2012年4月2日月曜日

『木枯し紋次郎(上)生国は上州新田郡三日月村』(笹沢佐保)読みました。

ちょっと前に読み終わった
『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』って本は
とても良かったんですが、
「あっ、それはやらないで」って思う部分が、
ところどころ出てきました。

何かっていうと、
セリフをほとんどしゃべらない主人公が、
饒舌に話すトコ。

話をしないと物語が進んでいかないのは
わかるんですけど、
むすっとして話をしないキャラは、
そのままのキャラでいて欲しかったんです。
まぁ、物語の全体を通して、
そのドラゴン・タトゥーの女性は、
そんなに話をするキャラには、
なっていないんですけどね。

でも、
そんな違和感がところどころ出てきたお陰で、
自分が好きだなと、思うキャラがはっきりわかりました。

しゃべらない登場人物です。
ニヒルっていうのか、謎めいているっていうのか、
むっつりっていうのか、そんなキャラが出てくると、
それだけで、5つ星のうち4つはつけちゃいます。

無口なキャラが好きなのは、
たぶん、ぼく自身があまり話をするのが得意じゃなく、
話をしていると支離滅裂になっちゃって、
自分で何を話したかったのか、
わからなくなってしまう
コミュニケーション力欠陥児だからなのかもしれません。

で、この『木枯し紋次郎(上)生国は上州新田郡三日月村』。

主人公の紋次郎、とっても無口です。
だからとっても格好いい。
ドラゴン・タトゥーの女のように
「あっ、それはやらないで」って思う部分が、
ないこともなかったんですが、
ほんの1、2箇所。まったく許せます。

でも、少し怖いのは、
紋次郎の格好よさに影響されて、
ぼく自身がもっと口べたになっちゃうこと。
ぼくは渡世人でもないし、
今は江戸時代でもないので、
紋次郎のような振る舞いをしたら、
とっても生きていけません。

でも、格好いい!


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2012年3月26日月曜日

『贈与論』(マルセル・モース)読みました。

昔(→P.103)みたいな参照ページの印を、
やたらめったら挿入して
本をつくったことがあります。
それをやると、
確認作業なんかがとても大変になり、
何日も徹夜したことを覚えています。

できあがったときには、
担当の編集さんと一緒に
「すごい本ができた!
こんな立体的な本は今までないぞ!」なんて、
内輪ウケしてました。

でも、しばらくたってから、
その本を読み返してみると、なんかウザったいんです。
ページをあちこちめくって、読み進めなきゃならない。
だから、
今までどこを読んでいたのかわからなくなるんです。
なんだか、ありがた迷惑って感じでした。

んで、この『贈与論』。

ページの分量でいうと、
半分が本文、半分が「注」でした。
「注」まできちんと読んでいたら、
昔ぼくがつくった本のように
ページを何度も何度もめくり直さないといけません。

……なので、ぼくはこの本の約300ページのうち、
本文の150ページほどしか読んでないんです。
内容に関する感想は、
「注」まできちんと読み通したときにします。
いつになるかわかりませんが……。

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2012年3月22日木曜日

『傍聞き』(長岡弘樹)読みました。

若かりし頃、自主映画を撮ったことがあり、
なんとか2本だけ完成させたんですが、
撮影途中で放り出してしまった作品もありました。
この本を読んでいて、
その放り投げた未完成映画のワンシーンを
ふと思い出したんです。

そのシーンってのは、
小手先のだましカットでした。

内容は、
ジャンルでいえば、いわゆるロードムービー。

3人の若者が1台の車に乗り込んで、
目的もなく「ここではないどこか」へ旅しています。
そのうち、つまらない理由でケンカが起こり、
その中の1人が、たまたま通りかかったバス停の前で、
無理矢理下ろされてしまいます。
2人になった車中。
車はしばらく走るのですが、
やがてどちからともなく
「やっぱりあいつがいたほうがいい」ってことになり、
Uターンしてあのバス停に戻ります。

