2017年2月1日水曜日

『書楼弔堂 炎昼』(京極夏彦)読みました。


若い頃は
「人間とは何か」
「人生はどう生きるべきか」
なんて議論を、
かんかんがくがくやり合って
いたもんです。

でも、そんな話題はどこ吹く風で、
いつもひょう然として、
ぼくたちのツバ飛ばし舌戦を
ニヤニヤしながら
眺めているヤツがいました。

とりあえず兵藤って名前にしときます。
そのさまにたまりかねた誰かが
「兵藤はどう考えてるんだ!」
とふっかけると
「人間はね、ホースと同じ。
 上から入れて下から出す。
 クダなんだから、それでいいじゃん」

仙人みたいだなと
ぼくは密かに尊敬してました。

ある日、
その兵藤に加え仲間数人で
カラオケに行ったんです。

みんな自分勝手に得意の歌を入れ、
他のヤツのことなどお構いなしに
マイクを回し合っていました。

もうそろそろ、
受付から時間を知らせる電話が
かかってくる頃かなと思ったとき、
兵藤の様子が変なのに気づいたんです。

じーっと固まって
動かないロウ人形みたい。

どうかしたのかと聞くと
「歌入れたんだけど」と言って、
またロウ人形。

そこに案の定、
タイムアップの電話がかかってきて
カラオケはお開きになりました。

あとで詳しく聞くと、
そのとき兵藤は一曲も歌ってなくて
(たぶん機械の操作ミス)
自分の番が来るのを
とんでもなく緊張して
待っていたのだそうです。

仙人も緊張する……んです。

で、この『書楼弔堂 炎昼』。

いやホント面白かったです。
面白すぎて何っていえばいいかわからず、
関係無い兵藤くんの話を書いちゃいました。




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