2011年1月13日木曜日

ただ1人に向けて書く

『書いて生きていく プロ文章論』(上阪徹)読みました。

ぼくの仕事の大半は、
新聞や雑誌、書籍などに文章を書くことです。

でも、毎回毎回、自信満々で文面がつくれるわけではなく、
実は
「ホントにこれで伝わる?」
「文法的に間違ってない?」などの
自問自答の繰り返しで、
なんとか文字を埋めているって感じなんです。

なので「文章作法入門」みたい本を、
よくカンニング用に利用します。

でも、そんな本を読んだあとって、
なんだか文章がぎくしゃくしちゃって、
作文がうまく進まなくなる。

一生懸命トレーニングして本番に臨もうとしたら、
筋肉痛でうまく力が出せないって感じです。

この筋肉痛を乗り越えると、
「あれ? なんか実力がついた」って気もするんですけどね。

で、この『プロ文章論』。

どうやら筋肉痛は起こさない種類のカンニング本だったみたいです。
なぜなら、文章作成の技法を述べているんじゃなく、
文章を書く前の心構えみたいなことで内容を構成しているから。

そしてその心構えの多くは、
ぼくがふだんやっていることと(幸いなことに)共通していました。
だからこの本を読んで
「やっぱぼくのやり方も間違ってはいないな」と確認できたんです。
よかった、よかった。

さらに、
この本は今までのぼくが
持っていなかった新しい考え方も教えてくれました。

新聞や雑誌の記事でも、
ただ1人の読者に向けて書くようにすると良いってこと。

直接この言葉が記されているわけじゃないんですが、
ぼくが勝手に読みとっちゃいました。

さて、これから書かなくちゃいけないあの記事は
誰に向けて書こうかな。


書いて生きていく プロ文章論書いて生きていく プロ文章論
上阪 徹

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2011年1月9日日曜日

「優しさ→涙」の法則

『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル)読みました。


「優しくしないでよ 涙がでるから」
……『ひとりぼっちで踊らせて』(中島みゆき)の曲の一節です。

優しくされると涙が出るって本当です。

とくに悲しいことや、
つらいことを現在進行形でど真ん中で体験している人には、
ほぼ間違いなくこの「優しさ→涙」の法則が働きます。

先日、ぼくの親父がガンで亡くなりました。
72歳でした。最後の1カ月ほどは、声もうまく出せなくなって、
ガラガラのしゃがれ声を絞り出しながら、
自分の意思を何とか伝えていました。

それを看病していたのがお袋。

少し疲れはみせていたものの、
まったく気丈に振る舞っていて、
ぼくは、お袋ってやっぱスゲーって思っていました。

でも、その気丈な人にも「優しさ→涙」の法則は
情け容赦なく適用されちゃうんです。

ぼくとかみさんが親父とお袋を車に乗せ、
病院への送り迎えをしたときのことです。
病院のスタッフの人たちによる
優しさ攻撃が一斉に開始されたんです。

車いすでもつらそうにしている親父には、
待ち時間の間、空いた診察室のベッドを使わせてくれたり、

お袋には常に、
「元気出してね」
「大丈夫だからね」
「何もしないで側にいるだけで、看病になっているんだからね」などと
次々声をかけて慰めたり励ましたり。

ついに、お袋の気丈バリアーは、
間髪をおかない優しさ攻撃に屈してしまい、
どどーっと涙をこぼします。
そうなるぼくも、もらい涙。
病院の一角は、とんでもない状態になってしまいます。

ちょっと病院の人、ひょっとして泣かせるためにやってんの? 

なんて思えちゃいそうですが、
やっぱ人間って、基本は優しいもんなんでしょうね。
つらそうな人や悲しそうな人に対してはとくに。

悲しさやつらさは、我慢して心の中に閉じ込めておいてはいけない、
泣くなり叫ぶなりして外に出さないとダメって聞いたことがあるけど、
もしかして、優しさって、
そんなイヤなものを外に出すための下剤みたいたモンかもしれないですね。

あっ、しまった!

