2019年12月5日木曜日

『プラネタリウムの外側』(早瀬耕)読みました。


十年ほど前になるでしょうか。
仕事で挨拶に行った会社で、
いろんな部署を回りながら、
そこにいる人たちを紹介されたんです。

「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
みたいな簡単なやり取りを
しながら名刺交換をしました。

その名刺の中の一枚に
見覚えのある名前があったんです。

昔好きで読んでいた小説家。

でも作家デビュー後
3冊ほど発表されたのち、
もう20年以上新しい作品を
出していない人。

「あのー……
 菊池規悦(仮名)さんって、
 ひょっとして『電卓エクセル(仮)』の、
 あの菊池(くどいようですが仮名)さんですか?」

彼は、少し困ったような顔をして
「はい。いやでも、もう…」と言いかけた。

と思ったら、
ちょうど机の前にあった電話が鳴り、
こちらを気づかう素振りを見せて
彼は受話器を取りました。

通話は長引きそうで、
そのまま待つのも悪いからと、
ぼくらは次の部署へ移動です。

そもそも挨拶に回ったのは
一応の顔見せ程度で、ぼくの仕事には
それほど関係のない部署ばかり。

その後は、
忙しくなって彼のことも忘れてしまい。
十年ほどになるでしょうか。

で、この『プラネタリウムの外側』。

ウィキペディアによると
作者の早瀬さんはデビュー後約20年
沈黙していたようです。
菊池(仮名)さんも、
そろそろ沈黙破ってほしいな。





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