2020年10月27日火曜日

『梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(5)』(池波正太郎)読みました。


昔、雑誌の編集をしている先輩が、
こんなことを言ってました。

「用語解説の原稿を1項目200文字で
 20項目分書いて欲しいと
 ライターさんに注文したら、
 文字数が全部ばらばらで
 納品されてきた。
 少ないのは100字くらいで
 多いと500字くらい。
 そのライターさんが言うには、
 どれも違う用語を説明するのだから、
 分量が同じになるほうがおかしいって」

それを聞いて思い出したのが、
誰だか忘れましが、たしか女性の
ベテラン作家さんが言っていた
「だいぶ長く小説を書いてきたので、
 指定された枚数にぴたりと
 合わせられるようになりました」
という話。
ストーリーは同じでも、
引き延ばしたり、縮めたり、
要望に応じて、
いかようにもまとめられる技術が
身についたようだと、ベテランさん。

あ、
ライターさんにベテラン作家の技術が
ないと考えたわけじゃないんです。

むしろその逆で、ライターさんには
ベテラン作家さんにはない
信念みたいなものがあるだろうな、
と思ったんです。

重要でないものは短くし、
大切な情報は分量多く紹介する。
それは、読む人に対する誠実さだろうな、って。

で、この『梅安乱れ雲 仕掛人・藤枝梅安(5)』。

池波正太郎さんは
技術を持っている人だなって思いました。





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