2019年7月19日金曜日

『蜜蜂と遠雷(下)』(恩田陸)読みました。


言葉とおカネがなくなれば、
世の中はもっとよくなる。

ことある度に
そう考えていた時期がありました。

「ありました」と過去形にしたのは、
今ではまったく考えなくなったからではなく、
考える頻度が低くなったというか、
いろんなことに
敏感じゃなくなくなったというか、
まあそんなことを
すっかり忘れている時間が
長くなっているからです。

生活とか、生活とか、
生活とかばかりしてて。

……あへっ?
昔と今の考え方の違いを
書こうと思ったんだっけ?

いやいや、言葉とおカネのことでした。

そうそう、なので、まずおカネ。
できれば、その弱点をクリアした
別物に置き換わってほしい。

需要と供給の物差しで
モノの優劣が決まるだとか、
泥棒して手に入れた1万円と
1日働いてもらった1万円が同じ価値だとか、
そういう弱点。

次に言葉。
これも弱点ありますね。
ぼくが考える一番の弱点は、
ウソがつけちゃうこと。
100%のそのままを伝えているようでいて、
実はそうじゃない。
虚構の内容で
(もしくは中途半端または過剰な装飾で)
伝達しちゃうのなら、
いっそ伝えないほうが、
本質は伝わる気がするんです。

で、この『蜜蜂と遠雷(下)』。

言葉って素晴らしいなと思いました。
印刷された文字を目で追っていくだけで、
音楽が頭の中で鳴るんです。
もちろん、作者の頭の中にある音と、
ぼくの頭の中の音は、まったく違うはずで、
それがさっき言った弱点なんだけど、
その弱点に頬ずりしたくなっちゃう。
どうしたもんでしょうか。





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