本をつくる仕事をしているとき、
ぼくはいろんな方面から出る要望に関して、
基本的にすべて受け入れ、
作品に反映させるようにしています。
出版社の人が「ここにはこんな内容を入れて欲しい」といえば、
「はい喜んで」と従い、
校正さんが「この文章は少し違和感あります」って朱字を入れたら、
「ご指摘ありがとうございます」とサクサク直します。
そりゃあ、絶対勘違いしている指摘もあるので、
そんなときは、丁重に説明して理解してもらいますけど、
基本は全部受け入れです。
人にみてもらうモノをつくっているんですから、
自分がヘンだと感じなくても、誰かがヘンだと感じるのだったら、
そこには何らかのミスなり浅はかさなりがあるって思うからです。
でもね。
そうやって全部受け入れてつくっていくと、
なんだか全体にまとまりがないというか、まだらになっちゃうというか、
部分的にはヘンが直っても、一冊の本としてみたときに、
ヘンになるってことがあるんです。
だから木を直すときは、
森も見ながら直さないとダメなんですね。
わかりやすく極端な例をあげるとすれば、
章のタイトルを直したのに、
目次にある章タイトルを直し忘れるという感じ。
で、この本。
前半にかなり、まだら的と思っちゃった部分がありました。
修正作業をした上のまだらではなく、
天然のまだらってこともあり得えます。
とはいえ、
そんなこと気にしなくても、
すすっと読めるエンタメ作品。楽しむことができました。
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