2012年11月13日火曜日

『クラバート(下)』(プロイスラー)読みました。


これまたずいぶん昔、
『蜘蛛女のキス』ってお芝居があって、
そこに出演する俳優さんに、
公演についてインタビューする機会がありました。

もともと『蜘蛛女のキス』は、
ベストセラーになった小説がもとになっていて、
そのお芝居の前には、映画化もされていました。

取材はお芝居の公開前だったので、
ぼくは、映画だけを観てインタビューに行ったんです。

その取材前、
ぼくは、これだけは言ってはダメと、
自分に言い聞かせていたことがありました。
映画の感想です。
「前半は傑作だけど、後半はつまらない。
後半部分は要らないと思う」という気持ちです。

同じ題材のお芝居をこれから演じようとする役者さんに、
「あのお話はつまらない」発言はダメですよね。

でも、ぼくは若かった。
話の流れの中で、ついつい言っちゃったんです、それ。
「あの映画、後半は要りませんよね」って。

あっ、まずい! って顔をしたかどうかは、
もう覚えてないんですが、
その俳優さんは、
ぼくの発言に間髪を置かず
「そうだろ、キミもそう思うだろ! いらんよな、アレ」
って同意してくださった。
さすがベテランの役者さんです。あーよかった。

で、この『クラバート(下)』。

上巻の感想で、
面白いのかつまらないのか「チトわからない」
と書いた本の続きです。
下巻を読み終わって、やっとわかりました。
上巻はつまらない、でも下巻は面白い、っていうか傑作。

『蜘蛛女のキス』と反対のパターンでした。
でも、後半がつまらないなら、
前半だけでやめれば、すっきり気持ちよく終われるけど、
その逆だと、ちょっと困りますね。
なので、この本は通読がおすすめ。

クラバート(下) (偕成社文庫4060)
プロイスラー
偕成社
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