これまでのお話は
『これからの「正義」の話をしよう』
とは何の関係もありませんでした。

でも、たくさん書いちゃったんで、
書き直すのも面倒だし、このままってことにしちゃいます。

本はそれなりに面白かったです。はい。


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍

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2011年1月3日月曜日

慣れてきた。

『今朝の春』(高田郁)読みました。

新聞や雑誌の仕事がメインになっている最近のぼくは、
ほとんどテープ起こしの作業をやらならくなりました。

テープ起こしとは、録音したインタビュー現場の音声を聞きながら、
そのまま文字に書き起こしていく作業です。
1字1句もらさず文字にしていこうとしたら、
1時間のインタビューでも、丸1日かかるほどの作業になります。

でも、昔はこの作業をしないと、記事にする原稿ができなかった。
テープ起こしをした膨大な量の文字を読みながら、
必要ない部分を削っていき、残ったのもので文章を組み立てていく。
そんな工程を経ないと、記事がつくれなかったんです。

この仕事を始めてから5〜6年は、そうやって記事をつくってきました。

それがある日突然、
「テープ起こししないで原稿を書いてみよう」って思い立ち、
やってみると、なんと!
それまでよりも、読みやすく深い内容の文章になることに気づきました。

その日から、ぼくは、
一冊の本に仕上げるような分量のあるインタビュー原稿は別にして、
新聞や雑誌などに載せる短い原稿ではテープ起こしをしなくなりました。

さて、
この5〜6年の間に書き連ねた
途方もない分量のテープ起こしの文字たちは、無駄だったのでしょうか。

もちろん、無駄じゃないって思いたい。

ぼくは、そんな下積みの作業があったから、
今があるんだと思ってるんです。

つまり、慣れ。

慣れないうちは、面倒なことでも遠回りでも、
よいしょよいしょって越えていかないとダメなんですね。

特に、もの覚えが悪く、要領の良くないぼくのような人間にとって。


で、この『今朝の春』。

シリーズ4作目ってことで、
作者が物語をつくるのにこなれてきたなって、感じました。

そして、読者のぼくのほうも、この作者の文章に慣れてきた。

そこで次は、
その慣れを「飽き」にしないため、どんな工夫を凝らすか。
これは、ぼくが自分で原稿をつくるとき
毎回頭を悩ませている事柄でもあります。


今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
高田 郁

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2010年12月28日火曜日

本人確認が読解力の神髄

『読解力の基本』(速越陽介)読みました。


2010年に読んだ本の中で、
反面教師的に勉強になった本の2冊目でした。

1冊目は『面白くて眠れなくなる数学』。
とりあえず1つの話の中では、
結論をいわないと、読者は消化不良になっちゃうんだなってことを
教えてくれました。

そして、2冊目がコレ。
小学生向けに教えるべき内容なら、
大人向けの本として売っちゃいけないよ、
ってこと学びました。

本のつくりも、文章も
すっきりわかりやすくてよいのですが、内容が……。

例えば。
ぼくは「悪文を読むためのテクニックを紹介」って謳い文句に
惹かれてこの本を読み始めたのですが、その答えは、

「悪文で意味がわからないときには書いた本人に確認しましょう」
という内容。

その文言を読んだときは、
思わず苦笑いしてしまいました。

さらに、意味のわからない文章でも、
「知らなくていいことは、確認してはいけません」って感じで説明が続く。

これが読解力!

