ棚の向こうに
誰かいるのはわかってました。
ちょっと前に、若いなよなよ系の青年が
湯から上がってきたのは目の端に映ってたんです。
なので、とりあえず浴衣は合わせずに、
だらんとさせたまま、棚の横から顔を出して
そっちのほうを確認してみたんです。
すると、なよなよ青年が、
泣き出しそうな顔をしながら
腕を通しただけの浴衣で
左右の身ごろをつかんでパタパタさせながら、
ウロウロきょろきょろ。
一種のパニック状態でした。
声には出さずとも「どっちが前だー」と心の中で叫んでる。
その心中の叫びが、ぼくにゴゴーって感じの騒音として
耳じゃなく体で聞こえたんだと思います。
で、この『最後の一色(下)』。
上巻にはもっと、超人的な要素があったけど、
この後半ではそれが弱まった気がしました。
弱まらないほうが好きかな。