2017年10月24日火曜日

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一ほか)読みました。


絵を描くのが趣味だという
社長さんに話を聞いたときのこと。

ぼくが社長室に飾られてる作品を指しながら、
「うわー。ホントにお上手ですね。
 美術館に飾られていても
 全然おかしくないです」
なんて、ゴマをすりすりしたことがありました。

でもさすが社長さん、図に乗ることはなく
「私なんかまだまだだよ。
 どれもこれも妥協して
 終わらせてしまうから」
と、ちょっと寂しげに答えてくれました。

商談や部下との打ち合わせなどで
たくさんの来客があるだろう
自分の部屋に飾っている作品だけあって、
素人目にはそれなりにきれいに見える風景画のどこに
「まあいいや、これで」
と筆を投げた部分があるのか、
ちっともわからなかったぼくは
「どこで妥協しているんですか。
 そうは見えますけど」
と尋ねます。

まあそこにも多少は、
ご機嫌取りモードが入っていたかもしれません。

それを察したのか、
社長さんは笑ってぼくの質問をいなし、
雑談から本題に移っていきました。

妥協をぶっ飛ばして、
もう一ひねり手を加える
気力とか時間とかがあったら、
あの社長さんは、
社長じゃなく画家になっていたのかな。

で、この『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』。

もう一ひねりがあったらな……。
清水義範さんの文体模写を前に読んだけど、
あれは、ひねってたなあ。





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