2015年1月13日火曜日

『古事記 』(池澤夏樹訳)読みました。

小説の中に書き込まれる要素で、
バランスが大切だと、ときどき感じるのは、
説明しておくべきことと、
言わずに済ませることの比率です。

くどくどと説明をしちゃうと
物語のスピード感が削がれちゃう気がするし、
かといって説明不足だと
何の話をしているのかも伝わらない。

そしてそのバランスは、
その本が発表される時代によっても
変わるような気がします。

人の好みが変わるっていうのかな。

説明されたい人が多い時代と、
うざいうんちくなんか聞きたくない
って人が多い時代、って感じで。

で、この池澤夏樹さん訳の『古事記』。

明らかに
「説明なんか、いらねーぜ」時代の本でした。

例えば、こんな感じ。

王様が家臣に
「A男に家来になるよう伝えてこい」
と命令したので、家臣がそれをA男に伝えると、
A男は「はい、わかりました」と素直に応じた。

次に家臣は王のもとに行き
「A男は、イヤだと申しております」と報告。
それを聞いた王はA男を殺した。


えーっとつまり
「説明なんていらねーぜ」の時代です。
今なら、このエピソードだけで一冊本が書けそうだけどね。

読みやすかったです。



古事記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集01)

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