うーん、これはものすごい勇気がないと書けない言葉だと思います。


読解力の基本読解力の基本
速越 陽介

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2010年12月20日月曜日

ツルツルの図太い神経回路

『文章がうまくなるコピーライターの読書術』(鈴木康之)読みました。

「インドに旅行に行って、はまりすぎて、
向こうに住み着いちゃう人がケッコいるって聞くけど、
やっぱり衝撃だった? なんか人生観変わった?」

「もう少し若いときに行っていたら
何かあったかもしれないけど、
もうすぐ40歳のおっさんだよ。
ただの観光だったよ」

インド帰りの友だちと、
昔こんな会話をしたのを覚えています。

ささくれがとれていない若い時代なら、
少しの刺激が、大きな痛みや楽しさになって返ってきたけど、
すっかりツルツルの図太い神経回路に成長してしまったおっさんは、
外界からの刺激には、たやすく流されないってことですね。

幸いに、というか悲しいことに。


で、この『文章がうまくなる〜』。

やはり、ぼくも、もうおっさんでした。

読んでいる途中で、頭の中に浮かんできた言葉は、
「まぁ、ね」
「そうだね、そんなこともあるよね」
「いいかもね」など。

テレビの前に転がっている旦那に向かって、
やたら元気な奥さんが「ねぇディズニーランド行こう!」と
呼び掛けたときの返事のようなコメントばかりです。

もしかしたら、この著者が本家本元で、
この人の言葉をみんなが引用しているから
なのかもしれないんですが、
なんかどこかで聞いたことあるものばかりだったんです。

こうしたらいいよってノウハウは、
そんなに斬新な方法にはならないんでしょうね。

どっかで聞いちゃったことって刺激にはなりにくい。
インドのことも、イッテQとかふしぎ発見とかで、
現地の細かい生活ぶりまで知っちゃってるしね。


文章がうまくなるコピーライターの読書術(日経ビジネス人文庫 ブルー す 4-2)文章がうまくなるコピーライターの読書術(日経ビジネス人文庫 ブルー す 4-2)
鈴木 康之

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禁じ手

『神様のカルテ 』(夏川草介)読みました。

「死」にまつわるいろんなことについて、
少し前までは、なんでもかんでも避けていたぼく。

源氏物語の中に、
知り合いの家で病死した人が出て縁起が悪いからと、
その家のほうには近づかなくなってしまう貴族の話が
滑稽に語られていますが、その人と一緒。

死という文字も、単にそれを連想させるものも、
なるべく使わないようにして過ごしてきました。

でも、仕事で、葬儀法要のマナーについて記した実用書を
つくったのをきっかけに、
そんなの関係ない、
と受け入れる度胸がついてきたように思います。

どんなに避けていても、避けきれないものですからね。

で、その本をつくったときに、
度胸と同時にもう一つ身についたもんがあります。

読者を泣かせるコツです。
コツといっても、特に難しい技法でもなんでもなくて、
単に登場人物が死んじゃうシチュエーションをつくればいいだけ。

これがあればたいていの人は泣きます。

特にそのシチュエーションが決まり事のように
物語の根底に流れていれば、
あとはその逆に、
その登場人物が人生をめちゃくちゃ楽しんでいる姿を盛り込む。
そうすると書いている本人も泣きます。

そしてそのコツに気づいたとき、
「これは安易に使ってはいけない」と思ったんです。

これはドラえもんに、
どんな球でもヒットにできるバットを出してもらい、
それを使って野球をするようなもの。
それでは面白くありません。

で、この『神様のカルテ』。
泣けちゃいます。
ぼくが禁じ手にした手法を使っているので泣けちゃいます。

だから、この本のシリーズ2作目が出ていて、
それもよく売れているそうですが、ぼくは買いません。


神様のカルテ神様のカルテ
夏川 草介

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2010年12月13日月曜日

もう一回、読んでみよう

『現代文訳 正法眼蔵5』(道元著/石井恭二訳)読みました。

一度手をつけたことを途中で投げ出すのが怖いぼく。
自分が決めてやったことは、
なんでもかんでも、とりあえずざっとでも、
最後までやってしまう。

そうじゃないと、
「中途半端はダメだ!」と誰かに怒られてしまうような気がして……。
そんな強迫観念にびくびくし、
やっていることが苦痛でも、つまらないことでも、
続けちゃうクセがついています。