そこで場面が変わり、バス停。
ちょうどバスが来たところです。
止まったバスが、ぶおんと発車して、
そのあとには、誰もいないベンチが残っています。
そこに、もどってきた2人の車が到着する。
あーあ、あいつはもう行っちゃった
……と思いきや、
道路の反対側のバス停ベンチに、ふて寝していた。

ホントに小手先のだましカットです。
映画を観ている人に、バスが行っちゃって、
あいつも行っちゃったと思わせたかった。
なんかドラマチックかなって思って、
そんなカットを撮ったんです。
結局、映画は完成していないけど。

でも、完成しないでよかったかな。
だって、こんなだましカットは余計ですよね。
そんなこと、しているヒマがあったら、
どんどんストーリーを先に進めて、
観てる人を引きづり込まないとダメですよね。
今さらながらそう思ったんです。

で、この『傍聞き』。

短編集なんですが、
どの作品にも、ぼくがやっていたような
だましカットが散りばめられていました。
「お前が未完の映画でやろうとしていたのは、
これなんだぞ。わかったか!」
といわれているような気がしちゃいました。


傍聞き
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2012年3月21日水曜日

『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(古賀史健)読みました。

いきなりですが、引用します。

──
「きくちの北園日記」、もう飽きちゃった(^_^;)。
だって、たいしたこと起こらないんだもん。
ま、一般の高校生はそんなもんなんだけど。
その、なんてことない日常をここまでクドクドと。
いや、ほめ言葉です、マジで。〜以下略
──

これは、
ぼくがやっているブログ「きくちの北園日記」について、
その中の登場人物である友だち(テルヤマくん)が、
寄せてくれた感想です。

このブログは、
まぁ高校時代の部活動のことを
だらだらと書いている半分フィクション、
半分ホントの雑記です(↓)。

http://kikukita.seesaa.net/

ブログを始めたきっかけは、
高校時代の後輩からの依頼でした。
後輩が、かつて部長だったぼくに、
バドミントン部OB会のホームページをつくるので、
「きくち先輩、何か書いてくださいよ」と頼んできた。
ぼくは「しかたねーな」と書き始め、
もう4〜5年くらい続けてます。

それだけ続けちゃうと、
やっぱ終わらせるのが忍びなく、
たいしたことない日常を
くどくどと引き伸ばして書いちゃってるんですね。
それをテルヤマくんは、見事に指摘し、
マジのほめ言葉として贈ってくださった。
それが冒頭の引用です(ツイッター上での発言)。

んで、
この『20歳の自分に受けさせたい文章講義』。

テルヤマくんがぼくに贈ってくれた言葉。
それが、そのまま当てはまった本でした。
「いや、ほめ言葉です、マジで」

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2012年3月19日月曜日

『シャンタラム(上)』(グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ)読みました。

ぼくが映画学校に通っていたとき、
脚本の先生からシナリオの構造について、
基本的な考え方を教えてもらった覚えがあります。

その先生は、
「ぶっとい縦軸をストーリーの柱に据えて、
横軸に細かな枝葉の物語を付け加えていきなさい」
と教えてくれました。

横軸はおろそかにしちゃいけないけど、
やはり大切なのは柱になるお話。
謎を解いていくとか、
誰かを救出するとか、
誰かと誰かが結ばれるとか、
そんな幹の部分をがっしりとくみ上げて、
そこから、
繊細な職人作業で横軸を付け足していきましょう。
そんな感じの授業でした。

ヒットしている作品ってのは、
ほとんどがこの先生の教えのようになってる気がするし、
そのころぼくが書いていた脚本は、
その教えをぜんぜん守れていなかった気がするんで、
「ほーそういうことか」と、
学生のぼくは感心していました。

で、この『シャンタラム』。

全編、横軸でした。
縦軸があるんですけど
(主人公がいつも登場しているってことが縦軸かと)
その縦軸に、どかーんとぶっとい横軸が、
これでもかってくらい何本も突き刺さっている。

