2018年10月30日火曜日

『春はまだか くらまし屋稼業』(今村翔吾)読みました。


モノをつくった人の思いと、
そのつくられたモノを
使うなり鑑賞するなりした人の気持ちは、
食い違うのが当然です。

原稿を書くとか紙面を構成するとかいう
ぼくらの仕事でいえば、
「素晴らしい原稿です」なんて感想を
多くもらうときに限って、
「ああ、やっつけで仕事しちゃったな」
などと思っていたりする。

もちろん、その逆もあって
「今回は少し、時間がなかったですかね。
 仕方ないですよね」なんて慰め混じりに
原稿の不出来を指摘されたりするときには、
往々にして
「何日も徹夜して、うんうん唸りながら、
 目一杯の力を出し切った」と
いつになく満足な仕上がりだったと
思っていたり。

つくる人と読む人は同じじゃないんだから、
食い違うのは当たり前。

どちらが正しいのか間違っているのか
という問題じゃないんだけれども、
どっちかといえば、
できたモノを受け取った側が
(書籍で言えば読者側)
正しいと思うんですよ、
読者様は神様だと思うんですよ、
ぼくなんかは。

で、この『春はまだか くらまし屋稼業』。

えいやー!とー!
みたいな掛け声を出しながら、
超速でつくり上げた作品なんじゃないかな
って感じました。
間違っているかもしれないけど、
ぼくは一応、今回は読者の側ですから。





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