そのクセのせいで、
どれだけ無駄な回り道をしてきたことか。

いやいや、この『正法眼蔵』が無駄だとはいいません。

でも、5巻もの全部を読み通してみても、
ぜんぜん理解できない。
理解できないにもかかわらず、
1冊400ページ近いものを5冊もぺらぺらとめくって目を通した。

よくもまあ、理解もできないものにそこまでやったなと、
我ながら感心するほどです。

スポーツでも、仕事でも、
ふだんとは違うつらいことをやった直後は、
「もうイヤだ、やりたくない!」と感じ、
しばらく時間が経つと、
「もう一回やってみたいな」って思っちゃうぼく。

今も、こんな読書のやり方は止めたいなと思っていますが、
たぶん、もうしばらくしたら、
もう一回読んでみようと思っていることでしょう。


現代文訳 正法眼蔵 5 (河出文庫)現代文訳 正法眼蔵 5 (河出文庫)
道元 石井 恭二

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2010年12月9日木曜日

面白さって何?

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下)』
(アンドリュー・ロス・ソーキン)読みました。

上巻を読み終えてすぐ買いに行きました。
ぼくには妙なジンクスがあり、上下とか分冊で売られている本を
2冊一度に買ってしまうと、その上巻は、必ず面白くないんです。
そんな目に遭うのはイヤなので、購入は1冊づつ。

そんで購入後、即座に読みました。

結論は、上巻の面白さを2倍したくらい面白かった。
この面白さって何なんでしょうかね。

これはノンフィクションなので、ホントにあった話。
それでも登場人物がみんな真剣に右往左往してるんです。

しかも、小説とかによくありがちなタイムリミットがあり、
そのときまでに何か手を打たないと、破滅しちゃうってシチュエーション。
ハラハラドキドキなんです。

当事者たちにとっては、とてつもなく困難な作業を、
命を賭けるほど熱さで取り組み、
それでも次々に壁が立ちはだかり、いくつかの作業は水泡に。

……で、そんな緊迫のドラマを、
せんべいなんかをボリボリしながら、まったく人ごとで楽しんでいる。
なんだか不謹慎なんだよなって思いながらも、面白がってしまう。

ホント、面白さって何なんでしょうかね。

ということで、今年2010年に読んだ本の中の5つ星作品が1つ増えました。
ちなみに5つ星は今のトコ、この本を合わせて4つ。
残り3つは、『ペンギン・ハイウェイ』『「悪」と戦う』『八朔の雪』です。


リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人
アンドリュー・ロス・ソーキン 加賀山卓朗

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2010年12月1日水曜日

頭の中に「もし」の連射

『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上)』
(アンドリュー・ロス・ソーキン)読みました。

歴史で「もし」を語るのは無意味だといわれます。
関ヶ原の合戦で徳川軍が負けていたらとか、
太平洋戦争で日本が勝っていたらとか。

そんな「もし」を仮定しても、
事実は変えられないのだから無意味だと。

でも、ぼくは「無意味」がもう少し違う意味を
持っているような気がするんです。

事実を変えられないから無意味なんじゃなく、
いろんな「もし」が本当にあって事実が変わっちゃったとしても、
結局のところ現在の世の中って、
同じなんじゃないかなって。


「もし」を語ろうが語るまいが、
「今現在の世の中は一緒だよ、
人間がやること、やれること、つくれるものなんて
そうそう変わるものじゃないんだから」みたいに思うんです。

そんな意味で、「もし」を考えるのは、無意味なんだろうなって。

で、この『リーマン・ショック〜(上)』。

読んでいる途中で
「あれ? もしかしたら、このリーマンの社長が
この発言しなかったら、世界中の不況もなかったんじゃない」
「この財務長官が違うこと言ってたら、
もっと早く手を打てたのに」というように、
「もし」ばかりが頭に浮かびました。

「もし」が現実になった場合でも
世の中や歴史は変わらないものだと言ったばかりの頭が、
「もし」を連射で考えていたんです。

リーマンの社長がなんて言おうと、
財務長官がどんな行動をしようと、
きっとリーマンショックと同じような経済の動きって
日本にも来たんだと思います。

そしてもうひとつ間違いなくいえることは、
ノンフィクション物を読んでいるときに
頭の中に「もし」が連射される作品は、
ぼくにとってとんでもなく面白いってことです。

