2014年1月8日水曜日

『書楼弔堂 破暁』(京極夏彦)読みました。

もう20年以上もやらなくなっちゃったんですが、
メモ帳を、どこにいてもすぐに取り出せるように、
常に持っていて、気に入ったフレーズやためになる言葉、
「これだ!」と思った人生訓なんかを見つけると、
即座に書き留めていた頃がありました。

でもある日、
小さく汚い文字がびっしり詰まったそのメモ帳を
職場の先輩に見せたところ、
「おめぇ、暗れぇーなー、暗すぎ!!」
とやじられちゃったんです。

人からのネガティブ言葉にめっぽう弱いぼくは、
その日以来、徐々にメモの数は少なくなっていき、
いつの間にかメモ帳は消え失せ、
とうとう、そんなメモをつけていたことさえ
忘れちゃうようになっていました。

で、この『書楼弔堂 破暁』。

「あっ、この文章、メモっておこ」
と思える文章が出てきて、
昔やっていたメモ帳のこと思い出したんです。
まあ、
今からあの習慣が復活するとは思えないので、
とりあえず、今回だけ、この場に写しておきますね。
それが感想ということで。
ちょっと長いけど……。

 ──以下引用──
「逃げぬことを美徳とするは、生きとし生けるもの
の中で人ぐらいのもの。努力すれば成る等(など)
と云うのは愚か者の戯言(たわごと)。為(し)て
みるまでは判らない等と云うのは痴れ者の譫言(う
わごと)。不可能なことはどう努力しても不可能で
ございましょうし、可能か否かを見極めるのも早い
に越したことはないのです。仮令(たとえ)見極め
損ねたとしても、逃げていれば安全ではありましょ
う。勝ち負け等と云う下賤な価値判断でしかものを
とらえることが出来ぬ愚劣なる者が、逃げることを
蔑むのでございます。人には、向きも不向きもござ
います。いけないと思うたら」(改行)逃げるが良
しと存じますと、弔堂は厳しい口調で云った。



書楼弔堂 破暁
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