その横軸がどれもこれも、ずしーんとくるんです。
そんで、ずきずきと身体にしみてきて
痛くなってくるんです。

こんなお話の作り方もありなのね。
でも、のんべんだらりと日々を過ごしているぼくには、
この極太横軸連打攻撃を
真似することはとてもできません。
物語をつくるときは、
やっぱり映画学校の先生の教えに従うようにしよっと。


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2012年3月14日水曜日

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(下)』(スティーグ・ラーソン)読みました。

ぼくは本についている、しおりのひもを使いません。
特別な理由があるわけじゃないんですが、
使わないんです。
使わずに最初に買った状態のまま挟んで読み続けます。

使わない理由をあえていえば、
ひもがあるページの紙のへっこみを
見たいからかもしれません。
ずっと挟んでいると、紙がひもの形にへっこみますよね。
そのへっこみを見て、
「よっしゃ、折り返し地点だ」みたいに思いたいのかな。

といっても、しおりの役目をするものは必要なので、
大抵の本についてくる
小さな広告チラシなんかを、しおりにしています。

もしそれがついてこなかったら、
メモ用紙とかガムの包み紙とかが代用品になります。
最近ではそのしおりのメモ用紙に、
これから買おうと思っている本のタイトルを
走り書きしてたりします。

で、この『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(下)』。

上下巻ともに、本の間に挟まっていたのは、
ほかの書籍の広告チラシじゃなく、
登場人物リストだったんです。
これって、いいです。親切です。

最初は、そのリストを見て、
「わっ、こんなに人が出てくるのかよ!
わけわからなくなっちゃうよ」と少し引いたんですが、
物語もスムーズに流れるし、
登場人物リストしおりもあるしで、
ドラマはすんなり頭に入りました。

これは編集さんとかのアイデアですよね。
どうもありがとう。

あっそうそう、本の中身。
それは、えっと、面白かったですよ。

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2012年3月13日火曜日

『裏庭』(梨木 香歩)読みました。

いきなりですが競馬って、
最初は馬の体力をためておいて、
ゴール直前で全力疾走し、
デッドヒートするってパターンがほとんどですよね。

最初から一生懸命走っちゃうと、
後半で息が続かなくなり、結局負けちゃう。

その馬がどれくらいの体力があるのかとか、
ほかの馬との駆け引きとか、そんな要素を考えながら、
上手く手綱をさばくのが、いいジョッキーなんですよね。

でもね。
そんなに頭の回転がよろしくないぼくは、
そういった勝負の機微みたいなことを
理解する能力に欠けているらしく、
いろんな思惑が入り交じった
競馬のレース展開ってのを、
あまり面白いとは思えなかったんです。
どうせやるなら、
最初から最後まで全力でやれ!──みたいな。

たぶんそんな事情からでしょう。
昔ちょこっとだけ買っていた時期がある馬券の購入を、
いつの間にか、やめちゃったんです。
まあ、たいていのスポーツは、
競馬と同じように、いろんな戦略があって
勝負が決まるんですけどね。

で、この『裏庭』。

初速はとってもいいです。
「いいわぁこの雰囲気」って思いながら、
軽やかにページをめくってました。
でも後半ぐらいから、ちと疲れてきて、
競馬でいえば、ゴールでは馬群に沈んじゃったなと。
まあ、それでも全力を尽くしている感触は
嫌いじゃないですけどね。

裏庭 (新潮文庫)
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梨木 香歩
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2012年3月6日火曜日

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上)』(スティーグ・ラーソン)読みました。

前にも言いましたが、
ぼくはいつも3冊の本を同時に読んでます。
会社の昼休み、帰宅時のバスの中、就寝前です。

本はそれぞれ、
会社の本棚、バッグの中、ベッドの横に
置いてあります。

ここ数年は、この習慣がずっと続いていて、
読んでいる途中の3冊の本は、
明確に時間と場所が区別されていました。

会社で読む本が、バックの中に紛れ込んで、
バスで続きを読むってことはなく、
ベッド横の本を会社で読むこともありません。
3つの場所の間に見えない壁があって、
それぞれの場所に割り当てられた本は、
その壁を通ることができないみたいな。