さあ、下巻を買いに行ってきます。


リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたちリーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) 追いつめられた金融エリートたち
アンドリュー・ロス・ソーキン 加賀山卓朗

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2010年11月25日木曜日

記事は記者さんの作品です。

『梅棹忠夫 語る』(小山修三)読みました。

10年以上昔のことです。
映画監督の大林宣彦さんに、
記事をつくるためインタビューをしました。

人生についてとか、やさしさとは何かとか、
ためになるお話をたくさんしてもらったような記憶があります。
でも具体的に何を語ってもらったのかは、おぼろげ。

なんですが。

一つだけはっきりと覚えている言葉があるんです。
それは、「大林宣彦 語る」みたいな記事をつくったあとで、
原稿をチェックをしてもらいたいとお願いしたときの返事。

「記事っていうのは、
僕の語りおろしという形態をとっていようがどうであろうが、
それを書いた記者さんの作品なんだよね。
だから、僕は明らかに事実関係が間違っているような
場合じゃなければ、修正は入れませんよ」

ぼくがこの言葉を覚えていたのは、やっぱ仕事柄なんでしょうね。
「修正は入れません」と言われるのは、
一方でとってもありがたく、一方でとっても怖い。
全部お前の責任だからな!って宣言されるってことだから。

そう、インタビュー記事は、
しゃべったこと全部を一字一句文章にするわけじゃないんです。
話してもらったことのニュアンスだけをくみ取って、
その意図にぴったり合うような表現に変えちゃう。
しゃべったママでは意味も通じないし、
へんてこな文章になっちゃうって場合がほとんどだからです。
 
で、この『梅棹忠夫 語る』。

今いったような作文作業はしているだろうし、
順番も入れ替えてたりして、本をつくっているのだと思います。

でも、ぼくは「しゃべったまま」って感じがしちゃいました。
頭の悪いぼくには、もうちょっとまとまったつくりが必要なんです。

この本を読んで、
梅棹さんって人はとても面白い人だってわかったけど、
その面白さを実感するには、本人の著書をよむべきなんでしょうね。
ごめんなさい。ぼくはまだ一冊も読んでません。

梅棹忠夫 語る (日経プレミアシリーズ)梅棹忠夫 語る (日経プレミアシリーズ)
小山 修三

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2010年11月22日月曜日

素晴らしい友だち

『想い雲』(高田郁)読みました。

仮面ライダー1号、2号に熱狂したので、
子どもながら「V3なんてちゃんちゃらおかしいぜ」といいつつ、
がぜん引き込まれていった真ん中ジャバラ顔の一文字隼人。

『ゴッドファーザー』があまりにもよかったので、
「あれを超えるものは、簡単にはつくれないでしょ。
まぁ、あまり期待しないでおくほうがいいな、きっと」と思いながら
『ゴッドファーザー・パート2』を観たときの衝撃……。

続編、シリーズ物は、いつの間にか、ぼくの中で
「良い方向に期待を裏切ってくれる素晴らしい友だち」
という地位を占めるようになっていました。

だから逆に、
シリーズ物の1作目を読んで、
それほどでもなかったときにも、
2作目や3作目に手を出すことはママあり、
たいていは成功します。
例えば、池波正太郎の『鬼平犯科帳』とかです。

で、この『想い雲』。

シリーズ3作目です。
これを読み継いできたパターンは、
ぼくの中では珍しい感動グラフの動きを見せていて、
『鬼平犯科帳』パターンと『ゴッドファーザー』パターンを
組み合わせたものになっていました。

まぁ簡単にいうと、
1作目がものすごく良くて、
2作目はそれほどでもなかったってこと。

2作目がそれほどでもないのに、
3作目を読んだのは、
シリーズ物が「素晴らしい友だちの地位」を占めているから。

で、どうだったのか。

はっきりいうと、だんだん、つまらなくなってきちゃいました。
なんでかわかりません。
たぶん、ぼくの読み方が悪かったんだと思います。
というか、ちゃんと姿勢を正して読んでいないのだと。

