2019年7月2日火曜日

『善く死ぬための身体論』(内田樹/成瀬雅春)読みました。


ミュージシャンの佐野元春さんの
インタビュー記事を書いた友だちが、
こんなこと言っていました。

「佐野さんって、やっぱ普通とは違うよ。
 テープ起こししただけで
 そのまま原稿になっちゃうんだから」

当然のことながら、
話し言葉と書き言葉は違います。

テープ起こしの作業は、
話した言葉をそのままテキストにするだけ。

だから、通常は、
その作業をしただけでは、
雑誌などに載せる書き言葉としては使えない。

文章で読ませるための
体裁を整えなきゃいけないし、
なによりリズムというかテキストとしての
格好良さみたいなものを、
バリ取り加工のようにして
形づくっていくものです。

ぼくなどは、その加工をやり過ぎてしまい、
原文をそのまま訳すんじゃなく
突き抜けた意訳に走る
シドニー・シェルダン本の「超訳」みたいに、
取材した人の話した内容から
エッセンスだけ抜き出して、
意味は同じだけど、
一言もそうは言ってない文言で
文章をつくっちゃうこともある。

でも、それやるとき、悩むんです。
いいのかなって。

だから、佐野さんの話を聞いたときには、
その友だちのライターが
うらやましくなりました。

で、この『善く死ぬための身体論』。

対談した内容をまとめた本でした。
一読して感じたのは、
「こりゃ、テープ起こしのままじゃないだろうな」
いいのかな……いいんですよね。
うーん、いいんですよね。





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