といっても、
これを守らなくちゃいけないルールと考え、
自分のポリシーみたいにしていたわけじゃないんです。
そんなポリシーってなんだかへなちょこだし。

その見えない壁を、
いとも簡単に、何の抵抗もなく、すり抜けちゃった本。
それが、
この『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上)』だったんです。

理由は明快、面白かったってことです。
この本は会社の昼休みに読んでいて、
そのまま面白くて止められなくなり、
帰宅時のバスで読むためバッグの中に入れ、
そのままベッドまで持ち込んで寝る前にも読んじゃいました。

かわいそうに、
バスと寝床でそれまで読んでいた本は、
挟まれたしおりが動かないままです。

んで、今続きの下巻を読んでいます。
それはなんとか自制して、
会社の読書スペースだけに閉じ込めています。
自制できるってコトは、
作品のパワーもしくはぼくのこの本に対する気力が
徐々に落ちてきたのかな。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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2012年2月28日火曜日

『マルセル・モースの世界』(モース研究会)読みました。

少し前に読んだ、マーク・ボイル著
『ぼくはお金を使わずに生きることにした』は、
とっても感激した本でした。
それと同時に、
なぜぼくがそのやり方を思いつかなかったのか、
すっごく悔しかった。

自分が疑問に思うこととか、
それってヘンじゃないって思うこととかを、
ぜんぜん真剣に考えてない。
ぼくの頭が、へなへな思考力しかないって証拠を、
叩きつけられたように感じました。

そんなとき、
どこかの新聞でこの『ぼくはお金〜』の
書評を見かけたんです。

書評の内容自体は、
それほどびっくする見方を
示していたワケではないのですが、
その中で使われていた言葉が、
またしても、
おのれのアホさ加減を露呈させてくれちゃいました。

書評の中で何の説明もなく、
一般的な言葉として使われていたのが、
贈与経済って用語でした。
……はい、知らなかったんです、そんな言葉。

最初は、書評を書いた人の造語かと思いました。
でも読んでると、そうでもなさそうです。
昔から使われてるよって雰囲気がぷんぷんします。

そんなときは、すかさず検索。
そしたら、出てくる出てくる。
検索結果は、約2,380,000件(0.08秒)でした。
んで、いろんなページを読んでみると、
なぜ、おじさんと呼ばれる年まで生きているのに、
お前はこの言葉に触れなかったのだと、
とほほとほほの連続でした。

そんな情けないネットサーフィン中に
見つけたのがマルセル・モースでした。
なにやら贈与の重要性を言い出した人らしいと。

この『マルセル・モースの世界』。
そんなきっかけで読み始めたんです。
入門書ってどっかに書いてあったので。

モースさんってのは、
ぼくが生まれる何年も前に亡くなっている偉い人です。
んで、
自分の浅はかさがここまでわかってしまった今、
素直に入門させてもらいます。
次は代表作っていわれる『贈与論』かな。
それとも、
モースさんの教えを引き継いでいる
レヴィ=ストロースさんって人の『悲しき熱帯』かな。

マルセル・モースの世界 (平凡社新書)

2012年2月22日水曜日

三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常』読みました。

温泉施設とかスポーツクラブとかにある、
少しきつめの吹き出し泡が
じゃわじゃわいっているジャクジーの
お風呂に入ったとき、
うわぁ気持ちいいなって思います。

ずーっと立ち仕事をしていて、
ようやっと休憩できで座って足を伸ばし、
前屈みたいな軽いストレッチをしたとき、
これもまた、うわぁ気持ちいいなって思います。

ふとんの中に入って、読みかけの本に手を伸ばし、
「昨日はあそこまで読んだな、
次はどうなるんだろう。楽しみだなわくわく」
なんて考えたとき、
やっぱり、うわぁ気持ちいいなって思います。