登場人物も、文体も、主人公にいろんな苦難が立ちふさがる展開も、
なにも変わらないんですけどね。

でもなぜか、入っていかない。
やっぱ、これはぼくのせいでしょ、きっと。

ということで、シリーズ物の読み継ぎパターンが
イレギュラーになっていますが、
すでに4作目が本屋さんに並んでいるってことなので、
買ってきます。

やっぱ、「素晴らしい友だちだった」ことを実感したいので。

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
高田 郁

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いとも簡単に「違うよ」

『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く 』(藻谷浩介)読みました。


「経済のしくみがよくわかる本」みたいなタイトルの本を、
何冊かつくったことがあります。

とはいっても、
ぼくは経済学者じゃないし、大会社の経営者でもないので、
いろんな本を読みあさって、そこからエッセンスを抽出して、
難しい言葉をかみ砕いて書いたもんです。

んで、たいていは専門家っていわれる大学教授とかに
目を通してもらって、いわゆる監修作業をした上で本になります。
だから、独りよがりの間違ったことは書いてないよってことです。

そんな本の中に書いていたのは、
世間一般に「経済の基本」っていわれていることでした。

景気っていうのは、
波があって不景気の次には好景気がくるようになっているとか、
バブル景気が起こったのは、
円高不況の対策で公定歩合を引き下げたのが原因だったとか……。

で、この『デフレの正体』って本。

ぼくが、ああでもない、こうでもないと
苦労して調べて書いてきた経済の基本を、
いとも簡単に「違うよ」っていってのけています。

しかも、とても論理的に。
さらに、たぶん経済学のことなんか何にも知らない人にもわかりやすく。
学問っていうか、社会の常識っていうか、
そんなモンは、簡単に壊れたりつくられたりするもんなんですね。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介

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2010年11月15日月曜日

20行はオレのモノ記事

『チア男子!!』(朝井リョウ)読みました。

ぼくが昔、勤めていた会社でのこと。
その会社は、雑誌にある記事みたいな体裁の広告をつくる会社です。
若かったぼくは、その記事広告を書くとき、
会社の事業内容とか経営理念とかと、
自分の意見や人生観なんかを結びつけて内容を構成していました。

「記事冒頭の10行と結びの10行の合計20行分は、ぼくのものだ」なんて
勝手に思い込んで、好き勝手に、正義とは何か、とか、
宇宙の神秘、とか、社会のひずみ、みたいな内容を、
その企業のやっていることに無理矢理こじつけて、
書いていたんです。
それでも、そのやり方はいいよって、
言ってくれる人もいたんですけどね……。

でも、ある日、
とっても上手な原稿を書くことで有名な上司に怒られたんです。

「お前の考えていることなんて、知りたいとは思わん!
読者はそんな独りよがりを求めているワケじゃなく、
純粋な情報を欲しがっているんだ。
ワザにおぼれるんじゃネエ! ええ加減にせー!!」

それでも、やっぱり若かったぼくは、
その上司がいつもは別の営業所にいて、
ぼくのいる部署には年に1度くらいしか来ないのをいいことに、
「20行はオレのモノ記事」をつくり続けていたんですが……。

ということで、この『チア男子!!』。

なんとも……若いです。
デビュー作である前作の『桐島、部活やめるってよ』は、
これが新人なの? と思えるほど、
抑制の効いた表現で、とっても良かったんですが、
2作目のこれは、残念なことに、
へたくそだなぁって感じちゃいました。

そう、ぼくが上司に言われた言葉と
同じような内容を向けたくなっちゃった。

でも、きらきらの部分はあちこちに見受けられます。
小手先のワザにおぼれなければ、
きっとすごい作品が期待できちゃう人ですよ。


チア男子!!チア男子!!
朝井 リョウ

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2010年11月10日水曜日

ひょっとしてネタバレしてる?

