2017年2月24日金曜日

『夜のピクニック』(恩田陸)読みました。

小学6年生の2学期が始まった日に
渡さなきゃいけないのに、
恥ずかしがって言い出せず、
卒業の日までずるずると
引っ張っちゃった思い出があります。

渡すべきモノは借りたパンツでした。

なぜパンツ?
それは、夏休みに担任の先生が
希望者を募って川辺のハイキングに
行ったときのことでした。

保護者同伴のイベントだったんですが、
そこでぼくは川遊びの最中、
足を滑らせて転んじゃったんです。

ズボンはもちろん、
パンツもぐっちゃり。

もしものために母親は
替えのジャージを用意していたんですが、
パンツまではなかった。

ぼくは「ノーパンでいい」
と言ったんですが、母親は
「ダメよ。ちょっと待ってなさい」
と言って、何人かのママ友に声をかけ、
パンツ持参人を探し出し、
借りてきたんです。

それがなんと花柄の女の子仕様。

同級生の女子が
いつも使っていただろう逸品でした。

ぼくが拒否したのは
言うまでもありませんが、
母親だけでなく
提供者のママ友にも説得され、
花柄逸品をジャージの下に身につけて
帰ったのでした。

で、夏休み明け。
キレイに洗濯して紙袋に入れた
借り物パンツを
学校に持って行きました。
もちろん返却のためです。

でも、恥ずかしくって
その女の子に声かけられない。
紙袋は机の奥にしまったまま卒業式になり、
こりゃまずいと、
ようやく勇気を振り絞り、
小学校最後の日に借りを返せたんです。

で、この『夜のピクニック』。

いいですね。ホントいい本です。
パンツを返したいのに、
なぜか声をかけられない切なさが、
ぽこぽこと胸に蘇ってきました。


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