そうやってよく思い出していくと、
変化のないつまらぬ日常だと思っていた生活の中には、
たくさんの「気持ちいい」があるようです。

で、
『ビブリア古書堂の事件手帖2 栞子さんと謎めく日常』。

とっても、気持ちよかったです。
みんなにオススメしたいので、短くまとめちゃいます。
この本、いいですよ。
なかなかの人気で結構売れているみたいなんですけど、
こういう本が売れる国って、いいな。
日本人でよかったって思いました。

あっ、連作短編集なので、
1巻から読んだほうがいいですね。
でも、2巻からでも内容はわかります。

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2012年2月20日月曜日

白河三兎『角のないケシゴムは嘘を消せない』読みました。

昔はぼくも、
自分では気取ったつもりの
ヘンテコな文章ばかり書いていました。
例えば、
「その道路にある中央分離帯はいつも薄汚れている」
と素直に書けばいいトコを
「中央分離帯の上の緑は排気ガスで出来ている」
なんて書いてみたり。

そんなふうに少し格好つけたように見せると、
ウケてくれる人が多かったのも確かです。
それで図に乗って、
「よっしゃもっと格好いい文章つくろう」
と勘違いしていたんです。

そんな頃でした。
会社案内のパンフレットに載せる文章を
お客さんにチェックしてもらうことがありました。
自分では格好いいと思う表現を
7〜8個散りばめて、
「どうだ!オシャレだろ!」って気持ちです。

チェックしてくれる相手は、
自分の持つ金属加工の技術を頼りに、
一代で会社を大きくた社長さん。
分類からいえば
「ぼくの格好つけ文章を
一番褒めてくれる人たち属」に入ります。

でもでも!なんと!
技術屋社長が赤ペンを入れ修正要請したのは
格好つけ表現の7〜8カ所だけ。
ドンピシャのピンポイント攻撃でした。

そんときぼくは、
「この人は本当のことがわかっている」と思ったんです。
以降、格好つけ文章は
ぼくの中から徐々に減っていきました。

んで、この『角のないケシゴムは嘘を消せない』。

物語はそれなりに面白いと思います。
ただ、この本を、あの技術屋社長に
チェックしてもらいたいなとも思っちゃいました。

ひょっとしたら、ピンポイント攻撃のはずが、
じゅうたん爆撃になっちゃうんじゃないかな。

角のないケシゴムは嘘を消せない (講談社ノベルス)
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2012年2月15日水曜日

『法とは何か』(長谷部恭男)読みました。

「波線部分が示すものは、次のうちどれか」。
文章読解のテストでよくこんな問題があります。
例文中に出てくる
「これ」「それ」「あれ」などの指示語に
波線とかをつけて、それに対応するものを、
いつくかの選択肢のうちから選ばせる問題です。

ぼく、このたぐいの問題は得意でした。
というか、面白くできた。
正解かどうかは別にして、
なんだかパズルを解いているみたいで楽しかったんです。

でもね。
それって世の中にあふれている
いろんな文章の読解力をつけるには、
多少の役には立つのかもしれないけど、
ちょっとヘンだなって思うようになってきたんです。
この設問ができちゃうこと自体が、なんだかなぁって。
本づくりの仕事をやるようになってから、とくに。

だって「これ」「それ」「あれ」の本体を、
わざわざパズルのピースみたいに
探し出さなきゃいけない文章って、ヘンじゃないですか。

理解しなきゃいけないのは、
その文章が「何を言っているか」であって
文章の形とか構造とかじゃないでしょ。

一生懸命ほじくり返さないと
宝箱にたどり着けないような
入り組んだ文章を設問にして、
「これが正しい日本語の文章です」みたいにするのは、
なんかイヤです。

国語のテストに採用されちゃったら
「正しい」ってお墨付きをもらったみたいになります。
そうすると、
いわゆる難解って呼ばれる文章が、
のさばってきちゃいます。
んで、さらに、
難解文章てんこもりの本が、幅をきかせるようになる。

こういう状況は、
頭の回転があまりよろしくないぼくにとって、
とても好ましくない傾向なんです。

で、この『法とは何か』。

「波線部分が示すものは、次のうちどれか」。
そんな設問の入った国語のテストをつくりたい人には、
オススメの1冊です。


法とは何か---法思想史入門 (河出ブックス)
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2012年2月13日月曜日

