ざぶーんと来て、スススッって引いていって、
また、ざざーんと来て、
「いやいや、そんなつもりじゃなかったんです、
ごめんなさいね」って感じで、
スススッシュルシュルって戻っていく。
一応これ砂浜に来る波のこと言ったつもりなんです。
わかってくださいね。
んで、この砂浜に来る波って、
とくに何かを物語っているわけじゃないに、
ずっと見ていても飽きないんですよね。
物語が書かれている本だって、
ずっと見てたら(読んでたら)飽きちゃうのに、
波はそうじゃない。
波が、人を飽きさせないように、
何か面白いたくらみをしてるわけなじゃないっすよね。
それどころか、
「もういい加減、飽きたらどうよ」と言ってるように、
同じ動きを繰り返している。
そんで、それを見ているぼくのほうも、
その中に何か意味を見出そうとしているわけじゃなく、
ましてストーリーの中に
引き込まれようとしているのでもなく、ただ見ている。
それでも、ずっと見てられる。
あっ、川の流れとか、雲の動きなんかもそうかな。
不思議ですね。
で、この『ゴッドウルフの行方』。
ぼーっとしながら、ずっと眺めていても飽きない、
波とか川とか雲とか、そんな本でした。
きちんと聴いてはいないんだけど、
ずっと流していたいBGMみたいな感じかな。
ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)
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