2010年9月30日木曜日

まだら的。

『インシテミル』(米澤穂信)読みました。

本をつくる仕事をしているとき、
ぼくはいろんな方面から出る要望に関して、
基本的にすべて受け入れ、
作品に反映させるようにしています。

出版社の人が「ここにはこんな内容を入れて欲しい」といえば、
「はい喜んで」と従い、
校正さんが「この文章は少し違和感あります」って朱字を入れたら、
「ご指摘ありがとうございます」とサクサク直します。

そりゃあ、絶対勘違いしている指摘もあるので、
そんなときは、丁重に説明して理解してもらいますけど、
基本は全部受け入れです。

人にみてもらうモノをつくっているんですから、
自分がヘンだと感じなくても、誰かがヘンだと感じるのだったら、
そこには何らかのミスなり浅はかさなりがあるって思うからです。

でもね。
そうやって全部受け入れてつくっていくと、
なんだか全体にまとまりがないというか、まだらになっちゃうというか、
部分的にはヘンが直っても、一冊の本としてみたときに、
ヘンになるってことがあるんです。

だから木を直すときは、
森も見ながら直さないとダメなんですね。

わかりやすく極端な例をあげるとすれば、
章のタイトルを直したのに、
目次にある章タイトルを直し忘れるという感じ。

で、この本。

前半にかなり、まだら的と思っちゃった部分がありました。
修正作業をした上のまだらではなく、
天然のまだらってこともあり得えます。

とはいえ、
そんなこと気にしなくても、
すすっと読めるエンタメ作品。楽しむことができました。

インシテミル (文春文庫)インシテミル (文春文庫)
米澤 穂信

文藝春秋 2010-06-10
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