『驟り雨』(はしりあめ・藤沢 周平)読みました。

「なんで結婚しないの?」
と、いわゆる事実婚で長年仲良く暮らしている友だちに
聞いたことがあります。

そのとき友だちは、
「そんな手続きは要らないよ。なんでする必要あんの?」
と答えてくれました。

ぼくは、がつんと一発決められたような気がして、
「そうだよな、
制度なんかに縛られることないんだよな」って思いました。

事実、その2人は、
ぼくの知っているどの夫婦よりも仲良しで、
夫婦らしい夫婦です。
制度に則って届出を出して世間的にいうと
正式な結婚をしているどの夫婦よりもです。

知識がなくて書いちゃうのも申し訳ないんですが、
たぶん江戸時代とかの昔は、
つつましく暮らしている町人たちは、
正式な結婚届なんてなかったみたいです。

だって、この『驟り雨』(はしりあめ)に、
そんな夫婦が何組もでてくるんですもの。

ほかに女ができたから、
もう夫婦はやめだと亭主にいわれて、
おかみさんは、はいそうですかと、
そのまま荷物をまとめて出ていき、
それで夫婦はおしまいとか。

それでも、物語の中に出てくる夫婦は、
ちゃんと制度に従った夫婦よりも夫婦って気がするんです。

この本、読んでいる最中とか読み終わった直後よりも
1日くらい時間がたってから、
じわじわと、胸がぎゅぎゅってくる本です。


驟(はし)り雨 (新潮文庫)
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2012年2月7日火曜日

『シャンタラム(中)』(グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ)読みました。

「井の中の蛙、大海を知らず」ってことわざには
「されど、その深さを知る」って続きがあるんだよ、
と思春期に聞いていた深夜ラジオが言っていました。

井戸の中にいるカエルは、
外の世界のいろいろなことは何も知らないけど、
自分の暮らしている
井戸の中のことなら何でも知っている。

たくさんのことを広く知るか、
1つのことを深く知るか。
その深夜ラジオのパーソナリティは、
後者でありたいって言ってました。

どちらがいいってワケじゃなく、
広く知っている人も、深く知っている人も、
とにかく極められる人はすごいですよね。
ぼくなんか、なんでもかんでも中途半端で、
広くもなく深くもない。
狭く浅い世界でこっそり生きてる感じです。

で、この『シャンタラム』。
今回読み終えたのは中巻です。

上巻を、身体が傷つけられるような痛みを感じながら読み、
それなりの覚悟をして本を開きました。
やっぱ、痛かったです。
これまで、こんな感覚を受けながら
本を読んだことはなかったです。

そしてこの本、いろんなことを教えてくれます。
なんというか雑多に「広い」んです。
だからこれ、井の中の蛙な人には書けない作品です。
ましてやぼくには絶対ムリ。

ぼくはとりあえず「狭く浅い世界」を
深く掘り下げる作品を目指すことにします。

シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)
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2012年2月2日木曜日

『消失グラデーション』(長沢 樹)読みました。

『シックスセンス』って映画を観たとき、
落ちがわかるまでドキドキで、
それも単なるハラハラじゃなく、
すごく雰囲気のあるゴージャスな緊張感が
楽しめたような覚えがあります。

でも、
ラスト近くで「あーそういうことなのね」の落ちが
わかった途端、
急に面白くないって感じてしまったんです。
自分でもなんでかわかりません。
くだらない落ちだったとか、内容にそぐわないとか、じゃない。
たぶん、
そんな落ちを用意してびっくりさせなくても、
十分いい映画だよ、
余計なことはしないでねってトコなんだろうと思います。

で、この『消失グラデーション』、いい本です。

特に、
いろんな小手先手法が使われているのか
使われていないのか、わからない状態のまま読んでいた
前半(あえていえば事件が起こる前)がすごくよかったです。

消失グラデーション
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長沢 樹
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