2020年8月14日金曜日

『秋の花』(北村薫)読みました。


今、通勤バス車中で読んでいる
伊坂幸太郎さんのエッセイに、
自分の書く小説の中で
扱いたくないテーマ(というかネタ)が
あるといっていました。

だいぶ前に出た随筆なので
今は考え方が
変わっているかもしれませんが、

そこにあった避けたい題材は、
「恋愛」でした。

理由は、
恋愛は面白いに決まっているから。

その文章では小説を料理にたとえて、
恋愛は「肉」のようなモンだとしています。

「肉」を使えば
料理がおいしくなるのは当たり前で、
それを使わないメニューで
お客を唸らせるのが、
腕のいい料理人ではないか、と。

だとすれば、
おいしくなって当然の
恋愛ストーリーに頼らず、
あえてその素材を使わず、
小説をつくりあげていきたい、
らしいです。

ストイックですね……と、
少しちゃかしましたが、
ぼくも同じように
考えているネタがあります。

それは「人が死んじゃうこと」。
悲しい物語は、
大昔から人気があるようで
「泣かせる=いい話」みたいなトコ
あるじゃないですか。

その等式に当てはめる
一番簡単な方法は、
「人の死を話に盛り込む」
だと思うんです。

だから、
人死にが入っている小説なんかを読むと、
「ちょっと安易じゃない」
とか思っちゃったりします。

で、この『秋の花』。

お話の中で、人が死にます。
だけど「安易じゃない?」とは
カケラも思いませんでした。
ほんと、いいですわ、この本。
何をネタにしても、
すごい本はすごい。

修行不足を痛感しました。





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