2021年2月2日火曜日

『たかが殺人じゃないか』(辻真先)読みました。


昨年亡くなった大林宣彦監督の生前に
雑誌か何かの取材で
インタビューしたことがあります。
もう20年以上昔のことですけど。

聞かせてくれたお話の中で
今でもよく覚えているのが、
黒澤明監督のエピソードです。

大林さんは、黒澤作品『夢』の
メイキングビデオを撮っていて、
撮影中の黒澤監督に
べったり張り付いていたそうです。

本番を、何度も何度も繰り返し、
思うようなカットが撮れないでいるとき、
黒澤監督は現場の隅っこのほうにしゃがみこんで、
いじけた少年のように
地面の乾いた土をいじくっていたといいます。

近くにいた大林さんに気づくと、
小さくかぼそい声で
「大林くん、うまく撮れないんだよ」と
土を指でじゃりじゃりしながら言ったとか。

そんな巨匠の一面を教えてくれたあとで、
大林さんは
「作品の出来がいいとか悪いとか、
 もうそんなことは関係なく、
 80歳で映画をつくり上げるという偉大さに、
 ぼくは感動したんだよ」
と話してくれました。

そういえば大林さんも
傘寿を過ぎて作品を仕上げていましたね。
リスペクト。

で、この『たかが殺人じゃないか』。

あちこちで
「御年88歳のミステリ界のレジェンド」と
紹介されてる著者さん。
ホントにその年齢だけで、尊敬できちゃいます。





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