2016年1月20日水曜日

『風来忍法帖』(山田風太郎)読みました。



どの作品かは忘れましたが、
スティーヴン・キングさんの小説で、
落ちこぼれのごろつきがいて、
その奥さんが死んじゃう場面がありました。

しょうも無い鼻つまみ者だから、
みんなは「普段の行いが悪いせいだ」
と同情もしません。

そのごろつき自身も、
「あんな女、いなくなって清々したぜ」
なんていきがって、
悲しむ素振りも見せません。

実際、ヤツは、
すぐにほかの女に手を出したりして、
普通の夫婦のように「愛し合っていた」
って感じはまったくない。

それでも、その悪たれ者が、
何かの拍子にふと、
なぜ奥さんと一緒になったのかを
思い出します。

奥さんも悪たれ者と同じような不良娘で、
料理もつくれないし、金づかいも荒い、
いつも飲んだくれている人だったんです。

その性悪娘のことを、悪たれ者が、
「あんときのよがり声が、
 すげーんだ、たまんねーんだ」
とつぶやく。

彼は、何か一つ、いいところがあれば、
それだけでよかったみたいです。

で、この『風来忍法帖』。

たとえ全体が
どんなにつまらないお話であろうとも、
この場面さえあれば、すべて大好きになる。
そんなエピソードがありました。

巨大な一物のために
サイズに合う女性がおらず、
ずっと童貞だった男が、
やっとドンピシャを見つけられた一幕が、それ。
いやいや、もちろんその場面以外も
あきれるくらい面白いんですけどね。



風来忍法帖  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
山田 風太郎
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-12-22)
売り上げランキング: 619,960




**********************
当ブログ執筆担当・きくちが書いた本はこちら
**********************