2019年10月8日火曜日

『ぱくりぱくられし』(木皿泉)読みました。


何かの打ち合わせの帰り、
コピーライターをしている友だちと
駅まで歩いていました。

もう少しで最寄り駅に着くころ、
彼の携帯が鳴りました。

液晶に出てる発信者の名前を見て、
心なしか背筋を伸ばしながら、
ぼくと話すときとよりだいぶ高めの声で
「はい、どうもお世話になります」。

電話の相手は、
歩きながらの会話では対処できるような
人じゃないらしく、

彼は50メートルくらい先に
駅が見える歩道に立ち止まって、
スマホを耳に押し当てています。

なにかクレームなのかな。
しきりに恐縮しているふうです。

ちょっぴりいたたまれなくなって、
ぼくは少し離れて、
ここなら聞こえないよと
わかってもらえるような場所で待ちました。

時間はほんの2、3分。

飲み屋の看板の文字を
見るともなしに読んでいると、
彼が電話を終えて戻って来て

「フレキシブルってっさ、
 ほかの言葉に置き換えたら何になる?」
と投げかけてきました。

で、この『ぱくりぱくられし』。

彼の投げに「〈居てよしッ!〉はどう?」
とぼくは答えました。

それは、この『ぱくりぱくられし』からの
パクリ(13頁)なのでした。





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