これまたずいぶん昔、
『蜘蛛女のキス』ってお芝居があって、
そこに出演する俳優さんに、
公演についてインタビューする機会がありました。
もともと『蜘蛛女のキス』は、
ベストセラーになった小説がもとになっていて、
そのお芝居の前には、映画化もされていました。
取材はお芝居の公開前だったので、
ぼくは、映画だけを観てインタビューに行ったんです。
その取材前、
ぼくは、これだけは言ってはダメと、
自分に言い聞かせていたことがありました。
映画の感想です。
「前半は傑作だけど、後半はつまらない。
後半部分は要らないと思う」という気持ちです。
同じ題材のお芝居をこれから演じようとする役者さんに、
「あのお話はつまらない」発言はダメですよね。
でも、ぼくは若かった。
話の流れの中で、ついつい言っちゃったんです、それ。
「あの映画、後半は要りませんよね」って。
あっ、まずい! って顔をしたかどうかは、
もう覚えてないんですが、
その俳優さんは、
ぼくの発言に間髪を置かず
「そうだろ、キミもそう思うだろ! いらんよな、アレ」
って同意してくださった。
さすがベテランの役者さんです。あーよかった。
で、この『クラバート(下)』。
上巻の感想で、
面白いのかつまらないのか「チトわからない」
と書いた本の続きです。
下巻を読み終わって、やっとわかりました。
上巻はつまらない、でも下巻は面白い、っていうか傑作。
『蜘蛛女のキス』と反対のパターンでした。
でも、後半がつまらないなら、
前半だけでやめれば、すっきり気持ちよく終われるけど、
その逆だと、ちょっと困りますね。
なので、この本は通読がおすすめ。
クラバート(下) (偕成社文庫4060)
posted with amazlet at 12.11.13
プロイスラー
偕成社
売り上げランキング: 19626
偕成社
売り上げランキング: 19626