2016年5月16日月曜日

『暗幕のゲルニカ』(原田マハ)読みました。


時代物を書くとき、
作者は、
歴史を勝手にいじくっちゃいけない
んだと、
たしか山田風太郎さんが言っていました。

織田がついて、羽柴がこねて、
食ったのは徳川なのに、
最後に真田が天下を取るような
物語になってはいけない。

それだと時代物とか
歴史物とかじゃなく、
パラレルワールドを描くSFになっちゃう。

はっきりとみんなが
わかっている歴史的事実はそのまま使い、

わかっていないすき間で、
天下人の内緒の出来事を加えたり、
架空の人物を登場させたりして
ストーリーを組み立てる。

それでいて、
歴史の流れとは整合性をとる。

時代物とか、
過去の偉人なんかを題材にしたものは、
そんな足かせを
はめなきゃいけないってルールが
あるようです。

ただ、
その歴史的な出来事や人物が、
いろんな意味で面白すぎると、
もうそれだけで物語は出来上がる。

そうなると、
作家さんが小細工する必要はなくなります。

逆に、
あがいて何か盛り込もうとすると、
なんかとってもギクシャクなお話になる。

とはいえ、
あがいて自分なりの何かを盛り込まないと、
つくる楽しみがないような気もするし
……何にしても、むずかしいってことですね。

で、この『暗幕のゲルニカ』。

前に読んだ『楽園のカンヴァス』はルソーさん、
今回はピカソさん。

やっぱピカソさんは面白すぎる人です。

ルソーさんのときには
作者の「盛り込み」がドンピシャはまって
絶品中の絶品だったんですが、
今回はピカソさんの威力に押された感じでした。



暗幕のゲルニカ
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原田 マハ
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