『一九八四年」(ジョージ・オーウェル/高橋和久訳)読みました。

生来の楽天的な性格というか、怖がりというか、
嫌なことからは逃げて回る卑怯者というか、
まあいろいろ言い方はあると思いますが、
ぼくは物語はハッピーエンドじゃないとイヤです。

せっかく時間をかけて本を読むのだったら、
読後は、あー面白かった、すっきりしたと言いたいじゃないですか。

そんなんですから、
ちょっと前に大ベストセラーになった
村上春樹の『1Q84』の1冊目と2冊目を読んだときには、
「ひょっとしてこれって死んじゃうってこと?
はっきりは書いてないけど、そうなの?
それ、やめようよ」
と密かに感じていました。

そんなふうに思っていたら、
やっぱこの本には続きがありますってんで、3冊目が出て、
それがハッピーエンド的な終わり方だったんで、あー良かったと。

この時間差攻撃は、なんとも不思議な感覚でした。

で、本家本元の『一九八四年』を読んで、
「あーそうなんだ、これと同じ手法とったんだ」と
その時間差攻撃のワケを理解できちゃったんです。
(たぶんぼくの勝手な解釈ですが……)

村上春樹も本家もどっちも読んでいない人は、
なんのことやら、きっとわからないでしょう。
この『一九八四年』がハッピーエンドなのかそうじゃないのかも、
ここまで書いたぼくの文章からはわからないでしょう。

よかった、ネタバレにならないで。

村上春樹と本家本元の読み比べ、オススメです。


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル 高橋和久

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2010年11月4日木曜日

あるがままを受け入れる

『現代文訳 正法眼蔵4』(道元著/石井恭二訳)読みました。

存在することの意味、生きるとは何であるか。
もしくは、仏教ってどんなものか、悟りの境地ってどんなものなのか。
4巻目まで読み通してきた正法眼蔵からは、
それら哲学的、宗教的な答えを、
一つたりとも見つけられなかったぼく。

というか、
難しくてわからなかったぼく。

全5巻シリーズになっているこの現代文訳は、
実はこの4巻で本編が終わってしまいました。
5巻目は、本編にもれたものを集めた拾遺モノと
新しく書き加えられたモノをまとめた本。

なので、ここまでの本編は、
たぶん一般的にいう読書とはいえず、
単に並んでいる文字を眺めていたといってもいいでしょう。

ですが!

この4巻では1カ所だけ、きちんと理解でき、
しかも感動した文章がありました。

それは、藤沢周さんという作家が書いた解説文。

解説といっても本の内容を説明しているわけじゃなく、
自分のことをエッセイみたいに語っている文章です。
もしこれが本の内容を説明しているものだったら、
きっとまたぼくのふにゃふにゃ頭では理解できず、
感動の「か」の字も出てこなかったと思います。

その解説文には、
藤沢さんが幼少のころ、父親に怒られた思い出が記されていました。

きれいな桜を見て
「きれいだな、桜はなんで毎年咲くの」と父親に聞いたら、
「そんなこと疑問に思うんじゃない」と。

前年までは、言葉もおぼつかない幼児だったので、
疑問など言葉にせず、
きれいな桜を、ただそのまま受け入れていた。

それが言葉を覚えたがために、疑問を口にするようになった。
父親は、息子の心が、あるがままを受け入れる姿勢を
無くしてしまったと嘆き、怒ったのだろうと回想していました。

そして、この正法眼蔵の世界は、
言葉を知ってしまった人が、言葉を持ちながらも、
すべてをあるがままに受け入れる方法を
示していると表現していました。

へなちょこ頭のぼくには、
本編を読んでそこまで理解できなかったのですが、
この解説文が言っていることはよくわかりました。

ということで!

5巻を買いに行って、
あるがままを受け入れる方法っていうのを探してみよっと。

現代文訳 正法眼蔵 4 (河出文庫)現代文訳 正法眼蔵 4 (河出文庫)
道元 石井 恭二

河出書房新社 2004-10-05
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