2018年8月8日水曜日

『半七捕物帳(2)』(岡本綺堂)読みました。


作画・和田誠のイラストカバーを
思い出すカート・ヴォネガットさんが、
エッセイか何かで、

「小説の書き方はこうあるべきだ」的な
文章を記し、それに続けて、
他の作家が自分にはとても真似できないほど
素晴らしい小説を出しているけれど、
その作品は
「今挙げた〈こうあるべき〉項目に、
 ことごとく反している」
みたいなことを書いていました。

物語をつくりたい人は、
こんなふうにやればいいんだよ。
でも、そんなふうにやらなくても、
面白いものはできるよ。

という、なんだか禅問答のような、
アイロニーのような物言いです。

クーンツさんって人も
『ベストセラー小説の書き方』って
本を出しています。
(今、読んでいる最中で、
 もう少ししたらここで紹介します)

そこでも、
こういうふうに書けば、物語は面白くなるし、
本はたくさん売れる
ということを言っているんです。
そっちは、アイロニー禅問答じゃなく、
「俺の言うことに間違いはない。
 この通りやれ」的な感じですけど。

で、この『半七捕物帳(2)』。

前者のヴォネガットさんじゃなく
後者のクーンツさんのいう〈こうあるべき〉項目に
ことどとく反している気がしました。

それでも
長年売れ続けている本なんですよね、これ。

「俺の言うことに間違いはない」と
自信を持って発表するのは大切なんだろうけど、
受け取る側は「いや、例外もある」と
わかってたほうがよろしいようです。





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