昔『食人族』という映画がありました。
公開されたのは、
ぼくが映画学校に通っていた時期でした。
なんで覚えているかっていうと、
映画を観た感想を学校のみんなに言ったら、
とたんに大笑いされたので。
軽傷のトラウマとして残っているんでしょうね。
映画は正直いって面白くないと思い、
その理由を、
「だって感情移入できないんだもん」
と言ったんです。……それが失笑を買った。
恋愛物とかサスペンスだとかの
一般的な映画なら、
この理由は別に笑われないでしょう。
でも、人食い民族を描いた作品で、
〈感情移入〉ってボケが過ぎるだろ、
みたいな感じです。
でもね。
人を食べる種族にしても、
それをフィルムにおさめる側にしても、
映画に出てくる人の中に、
誰かしら共感できる拠り所が欲しかった。
この映画の中に、その拠り所が
一人もいないんですもの。
それが、狙いなんだろうけれど…。
で、この『フランケンシュタイン』。
『食人族』ほどではないけど、
ぼくの拠り所になってくれる
「これだ!」って人は登場しませんでした。
また、笑われるな。
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