2013年4月2日火曜日

『ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜』読みました。


あの粋な詐欺師たちの映画『スティング』を
初めて観たのは、たしか池袋あたりの名画座でした。

子ども番組じゃない大人の物語には、
主人公でも正義の味方でも
死んじゃう場面があるってことが、
わかってきた中学生のころ。
(正確には『ポセイドンアドベンチャー』を見たあと)

だからあのラストは衝撃でした。
あーあ死んじゃうのか……えっ、そうじゃない!
うへぇー!! これがどんでんってヤツだ!!

そんなんですから、
この映画は大のお気に入りになって、
友だちに話しまくりました。
「あれすげーよな!あのラスト!!」

でも、ガキ丸出しで騒ぐぼくを、
ふんっと鼻で笑う友だちがいました。

「まぁ、ラストに驚くのは、当たり前だよ。
 でも、あの映画はラストがなくてもいい映画だった。
 逆にラストで客を驚かせようって小細工なんかないほうが、
 いい映画だったかもしれないな。
 ぼくは、あの映画全体に流れる雰囲気が好きなんだよ」

くそ生意気なインテリ中学生。
いつもそんな感じに斜に構えた物言いをするヤツなんです。
たぶん、おじさんになった今のぼくでも、
このインテリ君は言い負かせないでしょう。

で、この『ビブリア古書堂の事件手帖4』。

ミステリ、謎解きで、ぐいぐい引っ張られるストーリー。
でも、ぼくが感じたのはインテリ君のような感想でした。
「ミステリの部分はもちろん楽しめる。
 でも、仕掛けなんかいらないかも。
 文章全体に流れる雰囲気が好きなんだなぁ」

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